猫好き高校生と人間になった三匹の美人三姉妹

チャンドラ

27話

「どうしたんだ? 貴正?」
 彩香は、可愛らしく首をかしげた。可愛いなオイ。貴正は、またもやグッと来そうになったがこらえた。
「な、なんでもない。お前のクラスの出し物が気になって見に来たんだ。」
「そっかー。見に来てくれたんだ。嬉しい! 貴正、何注文する?」
「えーと、ニャンコーラとニャンニャンフライドポテイトお願い。」
 貴正は、彩香に注文を頼んだ。すると
「了解ニャン!」
 彩香は、手をニャンコの手にしてそう言った。可愛い。爆死しそうだ。そう貴正は思った。
「どうだった? 可愛かった。接客は、こうするように委員長に言われたんだよね!」
「ま、まぁな。」
 貴正は、照れを隠しながらもそう答えた。
「彩香さん! 新規のお客様の案内お願い!」
「はーい!」
 彩香は、貴正から、離れていった。もう少し話していたかったが仕方ない。
 五分後、彩香がドリンクと料理を持ってやってきた。
「お待たせニャン! ニャンコーラとニャンニャンフライドポテイトだニャン!」
「彩香、ありがとう。」
 貴正は、彩香にお礼を言った。
「貴正は、今日はもう文化祭の手伝いないの?」
「いや、これから一時間だけあるな。」
 結構手伝いの時間が迫っていたため、あまりもたもたしている時間はなかった。
「そっか。私は、今日も忙しいんだよね。絶対、シフトが偏ってるよー。」
 どうやらそちらの委員長も自分たちのクラスと同じシフトの組み方をしているようだ。
「それじゃ、今日は終わりまで、暇な時間帯はないのか?」
「十二時から二時まで、休憩だったな。確か。」
「そうか、ならその時間帯、一緒に文化祭回らないか?」
 貴正は、文化祭巡りに、彩香を誘ってみることにした。
「オッケーいいよ。どこで待ってればいい?」
「それじゃ、十二時十五分くらいに体育館の入り口で待ち合わせしよう。」
「分かった。」
 ニャンコーラを飲みほし、ニャンニャンフライドポテイトを食べ終えた後、貴正は自分のクラスに戻った。

 お待たせ。それで、俺なにやればいい?」
 教室に着くなり、イケメンの委員長に早速、仕事内容を聞いた。進んで仕事を見つけていく。従業員の鏡であると貴正は、自画自賛した。
「それじゃ、このさらにケチャップの盛り付けお願い。」
「あいよ。」
 基本的に、文化祭のメイド喫茶は簡単に作れるものを提供している。ドリンクなど、カップに入れるだけである。
 一番厄介なのはクレープだが、なぜか五十嵐は素早いスピードで綺麗に作れるため、高品質のクレープを提供することができる。それが、五十嵐が大変になる要因にもなっていた。お皿にケチャップを盛り付ける作業をしていると、美賀子が近づき、話しかけてきた。
「お疲れ様、貴正くん。準備頑張ってるね。」
「美賀子もお疲れ。俺は大したことしてないよ。ってか美賀子のほうが大変だろ。今日もびっしりシフト入ってるしな。」
「まぁ……でも、貴正くんも今日朝早くに手伝ってくれたし、映画も頑張ってたからかなりクラスに貢献してると思うな。」
「そ、そうか。そう言ってもらえると嬉しいよ。美賀子も接客頑張ってな。」
「うん!」

 朝も見たが、美賀子のメイド服はやはり目の保養になる。日本人離れした銀髪と端正な顔立ちに加えたてメイド服が美賀子の美しさをより一層引き立てていた。去年はさほど面白くなかったが今年は最高だ。麻衣子のチャイナ姿。美賀子、彩香のメイド姿。それを見れただけで最高の文化祭であると貴正は思った。

