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私達は仲良く異世界に転移されたけど国家建国生活は大変だそうですよ…

11月光志/11月ミツシ

ヨシフおじさん目線、1章1話【異世界にやってきた男2】

 さて、諸君らとは初めましてかね。私の名はヨーゼヴェネル・シベリア・フシュガヴィリだ…、同僚や周りからはヨシフおじさんともいわれている。
 私は今、見知らぬ公園の芝生に寝っ転がっていた。極東にはない…あたたかな芝生だった。
 太陽が真上に来ていたためまぶしい。ごくごく普通の太陽だ。

「んなっ、どこだここ」

 私はあたりを見渡した。建築物はどことなく東ヨーロッパ風であったが。人間…

「ん!?」

 私は目の前にいる者に己の目を疑った。
 人間の他に、動物…違うな動物人間とでもいおうか…
正直に言おう、私は困惑した。
 周りには誰もいない。私の側近も、最後をみとった医師も、家も家族も財産も、すべて…何もかもが無くなっていた。
 目の前には人間や動物人間が賑やかな商業街が広がっていた。
私はさらに困惑した。
 老衰で死んだはずの私がなぜこんな場所にいるのか、そしてここはどこなのだ。地球ではないのは確かである。

「ええい、くそ!どこなのだ…」

 混乱のあまり自分の髪をかきむしってしまう。
 紳士として髪を乱すのはあまりよくない事を思い出し、慌ててポケットに入っていたくしを取り出そうとした瞬間だった。
 ドゴーン…ドーン
 爆発音と共に火の手が上がってくる。
 突然の轟音にびっくりして思わず手に持っていたくしを落としそうになった。このくしは私の財産なもんでな…汚れたらたまらん。
 後ろを向くと元お店らしき建物の瓦礫が山となって崩れていた、おそらくだが、あの瓦礫の山と化している元お店の後から火事が起こった……………………………………………………うん?
視線を落とした先にベンチで頭を抱えうなっている男がいた。
 やつれた軍服を着こみ、軍帽で顔は見えないが、首元にぶら下げっている鉄十字で大体の察しがついた。というより、あの格好をしている男を私は一人しか知らなかった。

「何故、あの野郎が…」

 そう思った瞬間、私は奴の方向へ大股で歩き出した。

「ふん、久しぶりだな…」

 私は奴に嫌みのある感じで声をかけた。
奴はすぐさまこちらを向いて絶句していただろう…

「誰…な、何故貴様が!」

 奴…いや某国の指導者たる伍長閣下がいるはずではないであろう、私に対して驚愕した様子でこちらを凝視していた。

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