とある学園生活は制限付き能力とともに

りゅう

強壁の敵













「ふう、なかなか厄介なのかしら…さて、どうやって倒してやろうか…」

ヴィオラ先輩が階段の陰に隠れながら呟く。ヴィオラ先輩がどう動くべきか考えていた時、ヴィオラ先輩は慌てて数歩後ろに下がった。

「相変わらず、すごい怪力なのかしら…」

ヴィオラ先輩がネジを作り出して発射するが男は太い腕でネジを全て砕いた。

「おいおい、俺の硬化能力をその程度の攻撃でなんとかできると思ってるのか?」

ヴィオラ先輩が放ったネジを全て砕いた男が誇らしげな顔でヴィオラ先輩に言う。ヴィオラ先輩が相手にしていたナンバーズの男の能力は硬化、自身の体を硬くできるのだ。ヴィオラ先輩の鉄のネジを砕くほどだから相当硬いだろう。

ここで、ヴィオラ先輩は相手に勝つための方法を考えたが全て現実的ではなかった。1つは男に直接ネジを撃ち込んでやること、これはヴィオラ先輩が相手に近づかないとできない、見るからに接近戦が得意そうな相手に接近戦を挑むのは下策だ。もう1つは巨大なネジを作り出して極限まで貫通力を上げること、回転と発射時の威力を上げれば相手を貫くことはできるが恐らく1度しか使えない。外したらヴィオラ先輩の体力が尽きてゲームオーバーだろう。

「全く、なかなかに絶望的な状況なのよ……」

ヴィオラ先輩は苦笑しながら呟き、階段を下っていく。ヴィオラ先輩が階段を一段ずつ降りていっている中、男は真上から飛び降りて一気にヴィオラ先輩に追いつく。

「これならどうかしら…」

ヴィオラ先輩の前に仁王立ちする男にヴィオラ先輩は床に仕掛けておいたネジを発射する。普通のネジだが回転はかなりつけてある。発射速度も最高の設定だ。

ネジが男に当たった瞬間、男は少し痛みを覚えたみたいだが男を倒すには火力不足だった。

「少しは痛かった。だがまだまだだな…俺を倒したいならもっと強力な一撃をいれてみろ」

「ふっ、お望みならそうしてやるのかしら」

ヴィオラ先輩はそう言いながら長さ50センチほどのネジを両手で作り、それぞれ構える。

「これをお前に直接撃ち込んでやるのかしら…」

「ほう、俺を相手に接近戦をしようと……面白い…」

男はそう言いながらヴィオラ先輩に近づきヴィオラ先輩を殴ろうとする。ヴィオラ先輩は男の拳を左手のネジの先端で受け止める。ヴィオラ先輩のネジが男の拳を受け止めた瞬間に回転し始める。

「くっ……」

男は慌てて拳をネジから外す。今が好機と見たヴィオラ先輩は右手のネジを男目掛けて発射するが男はあっさりとヴィオラ先輩が放ったネジを躱した。

「どうやら少しは効いてるみたいなのかしら…」

ヴィオラ先輩は男に向けてそう言いながら右手に再びネジを作り出して構える。

「ちょっとチクっとするくらいだ。対して効いてはいないぞ…」

「そう、なら次からは回転をマックスにしてやるから覚悟しておくのかしら…」

ヴィオラ先輩に再び男が迫る。男が近づくたびヴィオラ先輩はネジをうまく使い男の攻撃を防ぐがいまいち攻撃がうまくできず攻撃はただ巨大なネジを発射するだけになってしまっている。

ヴィオラ先輩が両手のネジを発射したタイミングを狙い、男はヴィオラ先輩にとどめを刺そうと近づいていく。

「間に合え、なのかしら…」

ヴィオラ先輩はそう言いながら両手を重ね力を集中させ巨大なネジを1本作る。

「くらうがいいのかしら、これで貴様を倒してやるのよ」

「やれるものならやってみろ。正面から受け止めてやる」

男はそう言いながら撃ってこいとでも言うかのように仁王立ちする。

ヴィオラ先輩が男目掛けてネジを発射するがネジは男の横を通り過ぎた。男は一歩も動いていない。ヴィオラ先輩が勝手に外しただけだ。

「どうやらもう、あれだけ大きなネジを作る体力はないみたいだな。俺の勝ちだ。あの大きさのネジが作れないならお前に勝ち目はない。お前はよくやった方だ。最後に名を聞いておいてやる。お前ほど強いやつに会ったのは久しぶりだ。忘れることはないだろう」

男はそう言いながら一歩、また一歩と体力を使い切ってまともに動けないヴィオラ先輩に近づいていく。

「私の名前はヴィオラ、ガーディアンズ第11番基地のヴィオラなのかしら…覚えておくといいのよ…」

「ああ、お前の名は忘れないだろう…」

「あと、勝つのは私なのかしら…これは身に覚えておくといいのかしら……」

ヴィオラ先輩がその場で指をパチンと鳴らすと男の頭上から4本の巨大なネジが降り注ぎ男を囲む。

「これで詰みなのかしら…」

ヴィオラ先輩が再び指を鳴らすとネジが勢いよく回転し男を挟み込む。ネジが回転を始めた瞬間、男の悲鳴が響き渡った。

「ちょっとした火傷と擦り傷くらいですむようにしてやってるかしら、無理に出ようとすると切れちゃうから気をつけるのかしら…」

ヴィオラ先輩はニコッとわらいながら男にそう告げる。

「そのネジは私がとめるまでとまらないからしばらくそこに居てくれると助かるのよ」

4本のネジで囲まれた狭い空間で男は何もすることができなかった。ヴィオラ先輩は男をその場に残して再び階段を降り始める。


















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