とある学園生活は制限付き能力とともに

りゅう

2人の戦い















「久しぶりですね。ミカ様の能力を見るのは…」

「ええ、ずっと封印してた力だから…ずっと、人を傷つけるのが怖くて封印してた。でも、これであなたを止められるなら迷わずに使う」

「かつて剣鬼と呼ばれていたミカ様を思い出します。5歳の頃にミカ様を権力目的でミカ様を襲った連中をたった1人で撃退してしまった頃のミカ様を…」

アシュリーさんがこの話を持ち出したのはこの話を聞いたミカさんが能力を使うのをためらうと思ったからだろう。だがミカさんは全く動揺した様子を見せない。

「アシュリー…悪いけど私はあなたに勝つ。全力でかかってきなさい」

ミカさんの能力は10本の剣を作り出しそれらを自由に操ることができる能力空中を自由に彷徨う10本の剣は攻守両方で力を発揮する。

「ここから一歩も動かずにあなたを倒してあげる」

「それは…楽しみです…」

アシュリーさんは薄い笑みを浮かべながら大量の分身を作り出してミカさんに迫る。

「悪いけどあなたの行動パターンは手に取るようにわかるわ…」

そう言いながらミカさんはアシュリーさんの分身だけを的確に斬りアシュリーさん本体に剣を突きつける。

「何故…」

「何故って、私が何年あなたに守られてきたと思っているの?あなたの戦いを一番多く見てきたのは私なのよ。私にはあなたが次にどう動くのか…どこに分身を作り本体はどこにいるのかもわかる。あなたに勝ち目はない…大人しく降参して一緒にこの戦いを終わらせて…そして一緒にあなたが犯した罪を償いましょう…」

「なるほど…たしかに勝ち目がありませんね。ですが勝ち目がないのはミカ様も同じでしょう…」

アシュリーさんは素早くミカさんの剣の囲いから脱出する。

「ミカ様は私を止めると言っただけで私を殺すとは言っていませんよね。あなたの能力は人を殺すのには適していますが人を捕らえたりするのには適していません。今、ミカ様は私を殺そうと思えばいつでも殺せたはず…なのにも関わらず私を殺さなかったのはミカ様は私を殺そうとしていないということでしょう?」

「………それは…」

「やはりミカ様は優しすぎます。いくら未来のため、ミカ様のためとはいえ私はたくさんの犠牲を払ってきました。もしミカ様が私の意見に反対し自ら戦うことを選んでくだされば私は私の死でこれまでの償いをする覚悟でした。そして死ぬならミカ様の手で殺してもらいたいとも…ずっと……ずっと……大切にしていた方に一生の終わりを告げていただきたいと…」

アシュリーさんは本気だった。故にミカさんは先程から固まって動けずにいる。もともとこれから先、私とアシュリーがともに生きていく未来はなかったのだと…

「アシュリー、私も覚悟を決めていたの…もしあなたを止めることができなかったら私は私の死で今まで犠牲になってきた人達に償いをしようと…」

「ミカ様……どうやら最初から2人でともに進む未来はなかったようですね…でも、ここまでしてしまったからにはもう私は引き返せません。私が勝ってもミカ様が死ぬことのないように願います」

「なら私もあなたと一緒に生きる未来を諦めない。絶対にこれからも2人で生きよう。私はアシュリーのことが大好きだから…アシュリーのいない未来なんて考えられない…」

「ミカ様…とても……とても嬉しいです。ですが決着はつけなければいけません。どちらが勝ってどのような未来になっても恨みっこはなしですよ」

アシュリーさんは目から流れ落ちる大量の涙を拭き取りながら言った。

「ええ…」

もうこれ以上ここで話すことはない。次に話すのは2人で生きる未来で…とミカさんは思い口を塞いだ。

それから2人は互いに声を出すことなく戦った。これ以上話すと互いに戦えなくなってしまうかもしれなかったから…

ミカさんは次々とアシュリーさんの分身を倒していくがやはりアシュリーさん本体には攻撃できずにいた。ミカさんが剣を上手いこと守りにも使うのでアシュリーさんもミカさんに攻撃できず2人は同じような行いを繰り返していた。

「これで終わりよ…」

ミカさんは再びアシュリーさんの本体に剣を突きつけた。先程と同じようにアシュリーさんが逃げようとするがミカさんは10本全ての剣で完全にアシュリーさんの動きを封じた。

「詰めが甘い…あなたが隙だらけにっては意味がないでしょう…」

アシュリーさんの分身がミカさんに迫る。ミカさんは能力に頼らず拳で分身を抑え込もうとしていた。ミカさんがアシュリーさんの分身を殴ろうとした瞬間、アシュリーさんの分身が消えた。







「一体何が?」

レヴナント本部の前でアシュリーさんの大群と戦っていたダイナが呟く。

「決着が…ついた…のかな?」

突然アシュリーさんの分身が全て消えたのを見て百合子先輩が呟く。

「わかりません。ですが、レヴナントに乗り込むなら今がチャンスです。行きましょう」

そう言いダイナはレヴナントに向かって行く。百合子先輩もダイナに続きそれを見たアビリティアの人達もダイナに続く。









「許さない…お前は絶対に私が殺す」

ダイナ達がレヴナントに乗り込んだ時、また別の戦いが始まった。
















コメント

コメントを書く

「学園」の人気作品

書籍化作品