とある学園生活は制限付き能力とともに
明日
「そういえばみなさんはどちらからいらしたんですか?ここら辺じゃあまり見かけない制服ですけど……」
チーズタルトを食べながらミカさんが僕達に尋ねる。
「えーと…」
「なんて言えばいいのかな…」
ダイナと花実が小声で相談する。
「まあ、この際本当のことを言うべきだと思う」
当夜先輩がダイナと花実に言う。まあ、僕も本当のことを言うべきだと思う。みんなも反対しないみたいだった。
「ミカさん、アシュリーさん、あとティナちゃんも…信じてもらえないかもしれませんが今から言うことは本当のことです。僕達は未来から来ました」
「未…来…?」
「ティナちゃんにはちょっと難しいかな…今よりずっとずっと先の世界から来たってことよ」
楓先輩が首を傾げていたティナちゃんに補足する。
「未来から…ですか…」
ミカさんが信じられないというような表情でこちらを見つめる。
「はい。アビリティアの人間の能力で僕達は未来から連れてこられました。何故かはわかりませんが…」
「そうなんですか…大変でしたね…」
「嘘だとは思わないんですか?」
「まあ、最初は疑ってましたけど時間を行き来したりする能力が存在してもおかしくありませんしね…それよりみなさんが未来に戻る方法はわからないんですか?」
「方法があるとすれば僕達をこの時代に連れてきたアビリティアの人間に聞くのが一番だと思うのですが…」
「そうですか…とりあえず何か解決策が見つかるまではうちにいて構いませんので…私達に協力できることがあれば教えてくださいね…」
「ありがとうございます」
ミカさんの言葉を聞いて当夜先輩が頭を下げる。
「とりあえず今日はゆっくり休んでください」
「はい。そうさせていただきます」
デザートを食べ終わった僕達はアシュリーさんの案内でそれぞれの部屋に案内された。僕は当夜先輩と同じ部屋だ。
「ふう〜疲れましたね…」
「ああ、でも野宿しなくて済んで助かったよ」
当夜先輩が笑いながら言う。たしかに野宿なんてことにならなくてよかった……
「それで、晴樹君はこの後どうするべきだと思う?」
当夜先輩が真剣な表情で僕に尋ねる。
「さっきミカさんに言った通り僕達が未来に戻るには杏奈先生の能力が必要だ。晴樹君の能力は全ての能力が使えるだったよね?晴樹君の力でなんとかたらないかい?」
「無理です…杏奈先生の能力の詳細がわからないので……」
「まあ、そうだよね…じゃあ、僕達が未来に戻るには一度杏奈先生と会わないといけないな…」
「そうなりますね…」
「ただ杏奈先生の居場所がな…たぶん杏奈先生はアビリティアの中にいる。侵入するのは大変だぞ」
「そういうことなら適任者がいるじゃない」
突然僕と当夜先輩の部屋の扉が開き楓先輩と志穂先輩が言う。
「たしかに…志穂先輩の能力なら…」
「でも危険だよ。杏奈先生は僕達全員の能力を知っている。侵入するなら志穂さんが適任ってことも知っている…」
「だから晴樹も一緒に行けばいいじゃない。明日6分間だけ志穂と晴樹でアビリティアに侵入、そして情報をできるだけ多く集めてきてもらって晴樹の能力が使えなくなる前にテレポートで脱出」
「なるほど…たしかにそれなら……」
当夜先輩が真剣な表情で考えて言う。たしかに僕が志穂先輩の能力を使い志穂先輩と一緒に侵入すれば安全性はかなり確保される。
「晴樹君、志穂さん、危険だけどやってくれるかな?」
「はい。初めからそうするつもりでしたし…」
「僕もやります」
当夜先輩の言葉を聞き僕と志穂先輩は即答した。
「詳細は明日の朝みんなと話し合おう。とりあえず今日は疲れたしゆっくり休もう…」
「ええ、わかったわ」
「じゃあ、おやすみなさい」
楓先輩と志穂先輩はそう言い部屋から出て行く。
「とりあえず寝ようか…」
「そうですね。もう一日中動き回ってクタクタですし…」
楓先輩と志穂先輩が部屋から出て行くのを見送った僕と当夜先輩は部屋の明かりを消して寝ることにした。疲れがたまっていたせいかその日はグッスリと寝れた。
「晴樹君、晴樹君、朝だよ」
僕が目を覚ますと当夜先輩が僕の体を揺らしていた。
「あっ、当夜先輩、おはようございます」
「うん。おはよう、晴樹君、みんな今お風呂に入っているけど晴樹君も入る?」
「あっ…そういえば昨日入ってませんですね…じゃあご一緒させてもらいます」
僕はそう言いながら着替えを済ませる。
あれ…………
今、当夜先輩みんなって言った?みんな…みんな…もしかして混浴でもしてるのか?
僕は期待に胸を膨らませて浴室に向かった。
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