とある学園生活は制限付き能力とともに

りゅう

少女との出会い








「志穂は少しさがってなさい」

突如謎の光に呑み込まれ気づけば見知らぬ場所で志穂と2人きりになっていた。私と志穂はみんなを探して歩き回っていたが現在、謎の武装集団に襲われていた。

「撃ちまくれ!」

武装集団のリーダーらしき男が周りの連中に指示を出す。
リーダーらしき男の指示を聞いた連中が銃を私に向けて連射する。

「そんな弾丸、私には届かないわよ!」

私は能力を発動させて電気を身に纏う。電気の力で弾丸の軌道を逸らし敵が放つ弾丸を全て躱した。

「まったく、か弱い女の子2人に銃を向けるとか、どんな神経してるのよ…」

私は電気の力で周りの瓦礫などを持ち上げて武装集団目掛けて次々と振り下ろして行く。

「まずい、全軍撤退、撤退だ〜急げ…」

必死になって叫んでいた武装集団のリーダーらしき男に瓦礫が直撃し気絶した。リーダーらしき男は周りにいた連中に運ばれていった。

「ふう、片付いたわね…志穂、もう大丈夫よ」

「ありがとう。楓ちゃん、怪我とかしてない?」

「ええ、大丈夫よ。心配してくれてありがとう」

「それにしてもさっきの人達はなんだったのかしら?」

「さあ、わからないわ。とりあえずみんなと合流しましょう。みんなも光に呑み込まれていたはずだから…」

「そうね。じゃあ行きましょうか、楓ちゃん」

「ええ…また襲われるといけないから身を潜めながら進むわよ」

「そうね…わかったわ…」

私と志穂はみんなを探すために周囲を警戒しながら再び歩き出した。

「それにしても酷い有り様よね。ここどこなの?」

「さあ、わからないわ。何か戦いが起こった後みたいな感じだけど…」

志穂が周りをキョロキョロと見渡しながら言った。志穂の言う通り、建物のあちこちが破壊されており人もいない、私達が目覚めた場所からここまで同じような感じだったのでおそらくここは戦場なのだろう。

「一体何が起こってるの…」

「楓ちゃん、あそこに人が…」

志穂が私が見ていた方向とは別の方向に指を向けて言う。志穂が言った通り道の真ん中に人がぽつんと立っていた。まだ小学生くらいの女の子みたいだ。

「なんであんなに小さな子が一人でこんなところにいるのかしら?」

「わからないけどとりあえず行ってみよう。一応警戒はしときなさいよ」

私は志穂にそう言いながらぽつんと立っている少女に近づいて行く。

「わかってるわ」

志穂がそう言いながら私に続く。

「ねえ、こんなところで何してるの?」

志穂が少女に優しく話しかけるが少女は反応しない。まるで魂が抜けたかのようにただぽつんと立っているだけだった。

「ねえ、聞いてる?」

志穂が再び優しく話しかける。

「私に…関わらないで…お姉さん達みたいに私に優しく話しかけてくれる人を…苦しめたくないの…だからお願い…1人にさせて…」

少女は小さな声でそう呟いた。悲しみに塗れたその声を聞いた私達にはその子を1人にすることはできなかった…

「そんなことできるわけないじゃない。両親とかは近くにいるの?」

私が少女にそう尋ねると少女が泣き始めてしまった。
泣き始めてしまった少女を見て私達はどうすればいいかわからなくなってしまった。

「近くにいないの?」

志穂が優しくそう尋ねる。

「私が…殺した…お母さんも…お父さんも…」

「「え?」」

少女の言葉を聞き私と志穂は言葉を失った。

「それは…どういうこと?」

志穂が再び優しい声で少女に尋ねる。

「そのまんま…私が…殺したの…私が…」

少女がそう言いながら泣き崩れる。地面に膝をついた少女を志穂がそっと受け止める。

「大丈夫…大丈夫よ…何があったかわからないけど…あなたがそんなことするわけないから…だから落ち着いて私達に何があったのか話してみて…」

「お姉ちゃん…話しても私から離れてかない?」

「ええ、絶対に離れたりはしないわ…ずっと側にいてあげる。約束しようか…」

志穂が優しくそう言いながら指を少女に向ける。

「約束…?」

「知らないの?じゃあ私が一緒にやってあげるわ」

私は少女の手を握りいつも私と志穂がしているような約束をする。

「あとは…」

志穂がポケットからハンカチを取り出して少女の涙を拭き取る。

「これで大丈夫…さあ、話してみて…」

「うん。わかった…」

少女が私達に何があったのかを話し始める。














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