私達は仲良く異世界に転移されたけど国家建国生活は大変だそうですよ…

11月光志/11月ミツシ

伍長閣下目線、11章5話。【作者はギャグマンガとしての連載を目指しているのか?】

「異世界で?」

 最近、存在感以前に戦争状態という事をすっかり忘れていた私は、異世界で不穏な動きがあるという報告を怪訝そうな顔をして聞いていた。

「はい。守備軍上層部や外交官からの現地連絡によりますと、帝国軍内の穏健派の動きが妙でして…、反乱の兆候があるそうです」
「反乱?聞いた話では穏健派はごく少数だと聞いていたが、反乱できるほどの戦力はあるのかね?」
「それがですね…」

 報告に来た私専属の秘書は言葉を濁した。

「…。わからないのか?」
「!はい。各国の諜報機関も何故力のない穏健派が反乱を起こせるか調査中なのですが、これといって情報は…、気になる情報はあるのですが…。」
「その気になる情報とは?」
「はい。連合国軍が異次元門を守備占領する少し前に正体不明の集団が異次元門島に上陸、そのまま門の奥へ消えていったそうです。国連がつかんだ情報だそうですが、たいして意味はないという判断が…」
「なるほど…」

 正体不明の集団か…。
 この世界に残党として生き残っているナチス・ドイツの部隊か?という疑問も浮かんだが、ヨシフの話によると、例の巨大航空潜水艦の浮上は確認されていないそうだ。
 なら、この線は消すべきか?

「とりあえず、また何か妙な動きが見つかり次第、報告を入れてくれ。」
「わかりました。失礼いたします」

 秘書は礼儀正しくお辞儀をし、部屋を後にする。 
 その直後、ドゴォォォォン、っと轟音に近い音が扉から響く。とても扉から出された音とは思えないほどの轟音なので、パソコンに向かおうとしていた私は、人間真っ青レベルの反応速度で、扉を見た。
 扉は、見事なまでに外れて壊れており、修復は無理そうであった。肝心の扉後には煙が立ち込め、誰かがいることしかわからなかった。
 その煙は時間がたつことに薄れていき、そこにいた人の正体がわかってきた。その男は…

「……お前なぁ」

 ヨシフだった。
 私は、深々と座っていた椅子から降り、無表情でヨシフの前まで歩く。

「やぁ、伍長!折り入って提案…が…」

 私の只ならぬ気配を感じ取ったのか、ヨシフは遠目からでもわかるほど冷や汗をかいていた。
 そのヨシフのもとに私は静かに歩み寄り、50歳越えとは思えないほどの力でこぶしを握り思いっきりヨシフの腹をロックオンした。
 そして一言。

「ヨシフ!貴様は!なぁに人の部屋のぉ!扉を!破壊してくれ撮るんじゃぁ!」

 そのままヨシフのへそあたりにめがけて強烈なパンチを繰り出す。
 もとU-ボート機関士の力を舐めるなよ!ヨシフ!
 そのヨシフは横から見ると、ギャグマンガしか見ない、くの字状態になっていた。

「ぐはっ!」

 ヨシフは吐血しそのまま意識を失った。





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