異世界は割とどうでも良かったけど地球もピンチらしいので行ってきます。但し相棒のおかげで胃がマッハです。
神罰
それからの僕は、ずっと何かもやもやとしたものを抱えながらも、リアに引っ張られるようにギルドを出た。その後、魔法を教わる気分にもなれず、しばらくの間一人にしてもらう。
夕飯の時間になっても気分が晴れず、それを察してなのかマールさんの行動も大人しいものだった。こういう時に察してくれる彼女の優しさは本当にありがたい。向かいのテーブルに座っているお気楽勇者はもきゅもきゅ言いながら本日も特性ステーキを平らげている所であった。
「もう、そろそろしっかりしなさい! あんたが人の血を見たのが始めてだっていうのは解ったわ。私も、ちょっとやりすぎたかなと思ってる。でもね、私達勇者は人の生死程度で揺さぶられちゃダメなのよ」
「そうは言うけど……未だに僕の心は無理矢理僕を従わせようとするんだ。こんなに気持ち悪い事はないよ」
「それも加護の力ね。前にも言ったけど、私たちは創造神様の加護をもらっているの。その代わり、私達はそれを受け入れなくちゃいけない。どんなことでもね。それが加護をもらう代価だと、私は思ってる」
代価。こんなろくでもない強制力が代価だというのなら、僕はそんな力は必要なかった。でもそれを言っても今更だろう。この世界を救うと決めたのは僕自身で、リアというパートナーと戦うと決めたのも僕なのだから。
「この世界は勇者様にはちょっと厳しいよね」
「そうね。何しろ私達だけが、魔王を倒せると言われているからね」
そう言えばずっと気になっていた事がある。
「ねえ、リア。それって誰から聞いたの?」
するとリアは、意外そうな顔で僕を見た。
「えっ、創造神様の神託だけど……マサヤは創造神様にあったのでしょう? そんな話しなかったの?」
「無かったよ!? お茶のんでのんびりしてたよ!?」
「あはは、マサヤってば嘘ばっかり! 創造神様がそんな俗な事するわけないでしょ?」
「そんなことない、だって現に今も出歯亀……」
不意に、背筋をぞくぞくとした悪寒が走り抜けた次の瞬間、ドガンッ!! という爆発音と共僕にド派手な雷が落ちた。
「えええぇぇっ!?」
余りに突然の出来事に、リアは飛び上がって驚いている。そして僕は落雷のショックでブスブスと黒煙を上げながら倒れている。
「だ、大丈夫なのマサヤ!?」
テーブルを回り込んでやってきたリアに、痺れて動けないために顔だけ向けた。
「大丈夫、これ、多分神罰だと思うから……」
「えっ!? 創造神様の罰!? 一体何をやらかしたら……」
そこで、はたとリアと僕は同時に気付いた。リアは基本スカートを履いている。そしてその丈は決して長いとはいえない。その状態の女の子がしゃがみこんでしまったら、一体どうなるのか?
「……マサヤ、何か言いたい事があるなら聞きましょう」
「ちゃうねん。体動かへんねん」
「意味の解らない事言って、誤魔化すなーーー!!! これはっ、私からの罰よっ!!」
ゲシッ! ゲシッ! と僕の哀れな背中はストンピングに晒され、助けを求めて逆側を向くと、マールさんがニッコリと天使のような微笑みを浮かべた後スタスタと奥へと引っ込んでしまった。
「ちょっ! マールさん、助けて!」
すると、ひょこっと顔だけ出して、べーっと舌を出してまた引っ込んだ。異世界にもあるんだ、あっかんべー。
「反省してるの!? ちょっと!?」
「してる! してますから止めて! 足蹴にしないでっ! 背骨からいけないと音してるから! このままじゃ曲がっちゃいけない角度まで曲がるから!!」
僕の必死の哀願を聞き届けてくれたのか、顔を真っ赤にしたままであるが一先ず足を止めてくれた。
「あてて……ようやくしびれが取れた……ごめん、リア。反省してます」
「もう、いいわよ。さっきよりは元気になったみたいだし」
ぶつくさ言いながらも僕のことを心配してくれていたんだなあ。リアはやっぱりいい子だ。
「ちょっと、何微笑みながら頭撫でてるのよっ! 子ども扱いしないでっ!!」
「ははは、いいじゃないか。元気づけてくれたお礼だよ」
「ふんっ」
ぷいっと横を向いてむくれているが、結局僕にされるがままに撫でられ続けるリアであった。
それからは、各自自分の部屋で休み、魔法の講義については次の日に改めることになった。
朝起きた僕の気分は晴れやかで、昨日のもやもやが嘘のようにスッキリしている。ベッドから降りて身支度を整えていると、コンコンと部屋の扉がノックされる。
「マサヤ、起きてる?」
「うん、起きてるよ」
ドアを開け、リアに挨拶をした。
「おはよう、リア!」
「おはよう、マサヤ。どうやら今日はいい調子みたいね!」
「うん、それもリアのおかげだよ」
