異世界でニートは英雄になる
第一九話 時計
「暇だ……」
あれから数時間寝たタイガは、シェスカに昼食が出来たと起こされ食堂に向かった。ご飯も食べ終わり部屋に戻ると、ベッドに飛び込み、俯せになる。時刻は一三時。
「そういえば、こいつあまり使ってなかったな」
タイガは忘れたころに、ジャージのポケットからスマホを出す。充電を見ると七五%も残っていた。電波は圏外になっていて通話は勿論、調べ物も出来ない。ただの時計代わりにしかならなかった。
タイガは適当にスマホをいじる。すると突然、画面が切れ電源が入らなくなってしまった。
「結局使い物にならなくなった……。せめて時間が分かる物が欲しいな」
タイガは財布の中身を見る。中には七四パス入っていた。
――そういえば、ペガックの宿泊費払ってないな……。カリンの所に行くか。どうせ断られるだろうけど。
タイガはジャージから着替えようとする。だが、肝心の服が見当たらない。
――あれ? 俺の服何処だ?
部屋中探すも服は見つからない。すると、タイガの部屋のドアをノックする音が聞こえる。タイガは中に通すと、タイガの服を持ったシェスカが入って来た。
「お待たせいたしましたタイガ様。お洋服をお持ちいたしました」
「シェスカさん、その『様』付けはちょっと止めてもらえます? 落ち着かないんで。それで、何でシェスカさんが俺の服を?」
「誠にご勝手ながら、ボロボロだったので直させて頂きました。あと、私の事を『ハニー』と呼んでくれるのであれば『様』付けはお止めしますけど……どうします?」
「あ、結構です」
タイガはシェスカの提案を光の速さで断った。その時シェスカはからかっているのか、本当なのか分からない雰囲気を出して落ち込んだ。
「でも、服を直してくれたのはありがとうございます。確かに斬られた跡が多かったので、そのまま着るのはちょっと恥ずかしいと思ってたんですよ」
そう言ってタイガは服を受け取る。見ると刺繍も分からない位繊細に縫われていて、まるで新品の様だった。
タイガは着替え、カリンの部屋に宿泊費を払いに行った。すると案の定、断られた。
「ボロボロになってまで、私の事を助けて下さったのですから。それに、私の責任でもあるので」
タイガはお言葉に甘えさせて貰った。
「ちょっと俺、買い物に行きたいんだけど。この辺に時計屋みたいな所ある?」
「とけいや? どういうものですか?」
「え~っと、何て言うか、いつでも時間が分かるように気軽に持ち運べるものが欲しいんだけど」
「ああ! 時刻盤の事ですね」
この世界では時計とは言わず、『時刻盤』と言うらしい。タイガが欲しがっているのは『小型時刻盤』で、デザインは懐中時計の様な物だ。
タイガが時刻盤を買いに行くと知ると、「ちょっと待ってて下さい」と言って、部屋を出た。数分後、戻ってくると服を着替えており、この間来ていた白いワンピースにフレームの色が青のメガネをしていた。この時、何故カリンがメガネをしているのか、タイガは理解した。
「そのメガネ、変装用か」
「な、何で分かったんです!?」
カリンは心底驚いていた。
「誰が考えても分かるわ。カリンは女王様。外に出るだけで恐らく周りが五月蠅いだろう。そこで変装すれば、一般人として街に出ることが出来る」
「やっぱり凄いですね、タイガは」
クスリと笑うカリンを見て、タイガは見惚れてしまった。
「は、早く行こう!」
「あ! 待って下さい、タイガ!」
気を紛らわすためにそそくさと先に行くタイガを、カリンは後を追って行った。
あれから数時間寝たタイガは、シェスカに昼食が出来たと起こされ食堂に向かった。ご飯も食べ終わり部屋に戻ると、ベッドに飛び込み、俯せになる。時刻は一三時。
「そういえば、こいつあまり使ってなかったな」
タイガは忘れたころに、ジャージのポケットからスマホを出す。充電を見ると七五%も残っていた。電波は圏外になっていて通話は勿論、調べ物も出来ない。ただの時計代わりにしかならなかった。
タイガは適当にスマホをいじる。すると突然、画面が切れ電源が入らなくなってしまった。
「結局使い物にならなくなった……。せめて時間が分かる物が欲しいな」
タイガは財布の中身を見る。中には七四パス入っていた。
――そういえば、ペガックの宿泊費払ってないな……。カリンの所に行くか。どうせ断られるだろうけど。
タイガはジャージから着替えようとする。だが、肝心の服が見当たらない。
――あれ? 俺の服何処だ?
部屋中探すも服は見つからない。すると、タイガの部屋のドアをノックする音が聞こえる。タイガは中に通すと、タイガの服を持ったシェスカが入って来た。
「お待たせいたしましたタイガ様。お洋服をお持ちいたしました」
「シェスカさん、その『様』付けはちょっと止めてもらえます? 落ち着かないんで。それで、何でシェスカさんが俺の服を?」
「誠にご勝手ながら、ボロボロだったので直させて頂きました。あと、私の事を『ハニー』と呼んでくれるのであれば『様』付けはお止めしますけど……どうします?」
「あ、結構です」
タイガはシェスカの提案を光の速さで断った。その時シェスカはからかっているのか、本当なのか分からない雰囲気を出して落ち込んだ。
「でも、服を直してくれたのはありがとうございます。確かに斬られた跡が多かったので、そのまま着るのはちょっと恥ずかしいと思ってたんですよ」
そう言ってタイガは服を受け取る。見ると刺繍も分からない位繊細に縫われていて、まるで新品の様だった。
タイガは着替え、カリンの部屋に宿泊費を払いに行った。すると案の定、断られた。
「ボロボロになってまで、私の事を助けて下さったのですから。それに、私の責任でもあるので」
タイガはお言葉に甘えさせて貰った。
「ちょっと俺、買い物に行きたいんだけど。この辺に時計屋みたいな所ある?」
「とけいや? どういうものですか?」
「え~っと、何て言うか、いつでも時間が分かるように気軽に持ち運べるものが欲しいんだけど」
「ああ! 時刻盤の事ですね」
この世界では時計とは言わず、『時刻盤』と言うらしい。タイガが欲しがっているのは『小型時刻盤』で、デザインは懐中時計の様な物だ。
タイガが時刻盤を買いに行くと知ると、「ちょっと待ってて下さい」と言って、部屋を出た。数分後、戻ってくると服を着替えており、この間来ていた白いワンピースにフレームの色が青のメガネをしていた。この時、何故カリンがメガネをしているのか、タイガは理解した。
「そのメガネ、変装用か」
「な、何で分かったんです!?」
カリンは心底驚いていた。
「誰が考えても分かるわ。カリンは女王様。外に出るだけで恐らく周りが五月蠅いだろう。そこで変装すれば、一般人として街に出ることが出来る」
「やっぱり凄いですね、タイガは」
クスリと笑うカリンを見て、タイガは見惚れてしまった。
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