伍長閣下目線。１章１話【異世界に来た男】

　諸君、初めまして。私は地球で某国の指導者だった人物である。
　伍長閣下…そう親しい人物などからは言われていた、だがもちろん本名もある。アーゼルベルクトフ・H・アドレフこれが本名だった。
　そして今、私は見知らぬ公園の日の当たる草花の上に寝っ転がっていた。
　私の国にはこんな場所知らない…

「誰か！誰かおらんか！フォケ！ヘレッエン！」

　側近の名前を２名ほど叫んでみたが、返事もなければ私に言葉をかける者もいない。
いや……何かがおかしい…
　そう思い私はよくよくあたりを見渡す。
　奥の砂場で子供たちが遊んでいる…いや…？なんだ？動物か？いや違うな！人間でもない、動物でもない…なんだあれは！
　通行人が不審な目でこちらを見てくる…その通行人でも人間ではない…動物人間？がちらほらと見える。いったい本当にどこなのだ、ここは。

「くそ！……だめだ、何があったのかわからない。ええい、ええい、くそったれが！これからいったいどこに行けば…」

　私はそう独り言をつぶやきながら何気なくベンチに腰掛けた。
　本当に何気なくだった本当。
　そのベンチは公園を一望できる場所だった。その時によくよく見ればよかった…

「はぁ」

　実の話、私はこのような妙な体験をしたのは今回が初めてではない。
政治家になったころ、夢の中で同じような夢を見たことがある。
　それも実に奇妙な話だった。
　だが夢というものはそう簡単に覚えれるものではない。最初のシーンつまり今の部分にデジャヴを感じていたのだが、どうしてもこの先の事を思い出すことができなかった。

「だが…そういえば……そういえば、なんとなくあの時の夢と酷似しているような……確かあの時の夢の中では見知らぬ公園で目が覚めて次に…」

私はベンチに座り込み、必死に混乱していた頭をひねっているときだった。
　ドゴーン……ドーン
目の前…というより目の前の通りの何や参加は知らないお店が、突如として轟音を上げ爆発、炎上している。

「火事か！……あぁ！くそっ！マジか！」

　火事を防げなかったことに私は怒りを覚えた。
　私は夢の中で同じような事を感じた、デジャヴ…そして火事、つまり夢の中でもこの火事が起こっていた、にもかかわらず、私は火事を防げなかった。
　正直私はここは夢の中じゃないかと思っていた。だが、こんなにもデジャヴを感じたことはなかった。

「私よ！思い出せ！次は何が起こった……」
「ふん、久しぶりだな…」

　頭を抱えてうなっている私に横から聞き覚えしかない声が聞こえた。
　そして、さらに声を聞いた瞬間またもデジャヴを感じたが、正直この先の夢のことは全く覚えていない。

「誰…！な、なぜ貴様が…」

　横を見て睨もうとした瞬間私の思考回路が瞬時に停止した。
　そこに立ってたのは、髭を生やし、白髪の混じった髪をきれいに溶かした姿のヨシフおじさんがにんまり顔で立っていた。