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異世界は割とどうでも良かったけど地球もピンチらしいので行ってきます。但し相棒のおかげで胃がマッハです。

N通-

再会

 遠目に見るに、どうやら馬車が数頭の騎馬に追い立てられているようだった。かなり豪華な意匠が施された白色の馬車を追っているようだったが、しかし今は傷だらけで無惨な姿になりつつある。御者台にいる騎士らしき人物が必死に馬を操り、こちらに気付いたようで驚いたような顔をして何か叫んでいた。

「さて、リア。どう対処する?」

 僕が確認を取るが、こんなものは無駄であると何度やっても学習しないのは、僕が悪いのだろうか。

「決まってるでしょ! 正面から粉砕!」

「ですよねー」

 ようやく馬車の御者台から騎士が何を言っているのか聞こえた。

「逃げろ! 巻き込まれるぞおおおお!!」

 その言葉は僕達の中で決定的だった。忠義に篤く、道義にもとらない。その騎士は僕達からやる気を一気に引き出したのだ。

「行くわよ、マサヤ!」

「はいよっ!」

 向かってくる馬車に、僕らは全速力で駆ける。

「助太刀するわ!」

「し、しかし!」

「問答してる時間はないのよ、でえりゃああああああああ!!」

 馬車の前から一気にジャンプしたリアは、そのまま落下の勢いを乗せた大剣を追いかけてくる騎馬の一体に振り下ろす!

「なっ!?」

 その驚愕の一言が騎士の遺言となった。騎士を馬ごと両断し、呆気に取られている残り四人の敵騎士の内一人にこっそりと近づいた僕は、その背中から一気に刺し貫いた。

「ぐはっ!?」

 絶命した騎士は落馬し、馬は驚いて逃げ出した。

「もう一人いたのか! だが三対二、我等に敵うと思うな!」

 おいおい、正気かこいつ? さっきのリアの攻撃見てなかったの?

「何なら三対一でもかかってきていいわよ!」

「舐めるな、女子供の分際で!!」

 リアの挑発にあっさりと乗った騎士二人が突撃する。通常、歩兵に対して騎馬というのは圧倒的に有利だ。まずその突撃力と、頭上から一方的に攻撃できるという利点。それだけで脅威だ。

 通常であれば。

「いやぁあああああああ!!」

 リアの気合の咆哮ほうこうが馬を両断し騎士を落馬させた。もう一人が好機とばかりに後ろから斬りかかるが、僕がその間に割って入り受け止める。

「貴様は馬車を追え!」

 三人目の騎士に向かって、僕が剣を受け止めた騎士が声をかける。

「させるかああああああああ!!」

「ぬぐぁっ!?」

 落馬して立ち上がろうとしていた騎士をリアは爆散させてそのまま三人目の騎士を狙い、またしても馬ごと切り伏せた。

「こうなれば貴様だけでも!」

 破れかぶれになった最後の一人が、僕の剣を弾いて上段から一気に振り下ろしてくる。ヤバイ! 咄嗟にわざと後ろにコケて何とか攻撃を回避、そのまま横に転がりながら立ち上がり、相対する。敵はこっちを与し易い相手と判断したのか、余裕たっぷりの笑みを浮かべていた。

「トドメだ!」

「アンタのね!」

 結局最後の一人は振り向くこともままならず、リアの剣の露と消えた。全ての敵を片付けてから、僕はリアに苦言を呈する。

「馬ごと斬るのはやりすぎじゃない? 馬に罪はないんだしさ」

「しかたないじゃない、一々蹴落として相手なんてしてられないわ!」

 この子は慈悲もないのか。お馬さんごめんね。

「それより、さっきの馬車はどうなったのかしら」

「そうだね。気になるからモモを拾いがてら見に行くか」

 僕達はとりあえず死体を街道の脇へ全て捨てて(弔っている余裕などはなかったのだ)、途中でモモと合流した。

「どーぶつとお友達になったのです!」

 何と、騎士を落馬させた時に逃げ出した馬をモモが捕まえていた。

「凄いわね、普通訓練された馬は滅多に他人に心を開かないんだけど……」

「ねえ。ちょっと気付いたんだけど、あの馬怯えてない?」

 注意深く観察すると、馬はモモにかしずくようにしきりに頭を下げてふるふると小さく震えていた。

「もしかしたら、ドラゴンの加護のおかげかしら?」

「あー……なるほど」

 これからの旅路にも有益だろうと、モモに手綱を引かせて馬車が向かった方角へと歩いていく。数分程歩いていると、先程の馬車が止まっているのが見えた。どこか故障でもしているのかと訝しんだが、何やら揉めるような声が聞こえる。

「ですから! 彼等に礼もせぬままに立ち去るなど皇家の紋章に恥ずべき行いです!」

「いいえ姫様、まだ相手が味方と決まったわけではありませんぞ!」

「味方ではないというなら、何故彼等を殲滅せしめたというのですか!」

 どうやら僕らの事で揉めているらしかった。御者台にいた騎士が馬車の横に立ち、言い合いをしている。チラとリアを窺うが、あんまり興味なさげにモモと一緒に馬を愛でている。まあ戦闘ではほとんど活躍しなかったし、こういう交渉事は僕の仕事かと半ばあきらめながら馬車へと一人近づいていった。

「ぬ? そこで止まれ!」

 御者台にいた騎士が、近づく僕に気がついて抜剣し、剣先を僕に向けてきた。

「ディン! 恩人に何をするのです!!」

「いいえ姫様はお黙りください! 何と言われようとも身元を確かめませんと安心は出来ませんぞ!」

 ディンと呼ばれた騎士は、僕に顔を向けたまま馬車の中にいるらしい誰かを守り抜く硬い意思を感じさせた。

「お主、名は何という!」

「名前ですか、僕はマサヤ・カガリといいます。あっちの大剣を背負った子がリア・テレシー。小さい子はモモです」

「テレシー……?」

 ディンがリアの家名を聞いて眉をひそめる。すると馬車がガタガタと揺れて扉が開け放たれた。

「ひ、姫様! 危のうございます!」

「リア! リアなの!?」

 馬車から現れたのは、豪奢な金髪を揺らして白い肌を煌めかせ、金糸の刺繍入りの一目で高級品と解るドレスに身を包んだ少女だった。

「えっ……もしかして、ライラ?」

 名を呼ばれた少女は、満面の笑みを浮かべて駆け出し、リアへと抱き付いた。

「また会えるなんて……! それも助けてくれるなんて、ありがとう、リア!」

 僕とモモ、ディンはその場でぽかんとその光景を見守っていた。

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