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チート仮面と世界を救え、元英雄の異世界サバイバル救国記

穴の空いた靴下

第二十二話 祭り

 新たな年の始まり、村の生誕祭。
 この村には四季があった。
 春、夏、秋、冬。
 それぞれ90日、それを3つに分けて30日を一月とされている。
 1~3月の90日が春。
 4~6月の90日が夏。
 7~9月の90日が秋。
 10月~12月の90日が冬だ。
 今日は1月1日、新しい村が新たなスタートを切った記念すべき日、生誕祭だ。

「メリウス様本年も村はつつがなく発展いたしました。
 コレも一重にメリウス様のおかげ、村民一同を代表して御礼申し上げます」

 村長であるコルネスがお礼を述べている。
 そして、コルネスにとっての悲願がここで発表される。
 コルネスは日々の生活ですっかりたくましくなり、今では年の頃は30ぐらいかと思うほどにツヤッツヤになっている。なんでも子もたくさん増えたとか……

「長年、私はメリウス様にお願いしていたことが本日ついに実現します。
 今、この時よりこの村の長はメリウス様になっていただきます!」

 万雷の拍手が会場を包み込む。
 コルネス自身も自らも含めすべての大恩あるメリウスを差し置いて村長でいることに、どうにも納得が出来ずに説得を続けていた。
 3年の時間をかけて、メリウスをようやく説き伏せたのであった。

「新村長にかんぱーい!! メリウス様ばんざーい!!」

 一斉にグラスが掲げられる。
 入っているのは果実から作られた果実酒だ。
 ここのところなかなかいい酒も作られてきている。
 子どもたちは果実を絞ったフレッシュジュースだ。
 以前は中央の集会所内で行っていた祭りも食料庫前の広場に大量のテーブルと椅子を並べて行わないといけなくなっている。
 わずか3年でだ。

「……一年前から、人が増えすぎじゃないかな?」

 村を発展させることばっかりに夢中であまり周りが見えなくなるメリウスでも、少し疑問を持ってしまう。
 しかし、次から次へと酌にくる村人の相手をしているとそんな疑問はどこかに飛んでいってしまう。
 基本的に酒にはほとんど酔わないメリウスだったが、めでたい席の雰囲気に飲まれたのか、珍しく上機嫌になっていく。

「メリウスー、一年間ごくろうさまー」

「おおプリテ、プリテもお疲れ様」

 プリテが二つのグラスに並々と酒をついで現れる。
 プリテもザルだ。しかし、今日はメリウスと同じように少し顔を赤らめて機嫌もアゲアゲになっている。

「かんぱーーい!」

「乾杯……ん? なんか変わった風味の酒だね」

「特別製」

「甘みの中に少し苦味と複雑な風味が……悪くない、かも……」

 果実酒が多いのでちょっと大人な味の酒は悪くなかった。

「さぁさぁ、もっとのんでーメリウスー」

 プリテが妙に身体をくっつけながらお酌をしてくる。
 最近ではすっかりと女性の顔つきと体つきになっているプリテ、メリウスは家族のようなものだ思っているが、その美しい姿、仕草に時折ドギマギとしてしまうことも増えている。
 カインも美青年に成長しており、年頃の娘に引っ張りだこで飲まされている。
 もちろんメリウスも大人気だが、プリテがニッコリと隣りにいると娘達は近づけない。

「あ、ああ……」

 メリウスはドギマギしながら酌を受ける。
 今日のプリテの姿は光沢のある身体のラインを強調させるような服装で、さらに胸元が大きく開いていて煽動的だ。この3年でプリテは成長している。
 口調は相変わらずおっとりとしているし、顔つきもいつもニコニコしているが、ふと見つめる目は魔性の魅力を放つ美人だ。
 スタイルは日々の生活で鍛え上げられたしまった身体、そしてなぜか締まらずに大きく実った胸の果実とハリのある腰からのライン。女性としての魅力をコレでもかと詰め込んだ、そんなスタイルをしている。
 村の若い衆も鼻の下をデレッデレに伸ばして、目でおってしまっている。
 玉砕した男の数は両手両足でも足りない。
 私よりも強い男じゃないと……
 そう言われたら引くしか無い。
 この村で彼女に勝てる人物はただ二人。
 兄弟であるカイン、そしてメリウスだけだ。

「ぷ、プリテその服、よく似合っているんだが……その……なんというか……」

「わーい、メリウスが褒めてくれた~」

 腕をメリウスの首に回してぴったりと寄り添うプリテ、3年前ならなんとも思わなかったが、いろいろなものがメリウスに密着することによって、それをなんの下心もなく受け止めるのが難しい。
 メリウスも男なのでそういった感情がないこともないが、日々の村の拡張作業に追われる事によって、あまり意識をしなくても住むようになっていた。
 それらが、この祭り、正確にはプリテの策略によって一気に吹き出しかけている。

「ちょ、ちょっとプリテは、離れようか、一旦離れよう……」

「メリウス……プリテのこと嫌いになったの? 昔はよくこうしてた……」

「い、いや、嫌いじゃない。もちろん好きだ。
 大事な家族だし、しかし、その、なんというか、プリテも大人になったからな、そろそろ男女でこういうことを気安くするのは、色々と問題が……」

「なんでー? プリテはメリウスが好き。大好き。
 メリウスもプリテが好き。
 お互いが好きな男女はこういうことしてもいい」

「いやいやいや、そんな知識どこで……」

 首に手を回しながらプリテはさらに顔を近づけて耳元で囁く。

「プリテはメリウスと家族、でも、他人。
 だから家族になりたい。だめ?」

 ささやくようなプリテの声がメリウスの脳を蕩けさせ、惚けさせる。
 身体が熱くなっている。抱きついて来ているプリテの身体も熱を発している。
 特にメリウスの身体で一部の部分が凄まじい熱量を発している。
 明らかに体調に変調をきたしている。

「な、なんかおかしいぞ……あのお酒か?」

「あれは特製。粘り芋の粉末、女泣めなかし草で炙った樽、不眠の実、群れ猪の睾丸、その他いろいろなものをフレーバーした……
 メリウスがニブチンのバカチンだから既成事実作る」

 メリウスたちのいる場所のテントのカーテンをプリテに閉められながら、メリウスは思った。
 ハメられた(意味深)、全て精力剤や催淫剤じゃないか……
 柔らかな感覚で口を塞がれながら、最後に残ったメリウスの理性が音もなく崩れ去った……

 もちろん祭りの会場でも特製の酒は楽しまれている。
 この年の祭りは、たくさんの夫婦が誕生し、たくさんの子を成すことになった。



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