チート仮面と世界を救え、元英雄の異世界サバイバル救国記
第三十四話 ノタ村改造 初級
「ホルス、このあたりに森はあるのか?」
「ああ、あっちに……少し木の頭が見えてるだろ?」
「ああ、見える見える。そしたらこっちの車を借りてくぞー」
「はい」
「ちょっと行ってくる。ホルス、本気で走るから車に乗ってろ」
「え? ああ、うん」
「ちゃんと捕まってろよ、行くぞ!」
メリウスが地面をグッと踏み込むと一陣の風とともに荷車と二人の姿が消える。
はるか先に悲鳴を残しながら進んでいる。
それからとんでもない速度で森へと到着すると、まるで小枝でも拾うように数本の丸太を荷車に乗せる。
「さすがに帰りはスピードは抑えるけど、念のために上に乗って押さえててくれ」
「ほ、ほんとにスピード出さないよね」
「ああ、大丈夫大丈夫、さぁ行くぞ」
「信じてるよぉぉぉおおおおおおおおおおおおおうそつきぃぃぃぃぃ!!!!」
メリウスは村に戻るとサクサクと丸太を加工していく。
それをホルスと一緒にザクザクと台地に突き立てていく。
仮設とは言え、今までとは比べ物にもならないほど立派な外壁が作られていく。
完成した外壁の内部に篝火をセットしていく。
炎の明るさが村を照らし出していく、その温かさと明るさは村の人々の心に豊かな物をもたらしてくれる。
もちろん回りにいる村人は目の前で繰り広げられる光景を口を開けてみているしか無い。
カインとプリテは手慣れた手つきで料理を作っているが、その調理器具も材料も見たこともない立派なものだ。可動式の釜でさえ普段使っている物とは比べ物にならない。
肉の脂が火にあぶられて沸き立つ香りは唾液を大量に分泌させる。
様々な香辛料が作り出す甘美な香りは腹の怪物を大騒ぎさせる。
余った木材を利用して大テーブルを作って村人みんなの食事が次々と並べられていく。
立食式のスタイルだが、村人にとっては関係なかった。
用意された食器を喜々として受取り、子どもたちは喜びのあまり踊りだしていた。
皆が争うように料理を取り合い、その美味に打ちのめされていくのでありました。
その幸せそうな姿をメリウスは心の底から幸せと感じさせるのであった。
食後久しぶりの満腹という幸せに包まれて村人たちは眠りについた。
メリウス達が持ってきた毛布も物理的に温かく皆の身体を包み込んだ。
ジャジとホルス、それにメリウス達3人で話し合いの場を持っている。
「いや、これほどの食事は生まれてはじめて食べました。
村人たちも皆喜んでおりました。本当にありがとうございます」
「お気になさらないでください」
「みんなおいしそ~に食べてくれればメリウスは嬉しいんだよー」
「ホルスからお伺いしておりますが、メリウス殿はこんなにもお力添えをしていただいた上に、赤目から我らを守ってくれると……」
「正確にはちょっと違う。俺はこの村だけじゃない、全ての世界を赤目から救いたいんだ」
「……なるほど。ホルスの言うとおりだ。
メリウス様は勇者なのですね」
「や、止めてください」
「長く生きては見るものです……知っていますか?
赤目たちは『果て』の側にはあまり現れないのです。
奴らも『果て』の怖さはよくわかっているらしいのです。
もちろんそんなところを住まいとしていれば実りは少ない、それでも赤目に襲われて暮らすよりは生き残る可能性はあがる。我らはそうして生きてきたのです」
「そして、急に『果て』がなくなってしまったと……」
「いえ、どちらかと言えば『果て』の有無は関係ないのです。
赤目たちが現れる数は明らかに増えてきていました。
いずれは我らも……奴らの餌食になっていたのです……」
「ジャジさん……それでもこれからは変えてみせますよ……」
「ありがとう。この老骨、命尽きるその時まで協力させてもらいます」
「……ジャジさん、失礼ですがおいくつなのですか?」
「もう40を超えております……」
「正直、もっとお年を召されているのかと思いました……」
「まぁ、この地はあまり豊かとはいえませんからね……
一番近い森に向かうのも赤目に怯えながら必死にならんといけません。
こういう生活を続けていくのは、疲れるのかもしれません」
「……尽力致します」
こうしてしばらくはノタ村に滞在して村の改善に務めることになる。
メリウス達が現れて、この村の改革が起きる事は間違いなかったが、最初の変化は驚くほど疾く訪れることになる。
いつも通りメリウスたちは自分たちのテントで眠りにつき朝を迎える。
「め、メリウス。村のみんなが!」
早朝ホルスによって3人は起こされる。
「どうしたホルス、何かあったのか?」
「む、村のみんなが……ムキムキになった!!」
「はぁ!?」
村人たちは、変わっていた。
ホルスほどではないが、昨日までの貧相な肉体から、丑人が誇る逞しい肉体へとわずか一晩で、生まれ変わっていた。
「メリウス様! このジャジ、この力があればお手伝いも捗りますぞ!」
つやつやとしてポージングを決める。中年の男性、昨日までは老人にしか見えなかったジャジもマッチョな40代のおっさんへと変貌していた。
女性陣の変化はさらに凄かった。
「……でかい」
説明不要である。
「あいだだだだだだだだだ!」
鼻の下が意図せず伸び切っていたメリウスは足の骨を砕くほどにプリテに踏み抜かれるのでありました。
