私達は仲良く異世界に転移されたけど国家建国生活は大変だそうですよ…

11月光志/11月ミツシ

ヨシフおじさん目線、11章5話。【彼は彼と苦笑いを共にする】

「それで、話って何かね?」
「何個かあるが、まず最初に…。国際軍事パレードって知っているか?」
「いや…」
「まぁ、あとで調べたらわかることだが…、さっきチャーチムから連絡が入ってな…。その国際軍事パレード委員会の第1次選考会の投票結果が発表されてな、我が国レ連とス連が1次参考を通った…。」
「………………。マジで?!」
「!マジで!」

 うぉ、びっくりした!思わずビク!ってなっちゃったよ…

「まぁ、そんなことでもし我が国が開催地になったときのために会場の設置を許可してほしいのだが…」
「いや、いいけどさ。何が必要なのかね?それ次第だよ」
「今回の出場国の軍隊数にもよるけど、陸海空基本3軍にス連からは宇宙航空軍、ツァールバリカー合衆公国から強襲上陸特化海兵隊、ポルトブルクトフ皇国からは自衛警備軍、ヴェルト州連合王国から特殊工兵隊とか各国の特別軍隊も出場するから…。12車線舗装済道路が5㎞ちょっと、大型艦船用桟橋やらドッグやら、航空機滑走路4㎞、砂浜3㎞、総燃料1KLほど、空砲弾120発、を開催国が負担するそうだ」
「…。」

 頭を抱える伍長。その表情は問題児が起こした事件の後処理に追われる教師のようだった。

「大丈夫か?」
「あぁ…、」
「まぁ無理もないか…。安心しろ!これは私とルーズヴェールの担当だからな!」
「すまないね」
「皇宮財閥が作ってくれるそうだし」

 なんかジト目で見てくるんですけど!何この伍長の目!こっわ!って、痛ぇ!伍長に足ふまれたぁ!

「まぁ、前置きはさておき…、本題はこれだ」
「本題?パレードではなく…?」
「そうだ…。伍長…、」

 見た目では平静を装っているけど、実際はけっこう痛く踏まれたので、まだ足がジンジンと痛みます。

「伍長…、アドミラル・ツェッペリンって覚えているか?」
「あぁ、私が政権を取ったとき、ナチスドイツの遺産すべてを捜索したが、それだけ見つからなかったのは覚えているが…。それがどうした?」

 やはりか。そりゃぁ調べても見つからないわなぁ…。

「伍長…、これを見てくれ…。」

 伍長に例の写真を渡した瞬間…

「なっ?!」

 彼は絶句した。
 そして私が予期していた質問が飛んでくる。

「アドミラル・ツェッペリンがなぜここにあるのだ?!」
「この写真は選挙5日前…、排他的経済水域内に入ってきた潜水艦影をソナーで撮ったものだ…。ルーズヴェールから送られてきたものは画像消去したが、これはあくまで複製として残されていたものを私がさらに複製したものだ…。」
「選挙5日前だと…?ではその時こいつがこの世界にあることがわかっていたのか?!」
「…。ああ、そうだ」
「……。」
「こいつは今どこに…。」
「わからん。監視を続けていたがいつのまにかいなくなっていてな…。」
「何か被害は…、」
「…。調査中のためはっきりと言えないが、第128駆逐艦隊が消失した。残骸も跡形もなく…。無差別的に攻撃されたそうだ」
「…おい、待て!128って確か…。」
「そうだ、ス連の一世代前の最新鋭型が配備されていた艦隊だ」
「では…、何故その報告が今なのだ?!」

 ご、伍長が珍しく怒っている。怖い

「お、落ち着け!その報告が選挙中だったこともあるし、信憑性が足りないので調査期間を設けた結果だ!」
「そうか……それはすまなかった」
「いや、別にいいのだが…」

 よ、よかった。怒られなくて済んだ…。私はほっと一息ついたつかの間、ずっと気になっていたものを見る。私も伍長もおんなじ方向を向いた。そこには私が持ってきた写真をまじまじと見ている…アイゼンハワードさんの姿であった。

「あのぉ…アイゼンハワードさんや」
「ん…?」
「何故ここにいるのかね?」
「えぇ?最初っから来たのだけど?面白そうな話をしていたから、聞いてた!」

 なんかついていけなくなってきたので、伍長に尋ねた。

「なぁ、伍長君や」
「何かね。ヨシフ君や」
「アイゼンハワードさんだっけか?色々聞きたいのだが…。」
「…何かね?」
「何でここにいるの?」
「さぁ…?」
「…。なんか依然あった時よりも幼児っぽくなったような気がするのだが…。」
「奇遇だなヨシフ。私もそう思っていたところだ」

 あれ、確か最初にあったときは年寄りらしい?しゃべり方だったはずなのだが、なんかしゃべり方も少女っぽくなってきてね?何かの実験中かな?
 でもこれって…

「なぁ、伍長。」
「何かね、ヨシフ君」
「これはツッコんだ方がいいのか…?」
「…たぶん言わない方が…」

 私達は密かにそう決めて何事もなかったかのように、雑談を開始した。もちろん政治話はしていないよ。

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