「ま、まあね! 何しろ私は勇者オブ勇者ですからね!」
「はいはい、勇者様、食堂に行きましょうね」
「ちょっと! 人が恥ずかしい事したのにスルーしないでよ!?」
自覚はあるんかい。
階段を降りて、食堂に顔を出すと丁度準備をしていたマールさんと視線があった。
「おはようございます。マールさん……?」
「おはようございます、マサヤさん、勇者様!」
「マール……?」
元気な挨拶を返してくれたのはいいけど、僕とリアは疑問を感じずにはいられなかった。
「どうしてマールさんのスカートの丈、そんなに短いんですか……?」
そう。マールさんのスカート丈は膝上何センチなんだっていうくらいに短い。ぶっちゃけちょっと動いただけで下着が見えそうな程なのだ。
「あなた、痴女だったの?」
率直なリアの意見に、僕は思わず吹いた。
「ち、違います! これは昨日夢枕に創造神様が出てきてこの格好で接客するとご利益があるって言われたんです!」
「えええぇ? ほんとぉにぃー?」
「本当ですとも」
それが本当なのだとしたら、あの女神様マジでロクな事しないな。
「ちょ、マールさん! 屈んだら見えます!」
「み、見たいですか……?」
「見たいです!」
「何言ってんのマサヤ!?」
「正直な気持ち」
「ホントに、ホンットにこの男は!」
それからも大騒ぎをしていると鉄のように固い顔をしたメイヤさんが現れて、マールさんを引っ張っていった。泣きながら戻ってきたマールさんはスカート丈が元通りになっていたのだが、明らかに縫い合わされた跡があり、何かいたたまれない気持ちにさせられる格好だった。勝手に服を切り裂いた罰としてしばらくはこの格好で働かなくてはいけないらしい。合掌。
「さ、痴女の出す朝ごはんも食べたし、早速魔法の練習よ!」
「痴女じゃありません!」
「それはいいけどどこで練習するの?」
場所について訊ねると、リアは胸を張って答える。
「考えてないわ!」
「そうでしょうとも」
知ってた。
「あのー、場所でしたら店の裏庭ならご提供出来ますよ」
「いいじゃない、マサヤ、そこで練習しましょうよ!」
「本当に大丈夫なんですか、ジョスさん?」
丁度通りかかったジョスさんに聞いてみると、二つ返事了承してもらえたので、早速裏庭に向かっていく。
夕飯の時間になっても気分が晴れず、それを察してなのかマールさんの行動も大人しいものだった。こういう時に察してくれる彼女の優しさは本当にありがたい。向かいのテーブルに座っているお気楽勇者はもきゅもきゅ言いながら本日も特性ステーキを平らげている所であった。
「もう、そろそろしっかりしなさい! あんたが人の血を見たのが始めてだっていうのは解ったわ。私も、ちょっとやりすぎたかなと思ってる。でもね、私達勇者は人の生死程度で揺さぶられちゃダメなのよ」
「そうは言うけど……未だに僕の心は無理矢理僕を従わせようとするんだ。こんなに気持ち悪い事はないよ」
「それも加護の力ね。前にも言ったけど、私たちは創造神様の加護をもらっているの。その代わり、私達はそれを受け入れなくちゃいけない。どんなことでもね。それが加護をもらう代価だと、私は思ってる」
代価。こんなろくでもない強制力が代価だというのなら、僕はそんな力は必要なかった。でもそれを言っても今更だろう。この世界を救うと決めたのは僕自身で、リアというパートナーと戦うと決めたのも僕なのだから。
「この世界は勇者様にはちょっと厳しいよね」
「そうね。何しろ私達だけが、魔王を倒せると言われているからね」
そう言えばずっと気になっていた事がある。
「ねえ、リア。それって誰から聞いたの?」
するとリアは、意外そうな顔で僕を見た。
「えっ、創造神様の神託だけど……マサヤは創造神様にあったのでしょう? そんな話しなかったの?」
「無かったよ!? お茶のんでのんびりしてたよ!?」
「あはは、マサヤってば嘘ばっかり! 創造神様がそんな俗な事するわけないでしょ?」
「そんなことない、だって現に今も出歯亀……」
不意に、背筋をぞくぞくとした悪寒が走り抜けた次の瞬間、ドガンッ!! という爆発音と共僕にド派手な雷が落ちた。
「えええぇぇっ!?」
余りに突然の出来事に、リアは飛び上がって驚いている。そして僕は落雷のショックでブスブスと黒煙を上げながら倒れている。
「だ、大丈夫なのマサヤ!?」
テーブルを回り込んでやってきたリアに、痺れて動けないために顔だけ向けた。
「大丈夫、これ、多分神罰だと思うから……」
「えっ!? 創造神様の罰!? 一体何をやらかしたら……」
そこで、はたとリアと僕は同時に気付いた。リアは基本スカートを履いている。そしてその丈は決して長いとはいえない。その状態の女の子がしゃがみこんでしまったら、一体どうなるのか?
