異世界は割とどうでも良かったけど地球もピンチらしいので行ってきます。但し相棒のおかげで胃がマッハです。
新しい目的地
「すぴー、もうはしれにゃいのですー……」
俺の背中からモモの寝言が漏れてくる。何しろ今日は全力で駆け回っていたからなあ。木で作ったフリスビーもどきを使って遊んだりしていたっけな。完全にモモが力尽きて眠ってしまったので、こうしておんぶして運んでいる。
「それにしても、綺麗にととのえたらこんなに可愛い子だったんだなあ」
初めて会った時の印象が強すぎて、本当にお嬢様にしか見えない。やってることは野生児だけどね……今日も泥だらけで遊んでたし。
「珍しい髪色だし、どこかの貴族の私生児かもしれないわね」
リアはそんなモモを見て、ぽつりと呟いた。こちらの髪色事情に詳しくはない僕は、ピンク色も普通にいるのだと思っていた。
「そうなの?」
「ええ、こんな見事なピンクブロンドは見たことがないわ」
ということはやっぱりルーラン帝国の捨て子なんだろうな、道も近かったし。
「まあ細かい事はいいじゃない、今は私達の妹何だから!」
「はは、そうだね……、よいしょっと」
寝室に着き、モモをベッドへと横たえる。
「さて、公爵に状況報告に行かないとね」
「そうね……おやすみ、モモ」
「おやすみなさい、モモ」
僕達はモモの寝ている寝室の扉を静かに閉めた。
場所を移して、僕達は応接室へと足を運んだ。そこでは既に公爵が待ち受けていたので、二人で席につき、事の次第を報告する。
「ほう、そんな事がなあ。ハハハ、兄上も強引だな」
「笑い事じゃありません、おじさま! こんなモノ受け取ったばっかりに、マサヤが狙われてるんですよ!」
気楽に笑う公爵に、リアはたまったもんじゃないとばかりに吠える。
「しかし帝国貴族の私としてはその方が都合が良いしな」
「おっおじさままで!?」
茶目っ気を出して笑う公爵に、リアがすっかり翻弄されている。
「まあ、冗談はおいといて。公爵、僕らはこの後テレシー国へと戻るつもりです」
「まあ、そうであろうな」
「そこから、しばらくは力をつけて、魔族の大地を目指して旅をするつもりです」
「ふむ、なるほどな。二人旅か? 色々と問題がありそうだが……」
公爵の言わんとしていることはわかるが、僕とリアはそういう仲でもないし、サバイバル術もギルドで受けている。そして何より旅の一番の問題である荷物は全てアイテムボックスを持っているリアが担ってくれるので、全く問題にはならない。え、モンスター? 盗賊? ははは、ご冗談を。リアに敵うはずないじゃん?
「と言うことでご安心を」
「マサヤのバカ……」
僕が太鼓判を押した時にリアが何事か呟いたが、よく聞こえなかった。公爵は難しい顔をしていたが、不意に思い出したように顔をあげる。
「そう言えば下賜されたのは貸与された聖剣一振りなのだな? それで、どちらが使うのだ?」
「それはもちろんマサヤでしょ。今でも私にレベルで劣ってるし」
「うぐ、それは確かにそうだけどハッキリ言われると傷つくな」
「ではリアの大剣はそのまま使用するつもりかな?」
公爵の問に、リアは大きく頷いた。
「ええ、もう馴染んでしまっているし、何よりこれ以上の武具は王都では用意できないってハッキリ言われちゃったから」
そうだったのか。確かにリアの大剣は見るからに特注品だとは思っていたが、これが王都の技術を結集して出来た最高傑作なのかと思うと箔がついて見えるから不思議だ。
「では、そんなリアにとっておきの情報を送ろう」
「とっておき!」
言葉の響きだけで目をキラキラさせているリア。
「テレシー国と国交のある、北の国ルイアがあるだろう? そこには大剣の聖剣が納められていたという話を聞いたことがある」
「私にピッタリね! ルイア王国なら共同戦線を張ってる国でもあるし、私にも貸してくれるかも!」
どうやら、次の目的地が決まったらしい。しかし北の国か……。
「北の国ってことは、寒いんだろうね」
すると公爵とリアがきょとんとした顔をして僕を見てくる。
「ルイアはすごく温かい国よ? 何しろエルフが住んでいる大森林があるんだもの」
「リアの言うとおり、ルイアは魔族領と国境線を接しているという以外はかなり過ごしやすい気候だぞ?」
なんでだよ! 北の国って普通極寒じゃないの!? という僕の心の叫びが届くはずもなく、ふたり揃って物知らず扱いされてしまった。仕方ないじゃん! こっちの地理なんかわかんないんだから!
