チート仮面と世界を救え、元英雄の異世界サバイバル救国記
第十七話 人の知恵
村人たちはメリウス達が持ち込んだ道具に興味津々だ。
石材の加工や木材の加工、それらを留めている紐の素材など質問攻めに合う。
石材に関してはメリウスの特殊技術、仮面のかけらによるところが大きいが、楔を入れて割るなど、仮面のかけらに頼らない方法も存在する。
木材も、自然に存在する石を使っても時間をかければそれなりのものは作れる。
あとは、木による特性などを知ることが肝要だ。
「やはり、森からの恵みは偉大ですね」
一通り話を聞いて村長は少しさみしそうにつぶやく。
「我らは見ての通り、野生の動物から逃げてこの地へと定住した。
山を降りて森へ行くというのは、なかなか……」
「確かに森には他の動物も多いですが、きちんと対策をすればなんとかなります。
私も記憶をなくし、あてがあるわけでもないので、しばらくお手伝いしますよ」
歓声が上がる。
素晴らしい道具をもたらした見た目にも屈強な人物が村のために協力してくれる。
日々に恐怖しながら生きてきた村人たちにとってどれほど心強いことか……
いつの間にか3人は村人に囲まれていた。
子どもたちはプリテと一緒に遊んでいる。
おばちゃん達はカインに、そしておっさんはメリウスに……
「とりあえず、明日私達で必要な素材を一度取ってきます」
村のある山は3人の足なら半日で家まで帰れる距離にある。
この山の麓からしばらくすると森があることは確認してあるので、木材などの調達はその森で行う予定だ。
まずは村の人々が安心して山を降りれる設備と、村の内部の改善からメリウスは着手するつもりだ。
今日はすでに日が沈みかけているので、明日早朝から森へ行って材料を確保して作業に取り掛かる。
これから始まる村の改善を思うと、メリウスの心は沸き立った。
あれをして、これをして、人が多いと思いつくことも多く、頭の中はそのことで一杯になる。
「メリウス様楽しそうですね」
「ああ、明日からは忙しくなるぞー」
「がんばろー」
3人は自分たちで持ち込んだテント、と言っても正直この村の建物よりもしっかりとした作りだ、テントに寝具を広げて明日へと想いを馳せる。
村長は3人をもてなそうとしたが、冬への貴重な食料や材料を使うのは良くないとメリウスは固辞した。
お礼は労働力で。ニッコリと笑ったメリウスの目だけは笑っていなかった。
簡単な鞣し作業しかしていないが、たくさんの革は村人を暖かく包み込むだろう。
翌朝、日の出から3人は作業に移る。
空になった荷車を引っ張って一気に山を降りていく。
その際もこの登山ルートに作る道のコース取りや、その製造方法などにも頭を働かせていく。
当たり前だが登るより下るほうが早く着く。
あっという間に麓まで到達する。
メリウスを導く道まで一旦戻り、家の方向に少し進めば森が現れる。
「よし、俺とカインが木材や石材、プリテは食材とかの採取をよろしく」
「はい!」
「はーい、いってきまーす」
「気をつけてな」
優れた聴覚、視覚、危機察知能力、全てがメリウスよりも上、身体能力も普通の人間に比べればかなり優れている二人。メリウスもプリテにならば安心して採取を任せられる。
プリテはふわふわして、ただのかわいい少女のように頼りなさげに見えてしまうが、野草などの知識や狩りの方法、解体のやり方など完璧に理解している。実務能力も非常に高い。
仮面の刀を手に入れたお陰で伐採の速度はおかしいくらいに上がる。
メリウスが刀を横薙ぎに振れば、大木だろうが一刀両断だ。
適当な長さにカットして荷車へと乗せていく。
ある程度溜まったら村まで運んでいく。
「これはなかなかいい鍛錬になるな!」
木材を満載した荷車を山の上部に運ぶのは二人でも結構重労働となるが、規格外の二人にとっては朝飯前だ。
一度の輸送で信じられない量の資材を運んでくるメリウス達に、村人は唖然としている。
木の表面の皮を剥がす作業などを指導して、メリウス達は再び森へと戻る。
森に戻るとプリテが山ほどの採取結果を持って待っている。
それを荷車に乗せてもう一度山登りだ。
「まずは、輸送面から考えないとな……」
作業の辛さよりも、工夫によってそれを改善していく方法を考えている方が、メリウスは楽しかった。
村のある山はそれほど傾斜のきつい山ではない。
動物に追われたと言っても、きちんと対策すれば対応できる。
そのためには早期に発見する必要がある。
たぶん過去の人々は高台に住居を移すことで、動物の発見を容易にしたんだと考えられた。
そのための高台なのでそこまで険しい山岳地帯である必要は無かったのだろう。
もし、村が険しい山の頂上などだったら、流石にメリウスももっと高度の低いところに村を移すことを考えただろう。
「……村を移すか……」
実際はあんまりなんにも考えていなかった。
ふと思いついた事を口に出す。
「私もその方がいいのではないかと思いました。
あの村の人々が、今後こういった往復をするのが可能でしょうか?」
カインにもダメ出しをされてしまった。
そうだ、村に住むのはメリウスではないのだ。
あの村人が住みやすい村を作る必要があるのだ。
「ちょっと村に行ったら相談してみよう」
今更そんなことを言い出すメリウス。
ぼくのかんがえたさいきょうのむら。そのアイデアを考えるのに夢中になって、色々と大事なことがスっぽ抜けてしまっていた。
