お姉ちゃんが欲しいと思っていたら、俺がお姉ちゃんになったので理想の姉を目指す。

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27話 ついに始まった委員会!そこで出会ったのは懐かしの!??

 特に問題なく終わった委員会決め。来年にはまた委員会決めがあるので、それまでみんな色々と手探りしたいってとこなんだろうね。そのおかげか委員会争奪戦は行われなかったからね。唯一あったのは保険委員会くらいのものだよね。それも平和的ハナシアイで済んだものね。ただまぁ来年は覚悟しないといけないよね。

 これから初の委員会活動がある。放課後となり、各々自身の所属する委員会へと赴くのだ。因みに委員会と部活動の優先度だが、基本は委員会優先である。大会とか特別なことがない限りは委員会活動をしろっていうのがうち学校だ。委員会活動も基本毎日あるわけではないので、少ない日数をうまくやれってことなんだろうね。

 さて、それで早速情報委員会の活動があるので、私は鞄に荷物を詰め、同じ委員である組長番場組人に声を掛ける。

「ねぇ、くm、番場君。一緒に行こう。確か3-2の教室だよね」
「あぁ川田か。そうだな、問題ない。それとスケも一緒に行くことになってるがいいか?」
「すけって田井中君だよね。うん、いいよ」
「そうそう悪い癖であだなで言っちまった。田井中だ。じゃあそのまま一組に行くか」
「はーい」

 一瞬前の癖で組長って呼びそうになったけど、まま、セーフ。言い直したからせぇふ。まぁ……まだスケとコンタクトを取ったこともないのに、『スケ』で田井中の名前が出てくる時点でもうアウトなんだけどね。ていうかスケのやつやっぱり情報委員会に入るつもりだったんだね。じゃなきゃこうして組長と一緒に行く約束なんてしないもんね。

 私は組長と一緒に教室を出て一組へと向かう。今生でスケと会うのは初めてだなぁ。今までの傾向から前世と変わってる人はいないからスケも変わっていないのだろう。とは言え結構ドキドキはするんだけどねぇ。

 にしても情報委員会かぁ。本当に懐かしい。ある意味全ての学生時代を通して一番青春した気がする。委員会の為に必死になって、それでいて充実感を感じて。本当に楽しかった。でもだからこそ後悔も多かったんだけどね。あれはやれた。その為にはこう動くべきだった。そんな後悔がびっしりと。

 多分だけど、充実感が大きければ大きいほど後悔も増えていくのではと私は思っている。人は欲が深い生き物だからね。上を目指してもっともっと進みたいと思うもの……。尤も私はそれ以降の人生で何かに打ち込んで死ぬ気になったことなどなかったので、この委員会活動が最後の青春と化してたよね。……あれ?なんか目の前がかすんできたね、おかしいね、グスッ。

 ま!だから今度はそうならない様に私のできる最大限のことを発揮していこうと思う!そしてそれを足掛かりに様々なことに挑戦して、それで青春をここだけでは終わらせない!私の青春は弟たちのためにあるのよ!私がかっこよくあることは後々この学校に入学するブラザーズのため!不甲斐ない噂を残して彼らを入学させてしまったら「マジうちの姉クソー。マジ卍」とか言われちゃう……!そんなっ!そんなことにはさせるもんですかぁ!ていうかマジ卍ってなんだよ!未だに意味がわからないよ!

「おいーす!組長行くぞ!」
「おー、スケ。てか組長やめろや」

 一組に入るとすぐにスケが顔を出した。スケは思い出にある軽薄そうな笑顔で組長に近付き方をパンパンやっている。私は丁度組長の背に隠れるようになってしまっていたのでスケからは見えていないようだ。……組長でかすぎるんだよ。私の慎重にプラス頭2つ3つ分くらいの高さあるんだょ?まだ中学一年生だょ?高校生じゃないんだけど……。

「ん?お前の後ろに誰かいるけど……」

 行くぞ、なんて言っておきながら雑談を交わしていたスケは組長の後ろの存在、つまりは私に気付いた。

「あれか?お前のこれか?」

 スケは私を見た後、組長の顔を見てニヤーッと笑みを作ると、右手の小指を立てわけのわからんことを言い出した。はぁ、はいはいわかりますわかりますぅ。これあれですよね?私が「違うよぉ!くm、馬場くんとはそんな関係じゃないんだからねっ!そうだよね馬場くん!?」なんて天然系と化さねばならない場面なんですよね?

