とある学園生活は制限付き能力とともに

りゅう

23:アビリティアへ










「ここ、は……」

僕が目覚めると橙色の空が見えた。僕は起き上がり周囲を見渡す。

周囲には崩壊した建物、崩壊した街…とても信じられない光景だった。

「何だ…これ…」

僕は夢でもみているのかと思った。

「あっ、晴樹…晴樹……」

僕を見つけた花実が僕のもとに駆け寄ってくる。

「晴樹…よかった…私…怖くて…」

花実がそう言いながら僕に抱きついてくる。やっぱり夢なのかな?だって花実が僕に抱きついてくるなんて…

「晴樹、ここどこなの?他のみんなは…?」

花実が僕を抱きしめる力が強くなる。不安なんだろうな…僕も花実がいなかったらとても落ち着いていられなかっただろう。花実がいると何故か心が落ち着く。

「ごめん、僕にもわからない…」

「そう…だよね…ごめん…」

花実はそう言い僕から手を離す。

「いや、仕方ないよ…こんな状況じゃ……花実、離れて!」

僕はとっさにテレポートを使う。まず花実を僕の少し後ろに逃がして僕は突然ナイフを持って襲ってきたやつの後ろにテレポートで移動し、敵を蹴りつける。

「晴樹!」
「花実、近くで隠れてろ」
「でも…」
「はやくしろ!」
「わかった…」

花実はそう言い近くの瓦礫に身を隠す。それを確認し、僕は敵を倒しに向かう。

「とりあえず気絶してもらうのが一番いいかな…」

僕はそう判断して楓先輩の能力を発動させテレポートで敵の後ろに移動し大量の電気を流し込み気絶させた。

「ふう、とりあえず大丈夫かな…花実、もう大丈夫だよ」

「そう…お疲れ様、ありがとう助けてくれて…」

「気にしなくていいよ。それより、こいつをどうしようか…」

「その者はこちらで回収させていただきます」

僕と花実は突然現れた声の主の方へ振り向く。

「あなたは…?」

「申し遅れました。私、テレシアと申します。みなさんをこの時代に呼び出した者、と言えば私についてきてもらえますか?」

長い赤髪の綺麗な女性、テレシアさんが僕達に言う。

「僕達をこの時代に呼び出した…?」

「はい。詳しくはアビリティア本部で話をさせていただきたいのです」

「アビリティア?アビリティアってあの…」

「いえ、おそらくあなたが言うアビリティアと私の属するアビリティアは少し違うでしょう….」

アビリティアという言葉への花実の反応を見てテレシアさんが言う。

「とりあえず少し質問をしていいですか?」

僕がテレシアさんに向けて言う。

「ええ、構いませんよ」

「まず、僕と花実以外のみんなは今どこに?」

「現在、ダイナさん、当夜さん、杏奈さんはアビリティアで保護しています。それ以外の方は現在捜索中です」

「だったら私達はまずみんなを探しに行きます」

花実がテレシアさんに言うとテレシアさんは困ったような表情をする。

「それは困ります。私達にはあなた方の力が必要なのです。ですから私達はあなた方を見つけ次第保護する方針をとっています。今、あなた方が私達から離れて仲間を探すよりも確実にはやく仲間の方々と再会できるでしょう」

「でも…」

おそらく花実は先程の僕達のようにみんなが突然襲われたりしないのかが気になっているのだろう。

「あと、あなた方を連れて行かないと私達はあなた方の先生との約束を破ることになってしまいます」

「約束?」

「はい。あなた方を全員無事再開させることです。とりあえずこれを聞いてください」

テレシアさんがポケットからボイスレコーダーのような物を取り出して再生ボタンを押す。

『みなさん、聞こえてますか?杏奈先生ですよぅ。今、先生はアビリティア本部でみなさんを待っています。この声を聞いた人はアビリティアの方に従って行動してください。他の仲間が心配でしょうけど今、この状況では自分の身の安全確保を最優先に行動するように…』

声が止まりテレシアさんは停止ボタンを押す。

「杏奈先生の声だったな…」

「そうね…」

「聞いてのとおりあなた方の先生はあなた方が私達に保護されるのを望んでいます…どうしますか?」

「晴樹、どうする?」

「杏奈先生の指示に従おう。テレシアさん、僕達はあなた方を信じてついていくことにします」

「ありがとうございます。では、アビリティア本部まで案内させていただきます。ここから少し歩いたところにあるのでついてきてください」

テレシアさんは僕達にそう言い、歩き出す。僕と花実もテレシアさんの後に続く。













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