「とにかく、次の目的地はルイアに決定ね!」
「はいはい、どこまでもお付き合いいたしますよ、勇者リア様」
俺の背中からモモの寝言が漏れてくる。何しろ今日は全力で駆け回っていたからなあ。木で作ったフリスビーもどきを使って遊んだりしていたっけな。完全にモモが力尽きて眠ってしまったので、こうしておんぶして運んでいる。
「それにしても、綺麗にととのえたらこんなに可愛い子だったんだなあ」
初めて会った時の印象が強すぎて、本当にお嬢様にしか見えない。やってることは野生児だけどね……今日も泥だらけで遊んでたし。
「珍しい髪色だし、どこかの貴族の私生児かもしれないわね」
リアはそんなモモを見て、ぽつりと呟いた。こちらの髪色事情に詳しくはない僕は、ピンク色も普通にいるのだと思っていた。
「そうなの?」
「ええ、こんな見事なピンクブロンドは見たことがないわ」
ということはやっぱりルーラン帝国の捨て子なんだろうな、道も近かったし。
「まあ細かい事はいいじゃない、今は私達の妹何だから!」
「はは、そうだね……、よいしょっと」
寝室に着き、モモをベッドへと横たえる。
「さて、公爵に状況報告に行かないとね」
「そうね……おやすみ、モモ」
「おやすみなさい、モモ」
僕達はモモの寝ている寝室の扉を静かに閉めた。
場所を移して、僕達は応接室へと足を運んだ。そこでは既に公爵が待ち受けていたので、二人で席につき、事の次第を報告する。
「ほう、そんな事がなあ。ハハハ、兄上も強引だな」
「笑い事じゃありません、おじさま! こんなモノ受け取ったばっかりに、マサヤが狙われてるんですよ!」
気楽に笑う公爵に、リアはたまったもんじゃないとばかりに吠える。
「しかし帝国貴族の私としてはその方が都合が良いしな」
「おっおじさままで!?」
茶目っ気を出して笑う公爵に、リアがすっかり翻弄されている。
「まあ、冗談はおいといて。公爵、僕らはこの後テレシー国へと戻るつもりです」
「まあ、そうであろうな」
「そこから、しばらくは力をつけて、魔族の大地を目指して旅をするつもりです」
「ふむ、なるほどな。二人旅か? 色々と問題がありそうだが……」
公爵の言わんとしていることはわかるが、僕とリアはそういう仲でもないし、サバイバル術もギルドで受けている。そして何より旅の一番の問題である荷物は全てアイテムボックスを持っているリアが担ってくれるので、全く問題にはならない。え、モンスター? 盗賊? ははは、ご冗談を。リアに敵うはずないじゃん?
「と言うことでご安心を」
「マサヤのバカ……」
僕が太鼓判を押した時にリアが何事か呟いたが、よく聞こえなかった。公爵は難しい顔をしていたが、不意に思い出したように顔をあげる。
「そう言えば下賜されたのは貸与された聖剣一振りなのだな? それで、どちらが使うのだ?」
「それはもちろんマサヤでしょ。今でも私にレベルで劣ってるし」
「うぐ、それは確かにそうだけどハッキリ言われると傷つくな」
「ではリアの大剣はそのまま使用するつもりかな?」
公爵の問に、リアは大きく頷いた。
「ええ、もう馴染んでしまっているし、何よりこれ以上の武具は王都では用意できないってハッキリ言われちゃったから」
そうだったのか。確かにリアの大剣は見るからに特注品だとは思っていたが、これが王都の技術を結集して出来た最高傑作なのかと思うと箔がついて見えるから不思議だ。
「では、そんなリアにとっておきの情報を送ろう」
「とっておき!」
言葉の響きだけで目をキラキラさせているリア。
「テレシー国と国交のある、北の国ルイアがあるだろう? そこには大剣の聖剣が納められていたという話を聞いたことがある」
「私にピッタリね! ルイア王国なら共同戦線を張ってる国でもあるし、私にも貸してくれるかも!」
どうやら、次の目的地が決まったらしい。しかし北の国か……。
「北の国ってことは、寒いんだろうね」
すると公爵とリアがきょとんとした顔をして僕を見てくる。
「ルイアはすごく温かい国よ? 何しろエルフが住んでいる大森林があるんだもの」
「リアの言うとおり、ルイアは魔族領と国境線を接しているという以外はかなり過ごしやすい気候だぞ?」
なんでだよ! 北の国って普通極寒じゃないの!? という僕の心の叫びが届くはずもなく、ふたり揃って物知らず扱いされてしまった。仕方ないじゃん! こっちの地理なんかわかんないんだから!
「とにかく、次の目的地はルイアに決定ね!」
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