「ああ、あっちに……少し木の頭が見えてるだろ?」
「ああ、見える見える。そしたらこっちの車を借りてくぞー」
「はい」
「ちょっと行ってくる。ホルス、本気で走るから車に乗ってろ」
「え? ああ、うん」
「ちゃんと捕まってろよ、行くぞ!」
メリウスが地面をグッと踏み込むと一陣の風とともに荷車と二人の姿が消える。
はるか先に悲鳴を残しながら進んでいる。
それからとんでもない速度で森へと到着すると、まるで小枝でも拾うように数本の丸太を荷車に乗せる。
「さすがに帰りはスピードは抑えるけど、念のために上に乗って押さえててくれ」
「ほ、ほんとにスピード出さないよね」
「ああ、大丈夫大丈夫、さぁ行くぞ」
「信じてるよぉぉぉおおおおおおおおおおおおおうそつきぃぃぃぃぃ!!!!」
メリウスは村に戻るとサクサクと丸太を加工していく。
それをホルスと一緒にザクザクと台地に突き立てていく。
仮設とは言え、今までとは比べ物にもならないほど立派な外壁が作られていく。
完成した外壁の内部に篝火をセットしていく。
炎の明るさが村を照らし出していく、その温かさと明るさは村の人々の心に豊かな物をもたらしてくれる。
もちろん回りにいる村人は目の前で繰り広げられる光景を口を開けてみているしか無い。
カインとプリテは手慣れた手つきで料理を作っているが、その調理器具も材料も見たこともない立派なものだ。可動式の釜でさえ普段使っている物とは比べ物にならない。
肉の脂が火にあぶられて沸き立つ香りは唾液を大量に分泌させる。
様々な香辛料が作り出す甘美な香りは腹の怪物を大騒ぎさせる。
余った木材を利用して大テーブルを作って村人みんなの食事が次々と並べられていく。
立食式のスタイルだが、村人にとっては関係なかった。
用意された食器を喜々として受取り、子どもたちは喜びのあまり踊りだしていた。
皆が争うように料理を取り合い、その美味に打ちのめされていくのでありました。
その幸せそうな姿をメリウスは心の底から幸せと感じさせるのであった。
食後久しぶりの満腹という幸せに包まれて村人たちは眠りについた。
メリウス達が持ってきた毛布も物理的に温かく皆の身体を包み込んだ。
ジャジとホルス、それにメリウス達3人で話し合いの場を持っている。
「いや、これほどの食事は生まれてはじめて食べました。
村人たちも皆喜んでおりました。本当にありがとうございます」
「お気になさらないでください」
「みんなおいしそ~に食べてくれればメリウスは嬉しいんだよー」
「ホルスからお伺いしておりますが、メリウス殿はこんなにもお力添えをしていただいた上に、赤目から我らを守ってくれると……」
「正確にはちょっと違う。俺はこの村だけじゃない、全ての世界を赤目から救いたいんだ」
「……なるほど。ホルスの言うとおりだ。
メリウス様は勇者なのですね」
「や、止めてください」
「長く生きては見るものです……知っていますか?
赤目たちは『果て』の側にはあまり現れないのです。
奴らも『果て』の怖さはよくわかっているらしいのです。
もちろんそんなところを住まいとしていれば実りは少ない、それでも赤目に襲われて暮らすよりは生き残る可能性はあがる。我らはそうして生きてきたのです」
「そして、急に『果て』がなくなってしまったと……」
「いえ、どちらかと言えば『果て』の有無は関係ないのです。
赤目たちが現れる数は明らかに増えてきていました。
いずれは我らも……奴らの餌食になっていたのです……」
「ジャジさん……それでもこれからは変えてみせますよ……」
「ありがとう。この老骨、命尽きるその時まで協力させてもらいます」
「……ジャジさん、失礼ですがおいくつなのですか?」
「もう40を超えております……」
「正直、もっとお年を召されているのかと思いました……」
「まぁ、この地はあまり豊かとはいえませんからね……
一番近い森に向かうのも赤目に怯えながら必死にならんといけません。
こういう生活を続けていくのは、疲れるのかもしれません」
「……尽力致します」
こうしてしばらくはノタ村に滞在して村の改善に務めることになる。
メリウス達が現れて、この村の改革が起きる事は間違いなかったが、最初の変化は驚くほど疾く訪れることになる。
いつも通りメリウスたちは自分たちのテントで眠りにつき朝を迎える。
「め、メリウス。村のみんなが!」
早朝ホルスによって3人は起こされる。
「どうしたホルス、何かあったのか?」
「む、村のみんなが……ムキムキになった!!」
「はぁ!?」
村人たちは、変わっていた。
ホルスほどではないが、昨日までの貧相な肉体から、丑人が誇る逞しい肉体へとわずか一晩で、生まれ変わっていた。
「メリウス様! このジャジ、この力があればお手伝いも捗りますぞ!」
つやつやとしてポージングを決める。中年の男性、昨日までは老人にしか見えなかったジャジもマッチョな40代のおっさんへと変貌していた。
女性陣の変化はさらに凄かった。
「……でかい」
説明不要である。
「あいだだだだだだだだだ!」
鼻の下が意図せず伸び切っていたメリウスは足の骨を砕くほどにプリテに踏み抜かれるのでありました。
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