伍長閣下目線、５章７話

夢を見た。

祖国で私が指導者となったその日、民衆は私を支持した。
その後、別荘で愛犬と友人で過ごしていたが、２日目の雨の降り注ぐ日、私はその時、近くの町に降りて少々のバカンスを楽しんでいた。
雨なので、室内だが…
午後２時３２分、別荘の方角から轟音が響き渡る。

「なんだ？」

屋外に出て轟音のした方向に視線を向け、私は驚愕と共に顔から血の気が遠のいていく。
黒煙を上げている先には…私が宿泊中だった別荘、まさに別荘から黒煙が上がっていた。

「何が、おこった…」
「閣下！ご無事でしょうか」

従者の一人が駆け寄ってくる。

「ああ、私は大丈夫だ。それより…」

言葉が出ない、否、言葉を出せなかった。
怖い、率直に感じたことだった。

「それより、別荘では何が起こった。」
「……ただいま、警護兵による実況見分兼消火活動を始めます。少々お待ちください」

彼は、無線機を取り出し、しゃべり始めた。
黒煙は、白煙へと変わり、相変わらず空高くまで上っている。
雨は気が付かぬうちに、止んでいたようだ。

「…報告上がりました。爆心地…ボイラー室…特にそのあたりは壊滅的だそうです。」
「そ、そうか」

動揺し、言葉を失った。いや、失いそうになった方が正しいか。
ボイラー爆発…壊滅的な被害が出るのもわかる…

「！…分かりました。報告します。死者はなしですが、重傷者多数…グレネードピンの破片が周囲から発見され、何者かによる爆破テロ…の可能性があります。」
「……」

私はただ、直立不動で立っていた。
何もできなかった…それが悔しくもあった。

「はぁ！ゆ、夢か…」

目が覚め、懐かしい夢を見たが、汗びっしょりだった。
何故、こんな夢を見たのか…私にはわからなかった。