とある学園生活は制限付き能力とともに

りゅう

完全なる模倣vs雷帝














僕と雷帝の戦いが始まった。

ステージはノーマルステージ、前回僕がゆき姉と戦った場所と同じステージだ。試合が始まった直後僕は緑先輩のテレポートを発動し上空へ移動した。まずは相手の能力を見極めようと考えての行動だ。

「へえ、空に逃げるんだ〜今まで何人とも戦ってきたけど初めてのパターンだね〜面白い」

雷帝はそう言いながらその場でジャンプして一瞬で僕の横に移動した。移動したと言うよりも突然僕の横に現れたと言うべきだ。そもそも僕は地上から約50メートルほど離れた場所にいる。普通の人間が一瞬で来れる距離じゃない。

「さあ、私の捌きを喰らえ…」

「雷か…」

僕は慌てて楓先輩の能力を使い雷帝が放った雷の起動を逸らした。

「雷を操る能力か…」

「ちょっと違うよ〜わたしは〜電気を身に纏えるの、あなたが今使ってる半端な能力とは違って身に纏うの」

雷帝が言う半端な能力とは楓先輩の能力のことを言っているのだろう。楓先輩の能力はただ電気を放出するだけだからな…

「身に纏えるのと放つだけ…そこまで違いはないと思うけど」

「何言ってるの〜わたしは〜雷が直撃してもなんともないくらい電気への抵抗値が高いんだよ〜だから体に電気で負荷をかけて身体能力を限界以上に強化できるんだよ〜もちろん雷を放つこともできるしその出来損ないとは違って完全なるエレクトマスターといえよう」

「なるほど、いか先輩の能力が楓先輩の能力よりすごいってのはわかりました。でもあなたは楓先輩に負けている。つまりそれ相応の制限があるってことですよね」

「………さあ、どうだろうね〜」

そうこう話しているうちに楓先輩の能力と緑先輩の能力が切れた。あと9分以内に雷帝を倒さないと…まあ、僕は最初4分くらいを情報収集に使おうと思っていた。ランキング戦では過去の履歴や映像を見ることはできても相手の能力や制限はわからない。よって今公開されている能力や制限は憶測がほとんどだ。いか先輩に関してはいつも一瞬で片付けているので能力が全くの未知数だ。だから最初の4分はいか先輩の能力を調べることに徹するつもりだった。2分でそれが達成できたのだ。十分と言えるだろう…

「さて、今現在雷帝と完全なる模倣の使い手が硬直状態にありますね。何か話しているようですが聞こえませんね。白雪姫は先程、完全なる模倣の使い手を応援してましたが何か理由が?」

「雷帝が嫌いなだけです」

ゆき姉は短くそう答えた。

「あっ、なるほど…ありがとうございます」

納得しちゃうんだ…さて、そんな解説席の様子はともかくこれ以上僕と雷帝が話すことはない。まあ、向こうが勝手に話してきただけだが…

「さて、じゃあ再開しようか〜」

いか先輩はそう言いながら能力を発動させる。

「そうですね。そうだいか先輩、1つだけいいことを教えておきます。僕の能力は僕が知っている能力を制限無しの状態でコピーできます。故に今、僕の前で能力をペラペラと喋ったのは失敗でしたね…」

僕はそう言いながらいか先輩の能力を発動させる。電気への耐性がついた体に電気を纏う。

「これは……」

「雷帝と同じ能力ですね」

驚く聞き手の人にさらっとゆき姉が言う。ゆき姉の言葉を聞き盛り上がってきた!と言わんがばかりに聞き手のテンションが上がる。

「へえ、いいねえ、最高だよ。最高に面白い、白雪姫もいいけど君もいいね。君のことをなめていたのを謝らせてもらうよ。君は強い、こんなに気持ちが高ぶるのは白雪姫以来だ。これなら久しぶりに本気を出せる。さあ、楽しい戦いにしよう。まさか白雪姫以外にわたしの本気を受け入れてくれる人がいるなんて…嬉しい、嬉しい、嬉しい、嬉しい、嬉しい、嬉しい、嬉しい、嬉しい……………嬉しい、ああ…最高だよ。今日はなんていい日なんだ…白雪姫は手に入ってわたしを受け止めてくれる人が新たに見つかるなんて…」

いか先輩が急に狂い出す。いや、元から狂っていたか…

「悪いけど最高の1日にはさせない、僕が勝ってゆき姉との約束を果たす」

そう、ずっと先延ばしにしてきた返事をきちんとしなければならない。ゆき姉のために、僕のために必ず雷帝を討つ。

そういう決意を新たにして僕は雷帝の能力で雷帝と戦う。


















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