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異世界は割とどうでも良かったけど地球もピンチらしいので行ってきます。但し相棒のおかげで胃がマッハです。

N通-

ムッツリスケベ

「ぐうぅぅ……あだまいだい……」

 朝、起き上がって頭痛を堪えているリアに僕は満面の笑みで挨拶した。

「おはよう、リア。それ何ていうか知ってる? 二日酔いって言うんだよ!」

「じっでるわよぉー……マサヤのバガァ……」

「調子に乗ってお酒飲んだりするから……これに懲りたら、お酒は控えること! 解った?」

「わがっだがら……魔法……がけて……」

 二日良いって解毒魔法効くのか? 物は試しか。僕は、リアの頭に触れてさっと呪文を唱えた。

「“キュア”」

 僕の身体から魔法の光が広がり、リアの身体がふわりと白く輝いた。光が収まったリアは、パチパチと目を瞬いて、頭を軽く振っている。すぐに興奮したように顔を輝かせた。

「凄いわね、すっごく効いたわ!」

「効くんだ、二日酔いにも……」

 新発見だ。この世界ではお酒は毒物扱いなのだろうか。うーむ、基準が解らん。

「ま、いいか。ほらほら、さっさと起きた起きた! ほら、モモも朝だよー!」

「うにゅぅー……眠いのですぅー……」

 珍しいな、モモがグズるとは。しかし、こんな時の扱いも僕は心得ている。

「そう? それじゃあモモの分の朝ごはん僕とリアで半分こして食べる事にするよ」

「起きるのです!!」

 効果は抜群だ!

 起き出してきたモモの身支度をリアに任せ、僕は背を向けて自分の支度を整える。途中クリーンの魔法をかけるのも忘れずに、さっぱりとした後に着替えをする。

 ……いつも思うんだけど、これ振り向いたらリアのあられもない姿が――。後ろから聞こえてくる衣擦れの音に、ゴクリと喉を鳴らす。ど、どうせ女神様の罰で死にはしないんだ、ちょっとくらい、ちょっとくらい……。

 意を決してバッと振り向くと、そこには完全に着替え終わって裾周り等を確認しているリアと、くるくる回っているモモがいた。僕の視線に気付いて、リアの目が剣呑なモノに変わっていく。

「ねえ、マサヤ? 私まだ“いいわよ”って言ってないよね? どうして振り向いたのかなー?」

 とても綺麗な笑顔だが、目は全く笑ってなかった。ああ……これ終わったな。諦観の念に駆られていると、追い打ちがかかる。

天罰てんばつ覿面てきめん!!』

 ズガンッ!! といつも以上に凄まじい電流が体中を駆け抜けて、髪の毛がちりちりになるほど身を焼かれた。バタリと倒れ込んだ僕は、目線をリアに向け。

「あの、手加減よろしくお願いします」

「すると思う?」

「ですよねー」

 とある日の朝。宿屋から絶叫が響き渡って衛兵が駆けつける騒ぎになったのである。


 朝ごはんを食べ、時間までゆっくりすることになったのだが、中々の修羅場が広がっていた。

「頼むよリア、いい加減機嫌を直してよ」

 僕は情けなくもリアにペコペコと頭を下げ続けているが、一向に聞く耳を持ってはくれなかった。

「もうっ、マサヤのバカっスケベっ! 妹ちゃんに会ったら言いつけてあげるんだから!」

「止めてマジで止めて殺されるからっ!!」

「ちょっ、そんな必死にならなくても」

 必死にもなろうってものだ。もしもこんな事が咲にバレたら……。僕は高校一年の春を思い出した。

 ――その頃、中学でちょっと仲良くなった女の子がいたのだけれど、その子とただ一緒に帰っている所を咲に見られただけで後程一時間問い詰められた。今気になっていると白状したら更に二時間説教された。どこまで行ったのかまで聞かれて、聞かれてる僕のほうが恥ずかしかった程だ。

「あの程度のことで、あれだけ問い詰められたんだ、女の子に不埒な真似をしたなんて知られたら……」

 想像するだけで顔が青くなる僕を見て、流石にリアも引いていた。

「前々から思ってたけど、ぶっちゃけマサヤの妹って危ないんじゃ……」

「否定は出来ない……」

「出来ないのっ!?」

「マサヤの妹に早く会いたいのですー」

 一人モモだけが僕の妹に会いたがっている。

「大丈夫だよ、モモ。もうすぐ会えるからね」

「マサヤ、目がおかしくなってるのです? まるで死んだおさかなみたいになってるのです」

「僕は大丈夫さ、ハハハ」

 妹に会えるのは、確かに嬉しさもある。何と言ってもあれだけ慕ってくれているのだから。しかし、たまに少々行き過ぎな愛情表現をしてくる時がある気がするのだ。それを咲に言うと世の兄妹はそんなものだとまたお説教されて、納得していたのだが。

 異世界に来て、咲がいない生活が始まると徐々におかしいんじゃなかろうかと思い始めてきた。

「まあ、妹の事はまず置いておこう。次からは着替えるときは僕が部屋を出てるよ」

「えっ、そこまでしなくてもいいわよ!? そ、その。外で待ってても退屈だし、時間の無駄でしょ?」

「でも……」

「いいの! マサヤは一緒の部屋で背中向けてくれてればいいんだから!」

「でないとマサヤの裸が見れないので、モモとリアが困るのですー」

「ちょっモモ!? 何を言ってるのかしら!?」

「モモ、そこのところ詳しく」

「リアはいつもマサヤが着替える所見ながら着替えてるので――もががっ!?」

「――リア?」

「な、何かしら?」

「このムッツリスケベ! ずっと僕の着替える所見てたのか!」

「ちちちちち違うわよ何を言ってるのかしらそんなわけないじゃない勇者であり王女でもある私がそんなはしたないことするわけないでしょね? ね?」

 等と一息で弁明をするリア、ここで攻守が逆転した。

「お し お き だ!」

「ひーん、許してー!!」

 いつもの頭ぐりぐり攻撃を間近で見ていたモモがまたしても恐怖に震えていた。

「お、お仕置き恐ろしいのです……!」

 その後僕らはお互いの非を認めて、仲直りをした。着替えも今まで通り、ただし絶対振り向かないという取り決めを交わす。……本当はお互い着替えてる間出てる方がいいんだけど、まあ仕方ないか。

「さ、そろそろ約束の時間だ。正門に行こう!」

 二人を促して、僕らはドレンさんが待っているであろう正門へと向かった。

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