とある学園生活は制限付き能力とともに

りゅう

能力と制限








西暦2458年4月

僕は神峰学園に入学した。
神峰学園はかつて日本と呼ばれていた国の愛知県と呼ばれていた地区にそびえ立つ高校だ。

神峰学園は現在、アビリティアによる能力の更なる発展のための生徒の能力データのアビリティアへの提供を行なっている。

それにより、神峰学園はかつて愛知県と呼ばれていた地域全てを学園の領土とし、神峰学園の領土は人々から学生の街と呼ばれていた。

実際、神峰学園の領土内に住む人間の大半が高校生なので的を得た表現だと思う。神峰学園はアビリティアへのデータ提供をする代わりに、アビリティアから最先端技術を授かっていた。これにより、神峰学園は全世界で1番発展した都市としても有名になった。

そのせいで神峰学園への入学希望者は軽く9桁は集まる。
その中で入学できるのはたったの10万人だ。
神峰学園は3学年合計の生徒数が30万人というかなり巨大な学校であるとともに世界で一番入学が難しい学校でもある。

この学園への入学基準は1つ、完全な運だ。
この学園は一切試験を行わない、完全なクジ引きで入学者を決めているのだった。そんな中、僕は運良く神峰学園に入学することができたのだった。

僕は神峰学園の制服に手を通し、鏡に向かう。

「よし、行くか!」

僕はアパートの自分の部屋から飛び出して学校に向かう。
アパートへは昨日到着したばかりなのでまだ誰とも話したことはないが知り合いはいる。

「あっ、晴樹だ。おひさ」

僕が振り返るとそこには幼馴染の女の子二瓶花実がいた。

「なんだ、花実か、久しぶり」

僕は適当に挨拶しながら彼女を見る、肩ぐらいまで伸びた長い黒髪、セーラー服に身を包み、短めのスカートそして膝下まで伸びた紺色のソックス、最高っす!僕は目の前に立つ幼馴染を見ながら思った。ぶっちゃけ花実はかなりかわいいそんな花実が男子が好きであろう衣装ベスト10には入りそうな格好をしているのである。眼福としかいいようがない。

「何、人をじろじろ見つめてるのよ変態」

「変態ちゃうわ!それより早く行かないと遅刻するぞ」

僕はスマホに表示された時間を花実に見せる。

「本当だ!やばい!急ごう!」

花実が僕にそう言いながら走り出す。僕も花実の後についていく。




「ここが神峰学園か〜」

「でかいな…」

僕は神峰学園を目の前にして真っ先にそう思った。まあ、30万人も学生がいるんだから当然か…僕はそう思いながら神峰学園に足を一歩踏み入れる。

「あー早く能力欲しいな!」

花実はそう呟きながら歩いていた。
普通能力は中学校卒業とともに得ることができるのだが、神峰学園に入学する生徒は別だ。別に中学校卒業とともに能力を得てもいいのだが、大半の人は神峰学園に入学するまで能力を得ない、何故なら、神峰学園の方が技術が最先端だからだ。つまり、神峰学園で能力をもらった方がいい能力が手に入るのだ。だから神峰学園に入学が決まった生徒は神峰学園に入学するまで能力を得ないのだ。
僕もまだ能力を持っていなかったのでかなり楽しみだ。

僕はクラス発表の掲示を確認した。

「なんだー晴樹と同じクラスかー」

「なんだよ、なんか文句でもあるのか?」

「べつにー」

僕は花実とともに教室に向かう。

教室に入ると周りが知らない人ばかりの為かかなり静かな感じだった。僕達は座席を確認し、席に着く。ちなみに僕は花実の隣の席だった。

その後入学式が終わり、いよいよ僕が能力を得る時がやってきた。

「あーはやく能力が欲しい、はやく、はやく」

「少しは落ち着けよ…」

僕の後ろではしゃぐ花実に僕が言う。まあ、僕も内心めっちゃはしゃいでいるのだが、能力を得るための行列はかなり並んでおり、能力を得るには当分時間がかかりそうだ。

僕達が列に並んでいる横を次々と生徒が歩いていく。もうすでに能力をもらった生徒たちだろう。かなりいい能力をもらえたからかかなり嬉しそうな顔をしている者もいれば、変な能力をもらったからか少し残念な顔をしている者もいた。

「ねえねえ、晴樹はどんな能力が欲しい?」

「うーん、そうだなぁ、ビームが出せるようになるみたいな能力とかかなぁ」

「なんか、男っぽい感じだね…」

花実が苦笑いしながら僕に言う。そりゃあ、ビームは男のロマンだから仕方ないだろう…

「じゃあ、花実はどんな能力が欲しいの?」

「え?私?うーん、困った時必ず私を助けてくれる王子様が現れる。みたいな感じの能力がいいかなぁ」

「うわっないわ…自分の力でなんとかせい!そもそもお前を助けてくれる心優しい王子様なんているわけないだろ」

「ひどっ!何そのいい方」

僕が少しからかうと花実をほっぺを少し膨らませながら僕をぽこぽこと叩く。全然痛くありませーんと言おうとしたらついに僕の番が回ってきた。

「どうかいい能力がもらえますように」

「ふっ、どうせ変な能力しかもらえないわよ、変態だもん」

「変態ちゃうわ!」

祈りながら歩く僕をからかってきた花実に突っ込みを入れながら僕は部屋に入る。

部屋に入ると巨大なコンピューターのような物が設置してあった。

係りの人が僕の腕に注射器のような物を刺し、コンピューターと僕を注射器についているケーブルで繋いだ。

「では、このパネルに手のひらを当ててください。数秒後に能力が表示されますので」

僕は係りの人の指示に従いパネルに手のひらを当てて数秒待つするとパネルに文字が表示された。

『能力ランクS:全ての能力を使うことができる』

パネルに表示された文字を見て僕は喜ぶ。係りの人もかなり驚いているみたいだった。
あとで聞いた話だが、能力ランクはCからSまであり、Cが一番低く、Sが一番高いという感じだ。

「では、続いて制限をつけさせていただきますね。今度はさっきとは別の手でパネルに触れてください」

僕は先程とは違う方の手でパネルに触れた。
数秒後パネルに文字が表示された。

『制限ランクC:制限、1日7回しか能力が使えない、1分間の使用で1回とみなし、同時に能力を使った場合は2回分とカウントする』

「「え?」」

僕と係りの人は同時に驚きの声を上げる。
つまり僕は1日に最高で7分しか能力を使えないと、3分しか戦えない正義の味方よりかはマシだけどこれは酷くないか…

こうして最高の能力と最低の制限とともに僕の学園生活は始まった。








「とある学園生活は制限付き能力とともに」を読んでいる人はこの作品も読んでいます

「学園」の人気作品

コメント

コメントを書く