私達は仲良く異世界に転移されたけど国家建国生活は大変だそうですよ…

11月光志/11月ミツシ

伍長閣下目線、10章6話選挙3日前(後)【コーヒーは苦くとも彼にとっては最高の一品である】

 コーヒーとは苦くも私にとっては最高の一品である。
実は私が地球で言った名言である。まぁおそらくだが、誰にも知られていないごくごく普通の名言だろうが…。
 今、私やアドレフ、アイゼンハワード氏は地下20階の研究室?に設けられた休憩スペースでそれぞれティータイムを楽しんでいた。
 私はコーヒーを、アドレフは紅茶を…アイゼンハワード氏は緑茶を飲みそれぞれ楽しんでいた。

「ところで、何で私らはここでティータイムとなっているのかね?」
「まぁ、そう言いなさんな。あと10分ほどで彼女が起動するのだから…」

 彼女…試作アンドロイド/D型、コードネームツェリンシェン…つまりアドレフの彼女というか奥さんである。10分で起動できるのは結構すごいと思うのだが…
 って、

「すみません。私はもうそろそろ帰りますね…」
「おや、帰るのかい?」

 そう、もうすぐ日が暮れてまう。
遅くに帰ればうちの怖ぁい奥さんはいないけど、怖ぁい彼女もいないけど、怖ぁいメイドさんに怒鳴られる…そんな一国家であるレッドヴェーレルリン連合王国の初代国王、それが私です。

「では、失礼して…ん?」

 席を立ちちらっと試作アンドロイド/D型が入っているカプセルを見るとわずかながらに手が動いたように感じた。
 一瞬の事だったのでカプセル事態に近寄ってみると手が動いたような跡があった。

「アイゼンハワードさん…これはいつぐらいになったら生命体活動が起こるのですかね…?」
「…?確か1分前だったような気がするけど…」
「今、動きましたよ」

 ガタ
 椅子らしきものの倒れる音がする。

「それは本当か?」
「だって、ほら」

 2人が近寄ってくる。
アイゼンハワード氏はカプセルにつながっているコードの先、大きなコンピュータへと向かい、アドレフは私の隣でカプセルの中の人物を見ていた。

 数分後。
アイゼンハワード氏がコンピューター装置から離れて私たちの元へとやってくる。

「あの、どうでしょうか…」

 アドレフが私からでもわかるほど手足を震えさせながらアイゼンハワード氏に尋ねた。

「自動解放モードを10秒にしているから、もうすぐだよ。特殊液が抜かれるはずだけど、多少残るから離れた方がいい」

 そういうと、アイゼンハワード氏は2歩ほど下がった。
私達もその言葉に従い、同じく2歩下がった。
 プシュー
 コードやカプセル本体から白色の煙が上がる。
そして、カプセル内から薄緑色の液体が徐々に消えていった。
 12秒ほどたって中にたまっていた薄緑色の液体が完全になくなると、カプセルの扉がゆっくりゆっくりと開いていった。
 その開いたカプセルへと私たちは駆け寄っていった。
 不思議なことに、彼女の体も髪も服も一切濡れてはいなかったが、

「ツェリンシェン…」

 絶句気味になりながらも声をかけるアドレフ。
そして、彼女のカメラアイがゆっくりゆっくりと開いていった、青色と黄色のオッドアイだったが。

「…?アイゼンハワードさん、彼女ってオッドアイなのですか?」
「そうだよ、きれいだよね…」

 そうだったのか。

『試作アンドロイド/D型、コードネームツェリンシェン起動しました。全内蔵機安定、DNAを確認。照合成功、試作アンドロイド/D型、コードネームツェリンシェン移行します』

 合成音声が鳴り、彼女自体が一瞬自体光ったように感じた。いや確かに光った。

「成功だね」

 アイゼンハワード氏は誇らしそうに話す。

「…ここはどこですか?」
「…!ツェリンシェン、君はツェリンシェンなのか?!」
「そうですよ。お久しぶりですね、あなた、お母さん」
「なっ!ツェリンシェン君は記憶を持っているのかね?」
「持ってますよ、お母さん」

 アイゼンハワード氏は絶句していた。
記憶を維持すること自体、アイゼンハワード氏は諦めていたのだろう。
 私は家族の邪魔にならないように、静かに部屋を去っていった。
 最後に見たのは、3人が抱き合っていたところであったが…

コメント

  • 11月光志/11月ミツシ

    どうも。
    私だ。
    タイトル変更しました。
    詳しくは、小説家になろう様で、

    0
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