 一時間作業をし、貴正は彩香との待ち合わせ場所へとむかった。すでに、彩香が来ていた。
「すまない、彩香待ったか?」
「ううん。私も今来たとこだよ。」
 彩香は、制服を着ていた。さすがに休憩中は、メイド服ではないようだ。
「どこに行く? とりあえず、昼ごはんでも食べるか?」
「そうだね。私、美賀子のクラス見に行きたいんだけどいい? 美賀子の働いてるとこみたいってか……今そっちにいる」
「ああ、まだ働いてるよ。そんじゃ、二組に行くか。」
 貴正と彩香は、貴正と美賀子のクラスに行くことにした。貴正からしたら、教室からでて、また自分の教室に戻ることになるのだが仕方ないかと我慢した。
「あ! おにぃ!」
教室に向かう途中で、貴正は妹と遭遇した。
「葵。お前、見に来たのか。」
「うん! 今日、部活休みだし、何もないし観に行こうかなってね。」
「一人で見に来たのか?」
「うん! そうだよ。」
 高校の文化祭に一人で見に行くとは、こいつやるなと貴正は思った。性格は違えど、単独行動を好むのはさすが我が妹だなと貴正は感心した。
「その方……もしかしておにぃの彼女さんですか!?」
「違うわ! お前勘違いすんな!」
 即、貴正は否定した。こいつ、いきなり何てこと言いやがるんだと心の中で貴正は毒づいた。

「初めまして。貴正と同じ部活のマネージャーしてます。関水彩香です! よろしくね。」
 彩香は、気にする様子もなく、気さくに葵に挨拶をした。
「初めまして。おにぃの妹の葵です。いつもおにぃがお世話になってます。」
「いやぁー。貴正の妹、超かわいいね。こんな可愛い妹いるなんて知らなかったよ。」
「妹いるってお前に言ってなかったか。言われてみれば。」
 貴正は、あまり家族の話題を他の人に話したことがなかった。
「おにぃのクラス見にいこうと思ったんだけど、どこだっけ?」
「俺たちもそこに向かう予定だったんだ。よかったらお前も一緒に行くか?」
「ええ! そんな、せっかくのデート中なのに悪いよ」
「デートじゃねぇって言ってんだろ。彩香こいつも一緒に連れて行っていいか?」
「もちろん!」
 三人で二組に向かうことになった。彩香と葵は仲よさそうに話をしていた。
「うちのおにぃ。キャプテンうまくやってますか?」
「うん! しっかりみんなをまとめてるよ。バスケもうまいしさすがだなって思う。」
 上手くみんなをまとめている――果たして本当にそうなのだろうか。貴正は、彩香の言葉で少し不安になった自分は、三澤先輩ほど、キャプンテンシーがあるわけもないし、それに自分は――
「着いたな。結構混んでるけど、二人とも大丈夫か?」
「私は大丈夫。今日は何もないし。」
「私も平気。」

 少々待ち時間が長かったものの、思ったよりかは早く教室に入ることができた。
「美賀子どこにいるかな?」
「ほれ。あっちにいるぞ。」
 貴正は、美賀子がいる方向を指差した。
「おお! 本当だ。」
「へー。あの人が彩香さんのお姉さんか。あの人もすごい綺麗だね。美人が多いバスケ部なんて、おにぃツイてるね。」
「まぁ……確かに部員の士気は上がるけどな。」
「もぉ〜! おにぃは素直じゃないんだから。美人のマネージャーがいて、とても嬉しいですって言わないと。」
「うるせぇな。はやく注文選べ。」
 全員注文を決めたので、貴正は店員を読んだ。
「すみませーん!」
「はーい。」
 美賀子がやってきた。朝から働きっぱなしのせいか、心なしか疲れているように見える。
「あら彩香、貴正くん! あと、そちらは?」
「私、貴正の妹の葵って言います! いつも兄がお世話になってます。」
 元気に葵は美賀子に自己紹介をした。
「あら! 貴正くんの妹さんね。可愛らしい妹さんね。私は貴正くんと同じ部活でマネージャーやってる関水美賀子って言います。よろしくね。」
「よろしくお願いします。いやぁ、彩香さんといい美賀子さんといい美人姉妹ですね。」
「いや、そんなことないわよ。貴正くんの妹さんすごいいい子ね。貴正くんの妹さんともっと話していたいけど、まだ忙しいから今度またゆっくり話しましょうね!」
「ああ、悪い。長々と悪かったな。」
 貴正は、葵の代わりに謝罪した。

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