とある学園生活は制限付き能力とともに

りゅう

終わりを告げる者











「この血の渦を見ろ。貴様らが殺し合い死んでいった人達の血だ。死んだ人間の望み通りアビリティアだろうがレヴナントだろうが容赦なく殺してやる」

ティナちゃんはそう言いながら血を操り次々と周りにいる人の命を奪っていく。

「あれ…本当に…ティナちゃんなの…」

アビリティア本部の中からティナちゃんの様子を見ていた花実が次々と他人の命を奪うティナちゃんを見て呟く。

「あれが呪われた少女たる由縁…」

花見の横にいた杏奈先生が呟く。

「じゃあティナちゃんはあの能力でレヴナントの一軍を全滅させたってことですか?」

「おそらくそうでしょう。かなり強力な能力故に能力のコントロールが出来ていないのでしょう…」

「ティナちゃんをとめる方法はないんですか?」

「分かりません…」

花実が杏奈先生に尋ねるが杏奈先生もどうすればいいかわからないでいるみたいだった。

「とりあえず様子を見ましょう。今外に出るのは危険です」

杏奈先生にそう言われ花実は無力さを感じながらティナちゃんを見つめる。

「ティナちゃん、それ以上能力を使っちゃダメ…」

志穂先輩はずっとティナちゃんに声をかけていたがティナちゃんは全く反応しない。

「そこに…だれか…いるの?」

ティナちゃんが志穂先輩がいる方向を見て言う。ティナちゃんの周りに浮いていた血が一気に志穂先輩がいる方に向かう。

「きゃっ…」

志穂先輩はなんとかティナちゃんが放った血の攻撃を避けるが少しかすったみたいで腕から少し血を流していた。

「血を一瞬で固めることもできるんだ…」

ティナちゃんが志穂先輩に放った血が固体化しているのを見て志穂先輩が呟く。

「やっぱり…そこに…だれか…いる?」

ティナちゃんが志穂先輩に向かって歩きながら呟く。

「ティナちゃん、私よ。志穂よ。ティナちゃん、すぐに能力を解除して…お願いだから」

「志穂……志穂……」

ティナちゃんは志穂先輩の名前を呟きながら志穂先輩がいる方向に向けて次々と血を放つ。

「ティナちゃん、もうやめて……」

「志穂…お願い…私を……とめて………」

「え?」

志穂先輩はたしかにティナちゃんの声を聞いた。ティナちゃんの震えるような声を……

「ティナちゃん…わかった。私がティナちゃんをとめてあげる。もう少しだけ我慢してね…」

志穂先輩はティナちゃんに優しく話しかけた。

「志穂…お願い……全部なくなれ、戦いを引き起こすもの全て……」

志穂先輩に自分をとめるように言ったティナちゃんの雰囲気が急に変化した。

「ティナちゃん…待ってて、すぐにとめてあげるから…」

志穂先輩はティナちゃんにそう言いティナちゃんの方に歩き出す。










「本当に見てて気持ち悪いのよ……」

ヴィオラ先輩が僕の大群とアシュリーさんの大群の争いを見て言う。

「たしか目標は地下にあるのかしら…面倒だから一気に降りるのかしら……」

ヴィオラ先輩が巨大なネジを床に打ち付けて僕を連れてネジの上に飛び乗る。

「しっかりつかまってるのよ…」

ヴィオラ先輩がそう言いながら僕達の乗るネジに回転を加える。あっ…ちょっとやな予感が……

「一気に貫くのかしら…」

ヴィオラ先輩が僕達の乗るネジを発射した。直後、ネジは床を貫き下の階へ、再び床を貫き下の階へを繰り返し10階ほど降りてネジの勢いは止まった。

「だいぶ近道できたのかしら、さあ、下を目指すのよ…」

「わかりました…」

ずっと回転しながら急降下していたため今にも吐きそうな僕はふらつきながらヴィオラ先輩の後をついて行った。

「あの…誰かそこにいるんですか?」

僕とヴィオラ先輩が地下への道を探して歩き回っていた時僕達の耳に聞き覚えのある声が聞こえてきた。

「ミカさん?ミカさんですか?」

「え?あっはい…そうですけど、あなたは?」

「晴樹です。ミカさん、大丈夫ですか?怪我とかしてませんか?」

「ええ…大丈夫です」

「ミカさん、今どこにいますか?」

「こっちにいるのかしら…」

ヴィオラ先輩がそう言いながら走り出す。僕もヴィオラ先輩について行く。

「ミカさん、この中にいますか?」

「はい…ここです」

僕が扉を叩くとミカさんが返事をしてくれた。

「ちょっとどくのかしら…ミカさんも扉から離れるのよ」

ヴィオラ先輩の指示に従い僕とミカさんは扉から離れる。ヴィオラ先輩が扉に巨大なネジを発射して扉に穴を開ける。

「さあ、でるのかしら」

ヴィオラ先輩が開けた穴からミカさんが出てくる。

「助けてくださりありがとうございました。また助けられてしまいましたね」

「気にすることはないのかしら…それよりも現状は理解しているのかしら?」

「いいえ、気づいたらここにいたので…今何が起こっているか教えていただけますか?」

「わかったのかしら…」

ヴィオラ先輩がミカさんに事情を説明する。

「そんな…アシュリーが…すみません。私がもっとしっかりしてればこんなことには…」

「こうなってしまったのだから仕方ないのよ…」

「ここにある中央コンピューターを破壊すれば戦いは終わるんですよね?」

「はい」

「では晴樹さんとヴィオラさんは中央コンピューターを破壊してください」

「ミカさんはどうするんですか?」

「私がアシュリーをとめます。アシュリーがこうなってしまった責任は私にありますから…」

「わかりました。じゃあアシュリーさんはミカさんに任せます」

「ええ、じゃあここで別れましょう。私はアシュリーを探しに行くから…」

「はい。ではここで……」

僕とヴィオラ先輩はアシュリーさんと別れて再び地下を目指す。

















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