とある学園生活は制限付き能力とともに

りゅう

全てを捧げる











「そんな…アシュリーさんが…敵……」

アシュリーさんの正体を知った楓先輩が落胆する。

「もしかしてミカさんも……」

「ミカ様はレヴナントには関わってませんよ。これは私がミカ様に更に高い地位に就いていただくためにしていること…」

ダイナの言葉を聞きアシュリーさんがミカさんはレヴナントとは関係ないと断言する。

「さて、話はこれくらいにして…そこのアビリティアの方以外の皆様は全てが終わるまでミカ様と一緒にいていただきたいのです。全てが終わった後アビリティアの時渡りが使える能力者を捕まえてあなた方を必ず未来に返すと約束します」

「へえ、私の正体を知ったからには死んで貰おうとか言わないんですね…」

余裕のなさそうな表情で当夜先輩がアシュリーさんに言う。

「はい。ミカ様はあなた方が未来に無事帰れるように祈ってましたから…」

「あなたが行動するのは全てミカさんのためですよね?」

当夜先輩がアシュリーさんに尋ねる。

「はい。そうです。私はミカ様のためならば殺しでもなんでもやります」

「なら何故あなたは戦争を終わらせようとしないのですか?ミカさんは戦争が終わることを願ってるはずでしょう」

「はい。確かにミカ様は戦争の終結を願ってます。だから私は戦争を終わらせるために動いてます」

「あなたがしていることは戦争を激化させることだと思うのですが…」

「まあ、そう思われても仕方ありませんね。私はせっかく起こった戦争を利用してミカ様に世界を支配できる程の地位を手にしていただこうとしてますから…そのためにもうしばらくは戦争が続くでしょう…」

「そんなことをしてミカさんが喜ぶと思ってるんですか?」

「喜ばないでしょうね…ですが、これもミカ様のため…ですからミカ様には申し訳無かったのですが全てが終わるまでミカ様には眠っていてもらってます。ミカ様がなるべく責任を感じないように…」

アシュリーさんはそう言いながら分身を大量に作り当夜先輩達を囲む。

「どうやら私達を逃がすつもりはないみたいですね……」

テレシアさんがじわじわと当夜先輩達を追い詰めていくアシュリーさんを見て言う。

「みなさんは緑さんと合流し離脱してください。私が時間を稼ぎます」

テレシアさんが両手に剣を作って言う。テレシアさんが作り出した剣で次々とアシュリーさんの分身を倒していく。当夜先輩達が緑先輩と合流しやすいように道を開きながらアシュリーさんを倒して行くテレシアさんだが数で押されかなり劣勢だった。

「テレシアさん、みんな集まりました。はやくこっちに…」

緑先輩がテレシアさんに声をかけるが緑先輩のもとに向かおうとするテレシアさんをアシュリーさんが通さない。テレシアさんを待つ緑先輩達にもアシュリーさんが迫る。

「どくのかしら…」

ヴィオラ先輩がテレシアさんを通しやすくするためにネジを乱射する。巫女さんは緑先輩に倒れないように支えてもらいながら五感全てを失い5体の式神を召喚する。ダイナはビームで楓先輩は電気でアシュリーさんの分身を倒して行くが次々と増えていくアシュリーさんを相手に少しずつ押され始める。

「このままだとまずいのかしら…」

「そうね、緑、テレシアさんの近くまでテレポートで移動できない?」

楓先輩がアシュリーさんの分身を倒しながら緑先輩に尋ねる。

「無理です。テレシアさんを囲むアシュリーさんの数が多すぎて移動する場所がありません」

「ヴィオラ、ダイナ、テレシアさんを囲むアシュリーさんを狙って」

「楓先輩、そんなことしたら後ろから追い詰められます」

ダイナが楓先輩にそう言う。たしかにテレシアさんを囲むアシュリーさんにばかり狙いを定めたら他が手薄になり他の方向から追い詰められることになる。

「くっ、まずい…私の能力がもう….…」

楓先輩の能力が切れてしまい楓先輩が相手をしていた方が手薄になってしまった。

「楓、大丈夫か?」

「うぃ〜当夜〜大丈夫だよ〜」

能力が切れた楓先輩のテンションが急に高くなる。楓先輩の制限は能力を使いすぎるとしばらくハイテンションになり能力が使えなくなるのだ。

「どうやら合流するのは無理そうですね。みなさん、先にアビリティアに戻ってください」

テレシアさんが次々とアシュリーさんを倒しながら言う。

「そんなことできるわけ…」

「いいからはやく行きなさい」

緑先輩の言葉をテレシアさんが大声で遮る。

「あなたたちがいなければ一人で離脱するくらい簡単です。はっきり言ってあなたたちがいると邪魔です。はやく行きなさい」

「テレシアさん…みんな、行くぞ…緑さん頼む…」

当夜先輩の指示に従いみんなが緑先輩の周りに集まり緑先輩の能力で離脱した。




「あなた一人になってしまいましたね…」

アシュリーさんとテレシアさん、2人だけになった地下でアシュリーさんがテレシアさんに言う。

「そうですね。ですが私一人になったからって負けるわけにはいきません…」

テレシアさんが両手の剣を1本の巨大な剣に変えながら言う。

「あなたの本体がどこにいるかはわかりませんが本体に伝えてください。レヴナントは必ずアビリティアが撃つと…」

「遺言はそれだけでいいんですね…」

「遺言?私は生きてここからでる」

テレシアさんはそう言いながら一人、アシュリーさんに向かっていく。



















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