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チート仮面と世界を救え、元英雄の異世界サバイバル救国記

穴の空いた靴下

第三十二話 ノタ村へ

「ホルスすごいね!」

「凄いパワーですね!」

 二人は手放しでホルスを褒めている。
 まぁそうだ、これは強力な戦力になってくれる。

「ホルス、その武器は君にぴったりだったね」

 気を取り直してメリウスは笑顔でその戦果を称える。
 カインはゴブリンから魔石を回収してくれている。
 ホルスに魔石を見せて、あんまり派手に弾き飛ばすと探すのが大変ですよなんて軽口を交わしている。
 赤目が塩になることはホルスにとって驚きだったようだ。

「これだけの塩があれば村がどれほど助かるか……」

「多少は積んできたけど、土産が増えたね」

「魔石もてにはいったー」

「それにしても、プリテ、弓の腕が上がったな」

「ふふん。メリウスと契りを交わして強くなった!」

「あ、メリウス様、自分もその恩恵を頂いておりますので今まで以上に頑張ります!」

「……不思議な世界だなぁ……」

 あまり深く考えるのはよそうとメリウスは諦める。

「しかし、あれほど恐ろしかった赤目も、今は小さく見えますね」

「うん、まぁ、ホルスはでっかくなったからな!」

「ははは、そういう意味ではなくて、以前は逆らえないような恐怖感を覚えたんですが……
 今では足がが竦むようなことはない……戦う勇気が湧いてきます」

「それはねー、メリウスが勇者だからだよ!」

「なるほど!」

「なるほどじゃないよ、俺はそんな立派なものじゃない。
 ただこの世界で楽しく生きていきたいんだ。
 そのためにも皆に幸せに生きていって欲しい」

「ふむ、メリウスは確かに勇者ですね」

「ほ、ほら! 進もう! 日暮れまでになるべく進みたい!」

 荷車を担いでメリウスはさくさくと先に進んでしまう。

「照れてるんですよ」「照れてる照れてるー」

 三人は笑い合いながらその後をついて行く。


 幸運なことに赤目とはかち合うことはなく草原を朱色の太陽が照らし出す。

「うーん、森でもあればよかったけど、仕方がない。ココらへんで野営の準備をしよう」

「はい」「はーい」

 三人は慣れた手つきで準備を進めていく。

「ホルスは座っていてくれ、すぐに終わる」

 移動用の道具も色々と研究して進化している。
 道からある程度の範囲を生い茂った草を刈り込み、囲うように篝火を焚いていく。
 地面に突き刺す鉄製の道具に薪をくべたら魔石の出番だ。
 プリテが簡単に薪に火をくべていく。
 もう、魔法としかホルスには見えない。
 目を話した隙に大きなテントも作られている。
 折りたたみ性でしかも広げるだけでしっかりとした居住空間を作り出せる。
 釜も荷車から下ろせば二口ふたくちコンロの完成だ。

「……驚きすぎて、どうにかなりそうです」

 手早く調理を開始しているカインもそうでしょうそうでしょうと言った感じで笑顔を浮かべている。

 こうして、あっという間に野営地が完成する。
 ホルスにとって、この野営地でさえ自分の村よりも立派なのだから開いた口が塞がらない。
 肉と野菜のたっぷりはいったスープにフカフカのパン(芋製)、それにオムレツまで出されて彼はいろんなことを諦めた。

「常識を捨てないと頭がついていきませんね」

「そうそう、食事が美味しい。それだけで十分ですよ」

「うん。おいしー」

「カイン、また料理の腕を上げたな!」

「ありがとうございます。いつまでもプリテの後塵を拝しているわけにいきませんからね兄として」

 料理の腕前はプリテ>カイン>>メリウスだ。
 もともと料理の知識はメリウスの物だったが、今ではすっかり逆転されている。
 メリウスの料理も決して美味しくないわけではなく、むしろ美味だが、二人が凄いのだ。
 いくつもの新しい料理を作り出している。
 カインも地味に負けず嫌いなので二人が切磋琢磨して村での食生活を豊かにしてくれている。

「明日は早朝から出立して、できれば村につけるといいんだけど……」

「今日もかなり進みましたし、体感的には夕方にはつけるような気がします」

「メリウス様周囲に鳴子を設置してまいりました」

「落とし穴もいっぱい作ったよー」

「ご苦労」

「見張りとか交代で置かないのですか?」

「まぁ幾つかの罠と、カインとプリテの聴力を超えて接近できるやつはいないよ」

「ふふん、そうなのだよホルス安心して寝るがよーい」

 包み込むような温かさの寝床、テントの中で自分が今外にいることを忘れ、ぐっすりと眠ることが出来るのでありました。


 まだ日も低く薄暗いうちから全員活動し始める。
 簡単な朝食を取り、テキパキと野営設備を回収していく。
 あっという間に昨夜過ごした設備は消え、刈り取られた広場に戻る。

「道標は残しておこう」

 長い頑丈な棒を突き立てて帰り道の道標とする。
 実はこの棒少し細工がしてあって、棒自体が見えなくても、いくつか開けられた穴に風が通ることによって繊細な音を出す。
 カインとプリテの手にかかれば、目視で確認するよりも遠くからその棒の存在を把握することが可能だ。
 この棒は定期的に道沿いに突き刺しながらここまで来ている。

 出立の準備が終わると太陽が燦々と輝いている。
 春の空気が気持ちのいい早朝、4人はノタ村へと出発する。

 山を超え、森を発見したのでプリテがさらっと採取したり、なんだかんだありましたが、赤目ともそうぐうすることもなく無事にノタ村が視界に入ってくる。
 思ったよりも早く村へと到着が出来た。
 まだ日は夕焼けには染まっていない。

「メリウス様、村に赤目が向かっています!!」

「えーっと、数も多い! 20はいる! 村は……あれじゃだめ、すぐに入られる」

「全速力で赤目に突っ込むぞ!!」

 順風満帆な旅の終わりとはしてくれそうになかった。




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