 でも私そーゆーの本当無理なんで。ていうか、本当に興味なかったらそこまで取り乱さないよね。ていうかそのどっちでもないのなら、人の目を惹きたいだけの天然系を装った心グサグサ女ってとこだろう。そんな誰彼媚びを振りまいて楽しいのかね?割と人としてどうかと私は思う。なのでそんなことしませんよ。

 つい最近も似た様なやり取りをして『川田は荒木の嫁』という大変恥ずべき、そして恥ずべき噂が流れてしまったのだ。猛省した私はもう二度と同じ過ちは犯さないため、寝る前に座禅を組む様にしたのだ。座禅を組んで一日の全てを整理する。そして集中力を高めたり、心を鎮めるためのトレーニングにもなっている。まぁブラザーズからは変な目で見られてるんですけどね。修行僧だーって。僧っていうより尼じゃないかね?

 まぁそのZAZENのおかげで私は更に冷静な判断を下せるようになったのだ。いわば精神が冗長化された琴音ちゃん。わかりやすく言うとすーぱー琴音ちゃんだ。ふふん、ちょっとやそっとのことで取り乱したりはしないんだから!

「ん?あぁ、こいつは同じ組の川田だ。同じ情報委員だから一緒に行こうて話になってな」
「なんでぇつまんねぇの」

 ほら!ほらほらほら!組長は常識人なのでこんな引っ掛けに掛からないんですよ!つまり私が余計なことをゆわなければおkなのです!……あれ?自分で言ってて悲しくなってきたよ?

「あぁ、それに川田は荒木の嫁だからな」
「確かに人妻に手を出すのはあかんな」
「だれが荒木の嫁だ!人妻ちゃうわいっ!」



「一年生の諸君。本日はよく情報委員本部に来てくれた。我々は諸君を歓迎しよう」

 3-2に付き、開口一番に言われた言葉だ。本部なのか?とか堅苦しすぎね?とツッコミどころはあるのだけれどこれは仕方がない。というのもこれを言ったのは顧問の先生だからだ。

 竹野内先生。短髪と昭和のロッカーを彷彿とさせるような見た目をした男前な先生だ。元々自衛隊上がりという異色の過去を持つ教師だ。因みに兵科?は通信兵だったそうで。

 自衛隊上がりということもあり、凄くしっかりとした先生で物知り。しかもとても優しくてユーモア溢れる。勿論優しいだけではなく厳しく怒る時や注意することもあるが、嫌な厳しさではなく、思いやりのある厳しさを出す理想の上司みたいな先生だ。

 前世からとても尊敬している先生で、20を超えてからも偶に連絡を取り、実家に帰った時なんかには一緒に飲みに行ったりもする中であった。

 そう思うと前の私の世界?はどうなっているのだろう?正直どんな最後だったのか、それともこれが泡沫の夢なのかわかっていない。

 もし前者なら私は親不孝者で交わした約束を放棄したということになる。ていうか死因なんだよ。

 で、後者だった場合。その場合はある意味ハッピーエンドなんだけど……ただそーすると私は元の生活に戻れるのかという不安がある。だって女の子として生きてるんだよ?まぁそれで言ったら男から女になってる時点でそれは言えるんだけど……なんていうんだろ。今の生活を手放したくないと思っている自分がいるんだよね。すごく罪深いんですけど。

 あぁダメダメ。この思考はやめよう。向き合わなきゃいけないんだけど……。何がとは言えないけど、よくない・・・・気がする。

 とにかく今は目の前のこと。竹野内先生が懐かしい!以上!今生でも仲良くできるよう頑張るぞ!そして私の味方につけて、来年の委員会総選挙では後ろ立てになってもらうのだ……くっふふふふふ。

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