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私達は仲良く異世界に転移されたけど国家建国生活は大変だそうですよ…

11月光志/11月ミツシ

ヨシフおじさん目線、10章9話。【勲章とは最高に名誉なことである】

「おや、首相。お帰りですか?」

 私のちょうど後ろの座席に一人の男が座っていた。声からして大体察していた、誰であろう私に真実を教えてくれた科学者であった…。私ら同乗率多くね?!

「あ、あぁ君か…。君も帰りなのかね?」
「まぁそうですね。そんなことより首相、その箱は何なのですか…?あ!あぁすみません。どうも気になることは解決しないと落ち着かないので…」

 確か地球のどこかの国の刑事ドラマでそういう癖を持っている人がいたような…。

「…。まぁ構わないが。ほれ、これじゃ」

 私は鞄に入れかけていた勲章を彼の目の前で見せる。まるで結婚指輪を見せるかのように…。

「おぉ!勲章ですか!」
「そうじゃが…」
「…?どうかされましたか?」
「実はなぁ…」

 意味はないかもしれないが、鍛冶屋で型を取るよりコストを抑えれる方法が最先端科学にあるかもしれない…そんな希望をかけて彼に事情を話した。
 言わせてもらうが、我が国の基礎勲章が決まるわけで…さらに量産するほどの価値やら価格やら様々なことが決まるのでね…。私の理想だと、祖国建国記念勲章として国家を支えてくれた人物に受賞させる…最高勲章にしようかと思っている。


 そんな私の悩みを聞いた科学者は難しい顔をしていた。

「うーん。鉱石または素材やインゴットを溶鉱炉で溶かして倍にしてから、その冷えたインゴットをまた溶かして勲章鋳型を作ることは可能っちゃぁ可能なんですが…。」
「何か問題が…?」
「そうですねぇ…。まず鉱石の倍にする過程…つまり溶鉱炉で溶かす作業ですが、それは問題ありません。ですが…。」
「ですが?」
「…、鉱石によって冷える速度が変わるのですが…。どういう色が好みですか?」

 うーん、考えてなかったなぁ…。イメージは…。イメージは…。思いつかなかったので、ウォキペディアというインターネット百科事典で【勲章】と調べてみることにした。便利だねぇ…、ネットさえあれば調べ物ができるのに…。
 勲章のページでは地球上の勲章や、フェルトワンの勲章も載っていた…。菊の花が使われている勲章は…っとあったあった、日本国の勲章か…。まぁ、これでいいか…。

「これだね…。菊の花を黄色に、後ろの鉄十字の外側を赤色に真ん中を白してくれませんかね?」
「っとなると…、黄色は…市場価値が石並みになっている金か。」
「……。ちょっと待て!今なっていった?!」

 聞き捨てならないってか、地味に衝撃発言が飛び出してくる。聞き逃しかけたが、なんとかなった…。何がなんとかなったかは想像に任せようか…。
 というより、市場価値が石並みだって?!あの金が!?あのゴールドが?!みんなが大好きあの金が?!石並みの価値だって?!
 半狂乱になりかけている私はとりあえず水を一瞬で飲み干して落ち着くことができた。精神状態はいたって平常…そう自負していた私が半狂乱とは…、多分飛行機のせい…としておこう。

「どうかされましたか?」
「いや、金が何故そんな価値が無くなったのだ?」
「あぁ、そのことですね。まぁ原因はペルシアント王国ですね…、あの辺りは巨大な金鉱山があったのですが、ペルシアント王国が大量採掘してしまいましてね…。それで大量に余った金が何者かによって市場に大量流出してしましましてね…、まぁそれによって価格が大暴落、もはやそこら辺にある石と変わらない価格になってしまいました。」

 あぁ、大体察していたけど、あんにょ馬鹿野郎ペルシアント王国かよ…。世界規模の大迷惑だなぁおい!

「…。話を戻しますが、黄色の部分が金となると、菊の中央はダイヤモンドですかね…?そうなるとこの鉄十字の赤色は赤石ですかねぇ…?白は白水晶でいいですか?」
「ああ、かまわない。それで出来そうかね?」
「ええ、そうなってくると…。金は価格がほぼないので量産する必要もないですし安価で大丈夫です。精錬済みなので冷やす必要も…。ダイヤモンドは、サンプルさえあれば、人工ダイヤとして作ることは可能なので、確か科学研究棟の金庫に人工ダイヤが大量に保管されているので、こちらも精錬の必要はなし…。赤石もス連でとれたものが…これは10分ほどで固まるものですが、問題は白水晶ですね。」
「というと?」
「白水晶を勲章として使うには、まず鉱石をとってき、それを簡易精錬して倍型白水晶インゴットにします。次にそれを溶かして勲章にする…。という過程なのですが、これらの手順すべてを終えるのに…1週間はかかりますかね…」
「そうか…頼めるかね?」
「分かりました。ではお預かりします」

 彼に勲章の入ったケースを手渡し、私は窓の外を眺める。
 おっと、もう王宮地下飛行場じゃないか…。私は改めてシートベルトをし直し着陸態勢へと入った。

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