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チート仮面と世界を救え、元英雄の異世界サバイバル救国記

穴の空いた靴下

第十九話 村作り

「さて、外に残しておいた雪をどんどんここに運ぶぞー」

「はこぶぞー」

「はい……」

 丘の上の雪を除去しなかったのも理由がある。
 この地下室に運び込んで、壁面に圧縮してどんどん運び込む。
 メリウスは板を使って壁に圧縮していく。
 そしてある程度の雪の壁ができたら地面に穴を開けて板で雪板を支える。
 外周全て行えば、雪による冷蔵室の完成だ。
 地下に作り、極限まで圧縮して貯めた雪はある程度の時期までひんやりと部屋を冷やしてくれる。
 雪が溶けた後も地下であるこの場所は外よりも涼しく保ってくれるだろう。
 また雪が降る時期になったら岩と板の間に雪を入れていけばいい。
 溶けた雪の排泄する溝を刀で切りだして、そのまま岩から土へとつなげることで自然と周囲の土の部分に吸収させる排水機構も作った。
 あまりにも仮面の刀が万能すぎる。

「ひんやりしてきましたね……」

「うん、ここはこれでとを作ってしばらく頬っておけばお終いだ」

「すごーいすごーい!」

 冷蔵室から外に出ると、メリウスがいかに広い範囲を外壁で囲ったかはっきりとわかる。
 あの短時間で……カインも呆れ気味だ。

「いいぞ、なんか村の姿が想像できた!
 さ、ばりばりやるぞー!」

「いったん村へ戻りましょう。食事も取らないと」

 気がつけば太陽が高く昇っていた。
 いったん村へと戻り食事休憩をとり、すぐに森へと向かい材料を集める。
 その材料でひとまず村の集会所となる建物の建築から開始していく。

「これを作れば村の人達を呼んでこれるからね。
 ま、その前に門を作らんとな」

 正門部分がドカンと開いている。

「あんまり重いと村の人達が大変だから……車輪を使うか……」

「外だとあまり重いとだめになりそうですが……」

「アレ使おう」

 メリウスが指をさすのは岩を切り出した石材の山。
 地面部分、車輪、門の底部を石で作り出す。
 普通はそんな加工技術はないので不可能だが、メリウスには刀がある。
 木の扉部分への接合はほぞ接合させる。
 それなりの厚みの有る板を幾重にも重ねることで一枚板よりも強度を出す。
 それぞれの板もほぞで接合し、まるで最初から一枚の板だったかのようにピタリと合わさる。
 見事に切り出された石材同士もまるで元の形に戻ろうとするようにピタリと合わさり、地面部分は一枚の石の板でも引いたように美しい作りとなる。

「これは美しいな」

「水面のようですね」

「きれ~い」

 扉は門部分を横にスライドさせる。
 閉じる場合は閂を差し込めば固定される作りにした。
 石で作った車輪は門の重さを十二分に支え、村人でも開け閉めは可能な作りに出来た。

「……今日はここまでか……」

「少しづつですね」

 とりあえず道具は壁の内側に収めて門を閉めて、門を乗り越えて村へと帰るのでありました。
 道具を使えば人なら簡単に入れる。
 今の、敵は人間ではない、動物だ。
 荷車にはプリテが手に入れた食材が乗っている。
 今日は建設作業を手伝っていたので控えめだが、大きな鳥が横たわっている。

「これ、旨いんだよね……」

「ふふん、褒めてーメリウスー」

「よくやった!」

「……いいなぁ……」

「カインはずっと俺を手伝ってくれてるじゃないか、助かってるよ」

 仲良く3人で村へと帰還する。
 村では各家で煙が立って夕餉の支度がされていた。

「おかえりなさいませメリウス様、遅くまで大変だったでしょう」

 メリウスたちの姿を見つけて村の人が近寄ってくる。
 それからメリウスは村人たちの細工した家具なんかの直しをしたりして村での時間を過ごした。
 村の人達はせめて食事ぐらいと勧めてきてくれるが、最初に話した通り3人でその日に用意して食べることにしているとお断りさせてもらっていた。
 余剰の食料はどんどん倉庫へとしまっていく。
 今日は鳥を一匹まるまる使った煮込み料理だった。
 プリテとカインが手慣れた手つきで準備をして調理していく。
 メリウスが各家で家具の調整などを終えてテントに戻ると見事な鍋料理が完成している。

「これはうまそうだ!」

 鳥の表面の脂がスープに溶け込んでスープは少し白くなっている。
 そこにキノコや野草などがたっぷりはいって旨味が混ざり合っている。
 もちろん鶏肉が全ての味わいをまとめ上げている。
 丁寧に火を入れたせいで鶏肉自体はホロホロにほどけるように外れていく。

「頂きます」

 柔らかく、骨からスルリと外れる鶏肉が、口に入れるとギュムっと一転して力強い噛みごたえ、そして広がる旨味。
 スープを飲めば様々な旨味が複雑に絡み合い高いところに昇華している。

「うっま……」

 3人は言葉も短く黙々と鳥を平らげていく。
 腹の底から暖まる、この時期の最高の料理だ。
 最後の締めは芋を練ったものを小さく団子状にして茹でる。
 スープの旨味が染み込んで粘りのある芋がモッチモチに変化する。
 それをスープと一緒にいただけば腹持ちも最高の締めの一品となる。

「ごちそうさまでした」

 三人は手を合わせて今日の食事に感謝する。
 芸術的に美しく骨だけになった残り物、しかし、この骨さえ無駄にはしない。
 翌日まで乾かしたら粉にしていずれ始める農業の肥料として使う予定だ。

「そう言えば、下では水はどうするんですか?」

「ああ、それは水路を作って村に引き込むつもりだ。
 ここの水は綺麗で美味しいからね。下でも利用しよう」

 水源はもう少し山を登った先にある。
 そこから木製の水路を作り村へと引き込む予定だ。
 水場で使う木材にはある樹液を利用する、薄く塗ってきちんと乾かすと水を弾き木を守ってくれる。
 この一手間を加えることで木材であっても長く利用できるはずだ。
 さらに雨からのダメージを防ぐために上部には石材による傘を付ける予定だ。
 刀による加工技術はオーバーテクノロジーのようにメリウス達に素晴らしい物を作成させてくれるのだった。


 

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