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異世界は割とどうでも良かったけど地球もピンチらしいので行ってきます。但し相棒のおかげで胃がマッハです。

N通-

地下牢での攻防?

 薄暗い地下牢。ここだけは周囲が石材で取り囲まれていて、鉄格子がはめ込まれている。換気窓も無いため、息が詰まるようなカビ臭い匂いが立ち込めていて、たまに漂う異臭の正体には触れたくなかった。

 僕はそんな地下牢で胡座をかいていたが、立ち上がって仲間を見回す。

「さて、ここで黙って待っているわけにもいかないけど、どうする?」

「なにがー?」

「なのですー?」

 二人は完全にくつろぎモードになっていた。モモがリアのひざまくらで全力で脱力していて。リアも石壁に背をもたれさせてモモの頭を撫でつけながら、目を細めてリラックスしている模様。
 
「君達には危機感ってものがないのか!? 特にそこのポンコツ勇者! 一体誰のせいでこうなったと思ってるの!?」

「聖剣が柔らかかったせいかしら?」

「違うよ!? 君の馬鹿力のせいだよ!?」

 全く反省している様子がなかった。
 
「まあいいじゃないの、明日には出られるわよ」

「床がひんやりしてて落ち着くのですー」

 いや、普通冷たい石畳とかごつごつとして痛いと思うんだけど……。
 
「モモはこういう場所が好きなの?」

「お家を思い出すのですー。おとーさん元気かなあ」

 僕とリアは何気ないモモの言葉に押し黙ってしまった。いつかモモには真実を話さないといけないと思いながらも、その時が来るまでまだ大丈夫だ、と自分たちに言い聞かせるようにこの話題は避けていた。
 
「と、とりあえず、折れた聖剣を元通りにしよう!」

 僕の提案に、リアは眉をひそめる。

「どうするの? 私鍛冶技術なんて持ってないわよ?」

「僕だって持ってないよ! そうじゃなくて、僕の魔法で――」

「まあまあ、どのような魔法でしょうか?」

 突如割り込んできた声に驚き振り向くと、そこにはいつの間にいたのか鉄格子の向こうにティエル女王の姿があった。

「えっ!? あっ!?」

 しまった、迂闊なことを聞かれた!
 
「マサヤ殿は、どうやら聖剣を直す術をお持ちのようですね?」

 ニッコリといつものように微笑んでいるが、注意深く見ると目が全く笑っていない。
 
「あー、そ、それはそのう……」

 何とか誤魔化せないだろうか、そう考えていると、女王の背中からぴょんと何者かが飛び出した。
 
「なんだなんだ、お前たちが捕まったと聞いて心配して来てみれば、案外元気そうじゃないか!」

「トラムス!」

「生きていたのね!」

「勇者リア、それはあんまりな言葉です……」

 リアの言葉に地味に傷ついているトラムス。しかし、何故女王とトラムスが一緒に来ているのだろうか?
 
「実は、色々とご相談したい事があって参ったのですが、早速課題の一つは解決しそうで安心しました」

 ティエル女王がその豊かな胸をぽよんと揺らしながら撫でているのに思わず視線が吸い寄せられてしまう。するとガンッと後頭部をリアに強打された。
 
「痛いな、何をするんだ!」

「フン、鼻の下を伸ばしてるのが悪いのよ!」

「僕は男だぞ! 当然の行為だ!」

「開き直った!?」

 僕の男らしい(?)宣言に、ティエル女王はちょっと照れたように身をよじり、心なしか胸を隠すように手で覆う。
 
「相変わらずバカだな、勇者は……」

「はん、お前みたいな子供にはまだわからないのさ!」

「僕はガキじゃない!」

「子供はみんなそういうんだよ」

 僕が子ども相手に不毛な言い争いをしていると、ティエル女王が小首を傾げて驚愕の事実を告げる。

「トラムスはもう成人していますよ?」

「えっ!?」

「エルフの男子は十二歳で成人と同じ扱いをされますからね。トラムスももう立派なオトナです」

 “そういう扱い”にしなければならない程、エルフの男子不足は深刻なのだということだろう。
 
「勇者リア、心配しましたよ!」

 トラムス少年は鉄格子にしがみつくようにして、リアに呼びかける。
 
「ありがとう、トラムス。でも私は大丈夫よ! 何しろ勇者なのだから、このぐらいの事でめげたりしないのよ!」

「君は少しは反省しろっ!!」

 僕はリアの正面に立つと、頭グリグリ攻撃を繰り出した。
 
「痛い痛い!? ご、ごめんなさーい!!」

「はあ、これでは落ち着くまで話も出来ませんねー」

 目の端に憂うように溜息をつくティエル女王の姿が見えたが、僕は構わずリアにお仕置きを執行していく。トラムスも何かわめいているが気にしない。
 
「ふう、これで懲りたかい?」

「あい。ずびばぜんでじだー……」

 泣きながらこめかみを抑えているリアを一瞥して、僕はティエル女王に向き直る。
 
「それで、ご相談というのは?」

「このトラムス少年の事なんです。実は……この国には彼の居場所がないのです」

「「は?」」

 僕とトラムスの声がかぶり、同時にティエル女王を見詰めた。

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