私達は仲良く異世界に転移されたけど国家建国生活は大変だそうですよ…

11月光志/11月ミツシ

伍長閣下目線、10章5話、選挙4日前。【演説は政治家の命であり、彼らもまた演説する】

 選挙4日前、応援演説のため、私は王都の大通りの一角、スクランブル交差点というものがある場所にいた。
 選挙はこの先の国家の運営や未来がかかっている訳で国内からも世界各国からの注目度が高かった。
  選挙カーの上、そこでは今ヨシフが演説していた。

「……いいですか!我が国は自由を守ります。どこかのペルシアント王国のように簡単に独裁政権にはさせません!私の公約は国民や国家がこの先苦しまない憲法を作ります。
私は自由連合党は国民の皆様の意思を尊重し、何事にも負けない国運営をいたします」

 ほお、ヨシフよ。
 地球にいた時に比べ、演説力も上昇しとるな。

『では、お次に、レッドヴェーレルリン連合王国初代国王陛下のご挨拶です』

 さて、出番が来たかね。
 私は車から降り、スーツ姿ではしごを上っていった。

「皆さんこんにちは。レッドヴェーレルリン連合王国初代国王アーゼルベルクトフ・アドレフです。」

 民衆はキョトンとしている者が多かった。
まぁ、無理もない。
 国王のイメージと私は全く一致せんだろう、思いっきりスーツ姿だもんな。

「彼、ヨーゼヴェネル首相はしばらくの間、一緒に仕事をしていたが、彼は数多くの功績を残しました。
現在も戦時下ですが異世界へと出向き、体調を崩していた私に代わって講和準備をしてくれました。
それだけじゃない、彼と新国家を作ったとき、私だけではできなかったことなどをやってくれました。
彼は、この国では初めてであろう、新国家として初代首相として我が国の基盤を私と一緒に作ってくれました。
彼は!1流の指導者です!誰にも簡単にできないこと、実行力が彼にはあります。
この国がペルシアント王国に屈しなかったのは、彼の外交力で列強国を動かしてくれたことです。
彼に対し、私は彼の功績や可能性を評価しています。
どうか、どうか、ヨーゼヴェネル首相に清き1票を!」

 民衆は拍手喝采だった。
 これは、彼を最大限評価した私の演説だった。
 それほど、私は彼のことを信じていた。
誰にも負けない国家運営を彼は出来るだろう。
 地球では指導者ではなく政治家として活動していた彼はその経験が人一倍あるからである。
 さて、あと四日だが、彼、自由連合党には頑張ってもらわねばな…
 そう心に私は誓った。

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