伍長閣下目線、２章５話。【科学は海を上回る？】

　ザァーザァー
青い空青い海がそして地平線がどこまでも続く。
何か一句が出来そうだな。
　おお海よ　あなたは何故に　海ですか？…違うそうじゃない！
そんなことはさておき…

「おー、これはこれは」

　太陽の光で輝く海面を私は見とれていた。
　横にはヨシフがパイプ煙草を吸いながら桟橋の上で船を待っている。
風があたり、その後ろ姿はちょっとカッコよかった…
　だがなぁ、私らの服装は明らかに海に行く服装ではなく、私は焦げ茶色のスーツ鉄十字を首から下げ、革靴という服装。ヨシフは政治家時代の服を着込みやはりこちらも革靴…という服装である。
っと…
　　ヴォー

「おっと、来たか来たか。伍長！乗り遅れるなよ」
「分かっとるわい」

　まるで旅行に来た子供のようにはしゃぐヨシフに対し少々不安になる私がいる。
だが、ヨシフがはしゃぐ理由もわからないこともない。
　桟橋へやってきた船は実に興味深かった。
船は煙突が一つもなく何で動かしているかという事は全くわからなかった。それだけじゃない、船員のほとんどがロボットだった。人間に近いロボット…

『まもなく出港します。まもなく出港します。』
「乗ったか伍長！」
「乗ったわヨシフ君！」

　確実にヨシフのほうが年上なのだが、こう見ると私の方が年上だな。
そう思いながら私は甲板へと上がった。


　　ザァーザァー
波は穏やかである。非常に穏やかであるが……だが風が強い。
いや、風が強いというよりこの船の速度が速い。４，５０ノットは出てるんじゃぁなかろうか。

「ヨシフ！あとどれくらいでつくのだ…？」
「あと、１０分ほどだそうだ」

だが、周りには島どころか船１隻も見渡らない。
…いや、かすかに進行方向に島らしき影が見える。

「ところでヨシフ君。国連のどこで資料を提出するのかね」
「さぁ、知らん。わしに聞くな」

ヨシフの回答にこの先心配になってくる私がいた。

『まもなく、国際統合連盟島東海岸、まもなく、国際統合連盟島東海岸。お忘れ物が無いようにご注意ください』

「おっ、じゃぁ、準備するぞ！伍長君」
「分かっとるわい。ヨシフ君」

昔の宿敵という事も忘れ、私らは船内へと戻っていった。