私達は仲良く異世界に転移されたけど国家建国生活は大変だそうですよ…

11月光志/11月ミツシ

ヨシフおじさん目線、10章10話、選挙2日前。【暗号は将来の伏線】

「指名手配犯が?」

 選挙2日前の今日、午前8時過ぎ一本の定時メールが入った。
 この定時はルーズヴェールからのメールで、ナチスの残党が作った兵器、アドミラル・ツェッペリン級や我が国の周辺海域に現れるかもしれないU-ボートの監視報告を受けるために設定したのだ。
 ほとんど毎日は、『異状なし』という報告だったのだが、今日は珍しく内容ありのメールだった。その内容が指名手配犯…である。
 その気になるメールの内容は次の通りだった。

『定時連絡、ルーズヴェール軍務卿。発信場所王宮軍務卿執務室。
 ス連邦反乱軍、保守派指名手配犯は現在我が国方面に南下中…。国際統合警察機構の発表。各国は警戒態勢。我が国も警戒態勢にせよ。首相の判断に任せる』

 っという、やや丸投げ感が出ている定時連絡であった。
 というより最後のほぼ私に丸投げしたよな…。一応軍務卿なのでそれなりの権力がある。軍を動かすとか…軍を動かすとか…。うわ!そんなになかった…。自分自身で驚いた。

「さて…、自分自身でボケてツッコんだことはさておき…、どうするかね…。」

 正直言うと、こういう仕事は伍長の方が向いているんだよなぁ…。というよりこの発表ネットニュースでも大々的に取り上げられているし…。謹慎中の伍長が重要指名手配犯として手配しそうな気がするしなぁ…。あやつああ見えても権力を持って暴れまわる奴とかに独自制裁加える奴だからねぇ…、

「はぁ…。仕方がない。『返答。伍長が決断を下す恐れあり。2週間以内に出されなければ、私から出す』」

 送信ボタンを押し、スマホの電源を切ろうとしていた時、スマホに見慣れない常備アプリがあることが目に入った。

「暗号通信…?何という物騒な名前だ!」

 あまりにも怪しすぎたので、アプリを消そうと思っても常備アプリなので消さないことに気が付いた私は、アプリのアイコンを長押しし、端っこの方に追いやっていった…。

「全く…。何というものを常備アプリにしているのかね…?」

 ちょっと気になっている私は、公用スマホではなく私用スマホでそのアプリを見ることにした。
 白色のカバーが付いた公用から、懐に入れていた黒色のカバーの付いた私用スマホを取り出して顔認証でロックを解除する。
 スライドしていきお目当ての暗号通信というアプリを見つけた。

「私用なら…、個人情報やら国家機密はないし…。ウイルスが入り込んだら叩き割ればいい…。まぁ大丈夫か」

 そのアプリのアイコンをタッチし、アプリを開く、最初に出てきた画面にはこう書かれていた。

『このアプリは、友人や会社の同僚と傍受されやすいメールや電話で話せない内容の会話を、周波数を相手と同じにすれば、事前に設定してあった暗号でやり取りできます。
 ※他人の周波数に合わせれば傍受は出来ますが、暗号は特殊なので解読できません。スパイや諜報員の方のやり取りにはもってこいですが、暗号内容は各自で設定してください。傍受されても知りません』

 と、注意書きが書かれていた。
 うん、まぁご丁寧にスパイ向きと書いてやがって…。私は読んでいる最中苦笑いが止まらなかった。
 OKと書かれたボタンを押し、アプリを開く。
 次に現れた画面では、周波数を合わせてくださいと…。っと書かれており、そこには最高9桁まで入力できるようになっていた。
 しかし、私は相手なんかいない。今回はどういう暗号なのかと気になっただけなので、試しに283と打ってみた。特にこの三桁には意味はない。本当に適当だった。
 何が聞こえるか?気になってイヤホンをつけて聞いてみた。
 トゥーツー
 意外にも聞こえてきたのはモールス信号だった。最近もしもの時にモールスを習っておいてよかった…。
聞こえてきたのは意外にも数字であった。

「1120,1400,126、3278,49,12901…?なんじゃこりゃ…!」

 聞こえてきた数字にはてなマークを浮かべつつ、私はスマホのホームボタンを押し電源をついでに切る。この数字の意味はしばらくはわからなかった。だがその答えが分かったのはずいぶん先であったが…。

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