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私達は仲良く異世界に転移されたけど国家建国生活は大変だそうですよ…

11月光志/11月ミツシ

伍長閣下目線、4章1話。【ヘリでそれは伝えられた】

  ババババババ
 戦艦とヘリコプターに揺られ数時間が経過し、ようやっとレッドヴェーレルリン諸島へとやってきた私は、ずっと思っていた疑問を議長に尋ねた。

「ジューコフさん、この島はどういう島なのかね。地図には詳しい内容が書かれていなかったが」
「そうですね、各国がなぜこの島を占領や自治領にしなかったからかというと、一つは交通的に不便だったのがあげられますね。まぁ、もう一つなのですが」

 一瞬言葉を詰まらせる議長。

「そうですね。この世界の法則とかかわるのですが、異時空門島がありますよね。あの島もともとス連邦が所有していた島なのですが、そこに異次元門が突如出現しましてね、ごくまれに他世界からの漂流者がいるのですよ。それらの人が国をつくれるようにレッドヴェーレルリン諸島が保護の対象となったのですよ」

 ヘリコプターのエンジン音で聞きにくいなか、議長はやや苦笑いを浮かべながら答える。

「それなら、何故わしらなんかに」
「…………君らはこの世界の出身ではないですよね」

 私は絶句した。まさか、この世界の出身ではないことがもうわかっていたとは…。いや、確か国連の国家建国案内所で提出した紙には、住所などは書かなかったからな…。
 その反応を見て確信と思った議長は…、

「やはりですか、実はですね……」

 議長が何かを言おうとした瞬間だった。無線機に母艦でもある戦艦からの緊急連絡が入ったようだ。だが肝心の内容はわからない。緊急連絡などはどうやら議長のみが分把握するようになっている。

「非常事態になりました。国連は先ほど列強含め全国に向けて新国家の建国宣言を出しましたが、やはり…。といった事態になりました…」
「どういう事です?」
「…。ご存知の通りペルシアント王国は国際社会からも制裁対象となっていましてね。まぁそのペルシアントが反対の立場を取り、『あの島は我が国の領土である』と一方的にほざけ出しましてね。王国軍が国連管理下の町方面に移動している状態です」

 ……。何というか、今までの事から反対する国はいるだろうとは私も思っていた。だが軍まで移動し、国際社会との更なる溝を深めようとするとは…。
 私はあきれていた。呆れて言葉も出なかった。
 とそこにまたしても無線入ってきた。

「…………………!機長さん、大至急!母艦まで戻ってください」
「どうされました?」
「…。ス連邦管理地域とペルシアント王国が北部国境付近で戦闘が始まりました。もちろん国際社会の平和維持機関でもある国連はこのことを見逃すわけにはいきません。」

そういうと、機体はくるりと半回転し戦艦が停泊している沖に戻っていった。

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