私達は仲良く異世界に転移されたけど国家建国生活は大変だそうですよ…

11月光志/11月ミツシ

敵、そして爆撃機目線、7章4話

神法名歴1078年、ゼルビスタイ大帝国門占領軍第1歩兵騎士団騎士ジェオ

「しっかし、寒いな…」

ジェオは占領地…つまり異次元門島で身震いしていた。

「ははは、大丈夫か?まぁどうせ、すぐ帰れるさ…異世界なんて我が国の領土となるのだからな」
「副団長!」

副団長と呼ばれた男が、がはははと笑いながら話してくる。
副騎士団長は現代の階級で言えば、兵長
騎士団長は士官
騎士長は将官にあたる。

「しかし、静かですね…異常なほど。周辺の町もそうですが、建設技術もわからないのに、人が数出た気配だけはあるんですよ…」
「報告します。現時点では、ここは島という事が分かりました!」

監視兵が駆け寄って跪き報告する。

「島ですか…どうするんですか?」
「海か…船を用意しろ!近くの大陸に上陸!!」

監視兵は駆け出して行った…その時
架設された見張り代から警報音が聞こえる。
そして、あるものは機龍を飛ばし、またある者は上空を見上げる。
彼らが空を見上げる理由は、この警報音が対空警報だからである。
そして、ジェオも顔を上げ目を見開いた。
はるかかなた、上空1万メートルを飛行する鉄の塊だった。

「なっ!?」

周りにいた仲間全員が同じリアクションをとる。
太陽に隠れて見えずらいが、確かに鉄が空を飛んでいた。


■  ■


異次元門島高度1万2800メートルをソ連製の漂着型旧式爆撃機、TU-721戦略ジェット爆撃機が飛んでいた。
この世界では、地球製の忘れ去られた旧式兵器が数多く流れ着いてくる。
軍艦から飛行機、自動車などなど…
旧ソ連製のこの爆撃機は、国連島北部沿岸に流れ着いたTU-721型爆撃機のリバースエンジニアリングを施し主力爆撃機だった機体である。
本来ならば3年前に除籍予定だったが、老兵に最後の活躍を与えようと本作戦に参加した機体である。

「高度1万3000メートル到着、爆撃ポイント通過まで10秒…9…8…」

25機の爆撃機がきれいに編隊を組んで飛んでいる。
その編隊の隊長機、機長のマーシェン氏は各機体に指示を出していた。

「3…2…1…全機1t爆弾投下!!」

この合図により、計500tもの爆弾が異次元門島に投下された。

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