とある学園生活は制限付き能力とともに
抑制
「はあ、はあ、はあ、もっと…もっと…もっと…壊したい…全てを…壊す……」
アビリティア本部の前で暴れ回るティナちゃんは敵味方関係なく全てを破壊しながらアビリティア本部に近づいていた。
「杏奈さん、どうしますか?あの子が近づいてきてますが…」
アビリティアの兵士が杏奈先生のもとにやってきて尋ねる。
「彼女は敵ではありません、絶対に攻撃してはいけませんよ。念のため本部にいる人全員に避難の準備をするように伝えてください」
「わかりました」
「ティナちゃんが本部に到達する前に志穂さんがとめてくれるといいのですが……」
「そうですね…」
杏奈先生と当夜先輩、花実は心配そうな表情でティナちゃんを見つめる。
「はやく…はやくティナちゃんをとめてあげないと…」
苦しそうに暴れ回るティナちゃんを見て志穂先輩が呟く。だが志穂先輩にはどうすればいいかわからなかった。
「志穂先輩、志穂先輩、どこにいますか?」
花実は慌てながら志穂先輩を探していた。志穂先輩が花実に気づき花実の方へと歩いていく。
「花実ちゃん、何してるの?危ないでしょ、はやくアビリティアの中に…」
「これ…たぶん必要だろうと思って持ってきました。使ってください」
花実はそう言いながら志穂先輩に紙袋を差し出す。
「これは…」
「志穂先輩の服が入ってます」
「ありがとう、花実ちゃん、最悪全裸で行こうと思ってたから助かったわ…」
志穂先輩は少し笑いながら花実から紙袋を受け取り服を着て能力を解除する。
「花実ちゃんは危ないからはやくアビリティアの中に戻って…ありがとう。助かったわ…」
「志穂先輩、お願いです。ティナちゃんをとめてあげてください」
「ええ、もちろんよ」
志穂先輩は優しく笑いながら花実と別れてティナちゃんのもとに向かう。
「あーあ、1人逃しちゃったか〜まあ、あっちにはあいつが向かったから大丈夫だと思うけど…」
花実の前に4と書かれた男が立ち塞がる。
「さて、君に恨みはないけど僕の自由のために死んでもらう。ごめんね。君が抵抗さえしなければ楽に死ねるように殺してあげるから抵抗しないでね」
男はそう言いながらナイフを取り出して花実に近づいていく。
「いや…こないで…」
花実が男に向かって言うが男は足を止めない。
「晴樹…助けて……」
時は少し遡る。
僕とヴィオラ先輩は中央コンピューターがある地下最深部を目指していた。
「あそこの階段を下りるのかしら」
「わかりました」
ヴィオラ先輩が下に続く階段を下り始めるのに続き僕も階段を下る。
「晴樹、危ないのかしら」
ヴィオラ先輩がそう叫びながら僕に向かって先の丸まったネジを放つ。ヴィオラ先輩が放ったネジが僕に直撃して僕は数段上の階段に腰をついた。
「ヴィオラ先輩急に何を……」
僕は目の前の光景を見てゾッとした。さっき僕がいた場所に大きな穴が開いていたのだ。先程ヴィオラ先輩が僕を押してくれなかったらどうなっていたかを考えるだけでゾッとしてしまう。
「どうやら大丈夫だったみたいなのかしら…」
「ヴィオラ先輩、何が…」
「上から来るのよ、警戒するのかしら…」
ヴィオラ先輩が僕にそう言った瞬間、上から1人の男が降ってきた。
「ふう〜おいついたおいついた。間に合ってよかったよかった。さて、侵入者、さっさと死ね」
「死ぬのはお前なのかしら」
ヴィオラ先輩はネジを構えて言う。
『こちらナンバーズ、ナンバー4だ。まもなくアビリティア本部に到着する。到着し次第アビリティア内にいる者全てを抹殺する』
2と書かれた男がぶら下げていた無線機からそのような声が聞こえてきた。
「アビリティアに…だと…」
「これは…まずいのかしら…」
「どうやらナンバーズの一員がアビリティアに到着したみたいだ。これで貴様らに帰る場所はなくなる。大人しく死ぬがいい」
「ヴィオラ先輩、ここは任せていいですか?」
「………わかったのかしら、あっちは任せたのかしら」
「わかりました」
僕はヴィオラ先輩にそう言いながらテレポートを使いアビリティアの方へと移動する。何回かテレポートを使いようやくアビリティアの近くに到着した。
「さあ、大人しく死ぬんだな…」
「嫌だ…お願い…助けて…晴樹…」
男は花実目掛けてナイフを振り下ろす。
「ぐあっっ」
男は悲鳴をあげながら数メートル後ろまで吹き飛んだ。
「花実、大丈夫か…間に合ってよかった」
僕はそう言いながら倒れていた花実を起こす。
「晴樹…どうして……」
「詳しい話は後で…とりあえず今はあいつを倒さないと…」
「痛かったぞ…今のはかなり痛かった。お前を八つ裂きにして俺を蹴ったことを後悔させてやる」
「やれるものならやってみろ!」
こうしてアビリティア前での戦いはさらに激化した。
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