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私達は仲良く異世界に転移されたけど国家建国生活は大変だそうですよ…

11月光志/11月ミツシ

ヨシフおじさん目線、11章4話。【議会は緩やかに始まった】

 私が入場した後、反対側のドアからみんな大好き伍長が入ってきた。
 なお例によって私は一応臨時の首相でもあるので、首相席に座っている。一人だけ、みんなとは違う場所に座るってなんかむなしい。
 まぁ国王も国王席に座っているのだが…。

 国会始動のプログラム1番は、国王による開会宣言である。国王は演説台まで歩き開会宣言をした。

「国家建国に際し、我が国家の基礎運営及び法制定の権利を国会議事堂上院下院両院に与えることを誓い、民主主義と連合国家の中央政府の樹立をここに宣言する。国王である私は両院に一切加担せず、国家運営は中央政府に委託の形にする。そして本国家は立憲君主制を制定する。」

 これ開会宣言ってよりも、国王の立ち位置じゃね?いやね、確かに国王の位置づけや国家制度などを決めるのは大切だよ。立憲君主制の国家はどこの世界でも革命が起きず大体生き延びているし…、革命が起きてるのは絶対王政の国家だと思うし…。

「次に議長指名を行い、すぐに就任してもらう。上院議長、自由連合党!島城 和博。」

 その違和感の塊である開会宣言を出した伍長はすぐさま議長指名へと入る。なお議長指名は各党の推薦者を選ぶのであって、別に国王が独断で決めている訳じゃない。
 そうそう、何故か島城さんが我が党にに入党していて、いつの間にか国会議員となっていたのだが…、私、何にも知らなかったのだよ。彼が政界復帰したことも選挙立候補者になっていたことも…。
 まぁ、いつの間にか国会議員になっていた島城さんを議長推薦したのは私なのだが。むろん彼とも同意の上での推薦だ。

「下院議長、国民共栄党党首!軍務卿フェラン・ルーズヴェール!」

 ほぉ、下院議長はルーズヴェールか。
 彼は元米国大統領だ、政治運営の能力は確かで、世界大恐慌も立て直し乗り越えた男だもの。しかしなんで下院議長なんだろう。能力は確かなんだし、両院でもよかったのに…

「最後に、両院議長!無所属!アイゼンハワード・フェルトワーゲン!?」

 伍長が私の席からでもわかるほど動揺している……はぁ?アイゼンハワードだって!
 確か両院議長の選出には私は携わっていない。なので誰が両院議長に選ばれたのかは知らなかったのだが…。
 まさか伍長アドレフの義母が議長になろうとは…
 その少女は無所属席からぴょこんと出てきて国王に笑顔で挨拶し議長席へと歩いて行った。これらの動作の間に議場はカオスであった。
 議員たちはざわめき、記者団のカメラフラッシュは焚かれ続け、国王は動揺し、私も苦笑いをしていた。とってもカオスだった。

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