「……マサヤ、何か言いたい事があるなら聞きましょう」
「ちゃうねん。体動かへんねん」
「意味の解らない事言って、誤魔化すなーーー!!! これはっ、私からの罰よっ!!」
ゲシッ! ゲシッ! と僕の哀れな背中はストンピングに晒され、助けを求めて逆側を向くと、マールさんがニッコリと天使のような微笑みを浮かべた後スタスタと奥へと引っ込んでしまった。
「ちょっ! マールさん、助けて!」
すると、ひょこっと顔だけ出して、べーっと舌を出してまた引っ込んだ。異世界にもあるんだ、あっかんべー。
「反省してるの!? ちょっと!?」
「してる! してますから止めて! 足蹴にしないでっ! 背骨からいけないと音してるから! このままじゃ曲がっちゃいけない角度まで曲がるから!!」
僕の必死の哀願を聞き届けてくれたのか、顔を真っ赤にしたままであるが一先ず足を止めてくれた。
「あてて……ようやくしびれが取れた……ごめん、リア。反省してます」
「もう、いいわよ。さっきよりは元気になったみたいだし」
ぶつくさ言いながらも僕のことを心配してくれていたんだなあ。リアはやっぱりいい子だ。
「ちょっと、何微笑みながら頭撫でてるのよっ! 子ども扱いしないでっ!!」
「ははは、いいじゃないか。元気づけてくれたお礼だよ」
「ふんっ」
ぷいっと横を向いてむくれているが、結局僕にされるがままに撫でられ続けるリアであった。
それからは、各自自分の部屋で休み、魔法の講義については次の日に改めることになった。
朝起きた僕の気分は晴れやかで、昨日のもやもやが嘘のようにスッキリしている。ベッドから降りて身支度を整えていると、コンコンと部屋の扉がノックされる。
「マサヤ、起きてる?」
「うん、起きてるよ」
ドアを開け、リアに挨拶をした。
「おはよう、リア!」
「おはよう、マサヤ。どうやら今日はいい調子みたいね!」
「うん、それもリアのおかげだよ」
「ま、まあね! 何しろ私は勇者オブ勇者ですからね!」
「はいはい、勇者様、食堂に行きましょうね」
「ちょっと! 人が恥ずかしい事したのにスルーしないでよ!?」
自覚はあるんかい。
階段を降りて、食堂に顔を出すと丁度準備をしていたマールさんと視線があった。
「おはようございます。マールさん……?」
「おはようございます、マサヤさん、勇者様!」
「マール……?」
元気な挨拶を返してくれたのはいいけど、僕とリアは疑問を感じずにはいられなかった。
「どうしてマールさんのスカートの丈、そんなに短いんですか……?」
そう。マールさんのスカート丈は膝上何センチなんだっていうくらいに短い。ぶっちゃけちょっと動いただけで下着が見えそうな程なのだ。
「あなた、痴女だったの?」
率直なリアの意見に、僕は思わず吹いた。
「ち、違います! これは昨日夢枕に創造神様が出てきてこの格好で接客するとご利益があるって言われたんです!」
「えええぇ? ほんとぉにぃー?」
「本当ですとも」
それが本当なのだとしたら、あの女神様マジでロクな事しないな。
「ちょ、マールさん! 屈んだら見えます!」
「み、見たいですか……?」
「見たいです!」
「何言ってんのマサヤ!?」
「正直な気持ち」
「ホントに、ホンットにこの男は!」
それからも大騒ぎをしていると鉄のように固い顔をしたメイヤさんが現れて、マールさんを引っ張っていった。泣きながら戻ってきたマールさんはスカート丈が元通りになっていたのだが、明らかに縫い合わされた跡があり、何かいたたまれない気持ちにさせられる格好だった。勝手に服を切り裂いた罰としてしばらくはこの格好で働かなくてはいけないらしい。合掌。
「さ、痴女の出す朝ごはんも食べたし、早速魔法の練習よ!」
「痴女じゃありません!」
「それはいいけどどこで練習するの?」
場所について訊ねると、リアは胸を張って答える。
「考えてないわ!」
「そうでしょうとも」
知ってた。
「あのー、場所でしたら店の裏庭ならご提供出来ますよ」
「いいじゃない、マサヤ、そこで練習しましょうよ!」
「本当に大丈夫なんですか、ジョスさん?」
丁度通りかかったジョスさんに聞いてみると、二つ返事了承してもらえたので、早速裏庭に向かっていく。
コメント