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異世界は割とどうでも良かったけど地球もピンチらしいので行ってきます。但し相棒のおかげで胃がマッハです。

N通-

お買い物?

 その日の晩は公爵の城に泊めてもらい、明けて翌日に僕達は出発することにした。セーゲル公爵や、モモの面倒を見てもらっていたメイドさん等がわざわざ見送りに来てくれる。

「メイドのおねーさん、また遊ぼうなのですー!」

「モモちゃん、また遊びにいらっしゃいね」

 すっかり仲良くなったようで、メイドさんもにこやかに手を振って僕達を見送ってくれた。

「それではセーゲル公爵、お世話になりました」

「おじさま、また遊びに来るわね!」

「うん、待っているよ。何か困ったことがあったら相談に来なさい、いつでも歓迎するからね」

 セーゲル公爵は本当に人が出来ている。ちょっとは横のポンコツ勇者にも見習って欲しいものだ。

 城門をを抜け、更に貴族街も通り過ぎ、ようやく平民街まで辿り着く。

「来た時は馬車だったから楽だったけど、結構距離あるなあ」

「こんなの、テレシーの王都に比べたら全然マシでしょ?」

「うん……まあ……毎日走ってたから知ってる」

「わわ、おにーさんの目から光が消えていっているのです!?」

「はは、大丈夫だよ。僕はダイジョーブ」

「あの程度でへこたれるなんて、マサヤは本当に身体が弱いのね!」

「違うから!? 君やルッケインさんがおかしいだけだから!?」

「おにーさん元気になったのです!」

 突っ込みは元気のウチに入りますか?

「ところで、モモのステータスってどうなってるんだろう?」

「そういえば、身体能力は高そうよね」

 モモはまだ出会ったばかりなので、ギルドカードの発行もしていない。レベルはそんなに高くないにしろ、ステータスはかなりのものを持っていると思う。

「とりあえず王都に戻ったら、モモのギルドカード作ろうか?」

「そうね、それがいいわね!」

「なのです?」

「大丈夫、モモは何も心配しないでいいのよ!」

「なのです!」

 両手を上げてバンザイしてダーッと駆けていくモモ。それを見ているだけで僕達は癒やされてしまう。

「しかし、モモは最終的にどうしたらいいんだろう?」

「そうね、どこか信頼のおける場所に預けるか、或いは……」

「或いは?」

「マサヤみたいに鍛え上げて私達に着いて来させる――」

 スパーンとリアの後頭部をはたいた。

「いったーい!! いきなり何するのよ、マサヤ!」

 後頭部を抑えて涙目で睨んでくるリア、僕はそれを真っ向から睨み返した。

「あんな子供を戦場に連れて行くとか正気か!?」

「何言ってるの、多分モモはもうすぐ成人の年齢よ?」

 何だって? 改めて走り回って屋台を次々に物色しているモモを眺める。どうみても子供だ。日本で言えば中学生入ったくらいか?

「そう言えばステータスを見れば年齢見れるんだっけ。僕は絶対成人前なんて認めないけどね!」

「じゃあ賭けましょう! 勝った方が言うことを聞かせられるの、どう?」

 にやりと笑うリアには絶対の自信があるようだった。しかし、僕は自分の直感を信じる。いいだろう、受けて立とうじゃないか!

「後悔しないでよ? 後でビービー泣いても知らないからね?」

「あら? 泣かされるのは今度こそあなたよ、マサヤ!」

 ふっふっふ、とお互い暗い笑みで睨み合っていると、ひょっこりモモが現れた。

「どうしたのです、おにーさんおねーさん。もぐもぐ」

「ん、いやちょっと……って何食べてるのモモ!?」

「モモ、お金はどうしたの!?」

 モモははてな? と首を傾げて屋台を指差した。

「お店の前に行ったらくれたのです」

 彼女が言う屋台を見やると、気の良さそうなおじさんがぐっと親指を立ててニヒルに笑っている。

「モモ、食べ物はお金と交換しなくちゃいけないんだよ!?」

「いい、モモ。人間は、これを使って食べ物と交換するの。それを買い物と言うのよ」

 リアが懐から彼女のお小遣い分として分けたお金を見せて説明する。するとモモは眉根を寄せて不機嫌そうに言った。

「うー? か、買い物くらいモモでも知ってるのです! ただじっと見てたらおじさんが分けてくれたのですー!」

 しまった、ちょっとモモの事をバカにしすぎだったか? どうやらドラゴンからある程度の常識については教わっていたらしい。まあ、モモみたいに可愛い子にずっと見られてたら奢りたくなるのも男なら解らんでもない。とはいえ――。

「おじさん、今回はごめんなさい。ちゃんと代金は払いますから」

「いいよ、あの笑顔に俺はやられちまってねえ。俺にも娘がいたらこんな可愛い子になっていたのかと思うと、胸が熱くなってな」

 おじさんは気前よく言ってくれるが、それではモモへの教育によろしくない。

「ごめんなさい、それでも彼女には買い物を覚えてほしいから、代金は受け取って欲しいんです」

「そうかい? まあどこぞの貴族のお嬢様に見えるし、買い物もしたことない口なのかい?」

「ま、そんな所です」

 毎度、とおじさんにお金を渡し、モモに余り物欲しそうな顔で店の前に立ったりしないように注意した。

「何でなのです?」

「それはお店の迷惑になるからだよ。モモだって、自分の分の食べ物をずっと人に上げ続けたらなくなって困るだろう?」

「た、食べ物が無くなるのは困るのです!」

「だろう? だから、僕達は食べ物の代わりにこのお金を払って、お店のおじさんは新しい食べ物を作ることが出来るんだ。わかるかな?」

「う、うー。うん。わかったのです」

 ちょっと難しかったかもしれないが、モモは何とか解ってくれたようだ。

「ふう、娘が出来たらこんな感じなのかしらね?」

 確かに、子供に言い聞かせるようなものだ。っていうか実際子供だし。

「そしたら僕がパパで君がママだね」

「なぇうぇええ!?」

 リアが聞いたこともない場所から声を発している。周囲の視線が突き刺さり、大変居心地がよろしくない。

「驚きすぎだよ、軽い冗談じゃないか全く」

「きっ」

 リアは僕を睨みつけると、ゲシっと思い切りスネを蹴られた。

「あがっ!? 何て痛い所を蹴るんだよ!」

「知らないっ、マサヤのバカッ!」

 本当、女の子はいつだって理不尽だ。モモにはこれを見習わせてはならないなと、僕は心の中で硬く誓った。

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