石材の加工や木材の加工、それらを留めている紐の素材など質問攻めに合う。
石材に関してはメリウスの特殊技術、仮面のかけらによるところが大きいが、楔を入れて割るなど、仮面のかけらに頼らない方法も存在する。
木材も、自然に存在する石を使っても時間をかければそれなりのものは作れる。
あとは、木による特性などを知ることが肝要だ。
「やはり、森からの恵みは偉大ですね」
一通り話を聞いて村長は少しさみしそうにつぶやく。
「我らは見ての通り、野生の動物から逃げてこの地へと定住した。
山を降りて森へ行くというのは、なかなか……」
「確かに森には他の動物も多いですが、きちんと対策をすればなんとかなります。
私も記憶をなくし、あてがあるわけでもないので、しばらくお手伝いしますよ」
歓声が上がる。
素晴らしい道具をもたらした見た目にも屈強な人物が村のために協力してくれる。
日々に恐怖しながら生きてきた村人たちにとってどれほど心強いことか……
いつの間にか3人は村人に囲まれていた。
子どもたちはプリテと一緒に遊んでいる。
おばちゃん達はカインに、そしておっさんはメリウスに……
「とりあえず、明日私達で必要な素材を一度取ってきます」
村のある山は3人の足なら半日で家まで帰れる距離にある。
この山の麓からしばらくすると森があることは確認してあるので、木材などの調達はその森で行う予定だ。
まずは村の人々が安心して山を降りれる設備と、村の内部の改善からメリウスは着手するつもりだ。
今日はすでに日が沈みかけているので、明日早朝から森へ行って材料を確保して作業に取り掛かる。
これから始まる村の改善を思うと、メリウスの心は沸き立った。
あれをして、これをして、人が多いと思いつくことも多く、頭の中はそのことで一杯になる。
「メリウス様楽しそうですね」
「ああ、明日からは忙しくなるぞー」
「がんばろー」
3人は自分たちで持ち込んだテント、と言っても正直この村の建物よりもしっかりとした作りだ、テントに寝具を広げて明日へと想いを馳せる。
村長は3人をもてなそうとしたが、冬への貴重な食料や材料を使うのは良くないとメリウスは固辞した。
お礼は労働力で。ニッコリと笑ったメリウスの目だけは笑っていなかった。
簡単な鞣し作業しかしていないが、たくさんの革は村人を暖かく包み込むだろう。
翌朝、日の出から3人は作業に移る。
空になった荷車を引っ張って一気に山を降りていく。
その際もこの登山ルートに作る道のコース取りや、その製造方法などにも頭を働かせていく。
当たり前だが登るより下るほうが早く着く。
あっという間に麓まで到達する。
メリウスを導く道まで一旦戻り、家の方向に少し進めば森が現れる。
「よし、俺とカインが木材や石材、プリテは食材とかの採取をよろしく」
「はい!」
「はーい、いってきまーす」
「気をつけてな」
優れた聴覚、視覚、危機察知能力、全てがメリウスよりも上、身体能力も普通の人間に比べればかなり優れている二人。メリウスもプリテにならば安心して採取を任せられる。
プリテはふわふわして、ただのかわいい少女のように頼りなさげに見えてしまうが、野草などの知識や狩りの方法、解体のやり方など完璧に理解している。実務能力も非常に高い。
仮面の刀を手に入れたお陰で伐採の速度はおかしいくらいに上がる。
メリウスが刀を横薙ぎに振れば、大木だろうが一刀両断だ。
適当な長さにカットして荷車へと乗せていく。
ある程度溜まったら村まで運んでいく。
「これはなかなかいい鍛錬になるな!」
木材を満載した荷車を山の上部に運ぶのは二人でも結構重労働となるが、規格外の二人にとっては朝飯前だ。
一度の輸送で信じられない量の資材を運んでくるメリウス達に、村人は唖然としている。
木の表面の皮を剥がす作業などを指導して、メリウス達は再び森へと戻る。
森に戻るとプリテが山ほどの採取結果を持って待っている。
それを荷車に乗せてもう一度山登りだ。
「まずは、輸送面から考えないとな……」
作業の辛さよりも、工夫によってそれを改善していく方法を考えている方が、メリウスは楽しかった。
村のある山はそれほど傾斜のきつい山ではない。
動物に追われたと言っても、きちんと対策すれば対応できる。
そのためには早期に発見する必要がある。
たぶん過去の人々は高台に住居を移すことで、動物の発見を容易にしたんだと考えられた。
そのための高台なのでそこまで険しい山岳地帯である必要は無かったのだろう。
もし、村が険しい山の頂上などだったら、流石にメリウスももっと高度の低いところに村を移すことを考えただろう。
「……村を移すか……」
実際はあんまりなんにも考えていなかった。
ふと思いついた事を口に出す。
「私もその方がいいのではないかと思いました。
あの村の人々が、今後こういった往復をするのが可能でしょうか?」
カインにもダメ出しをされてしまった。
そうだ、村に住むのはメリウスではないのだ。
あの村人が住みやすい村を作る必要があるのだ。
「ちょっと村に行ったら相談してみよう」
今更そんなことを言い出すメリウス。
ぼくのかんがえたさいきょうのむら。そのアイデアを考えるのに夢中になって、色々と大事なことがスっぽ抜けてしまっていた。
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