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チート仮面と世界を救え、元英雄の異世界サバイバル救国記

穴の空いた靴下

第四十四話 帰還

「メリウスおはよー、わー頑張ったねー」

「ぷ、プリテ……これは、その……」

「プリテ様、おはようございます」

「シャロン、ご苦労様。これでシャロンも家族だね」

「今後とも宜しくお願いします」

「……二人は知ってたの?」

「だって巫女だもん、お互いにわかるよー」

「……まったくプリテは謎がおおすぎる。俺にも色々教えてくれると助かるのだが……」

「まー、いいじゃん。ねー?」

「ねー?」

 シャロンはプリテにつられて首をかしげる。
 なんにせよ、メリウスに新たな家族が増えた。


「メリウス様、この村を離れるのですか?」

「ああ、プリテが一度自分の村に戻ったほうがいいと言われてね」

「なるほどなるほど、確かにそれは心配ですね。
 長いことお手伝いいただいて配慮が欠けておりました……」

 深々と村長であるジャジが頭を下げてくる。

「いや、いいんだ、それはこちらが勝手に居座っただけのこと。
 それに、この村はもう大丈夫だ、ホルスが守ってくれる」

 高台に置かれた社で今日も御神像が村を見守ってくれている。

「メリウスー、準備できたー」

「ああ、それでは。シャロンは必ず大事にする。
 それに、すぐに戻ってくるさ!」

「よろしくお願い致します……」

 こうして、ノタ村でのほぼ一年の時間を過ごしたメリウス達は一度自分たちの村へと戻る事になる。
 ノタ村の村人たちから熱烈な送迎を受け、荷車は爆走していく。

「なんか、前より体が動くような気がするなぁ」

 荷車を引きながら、メリウスは自らの肉体の変化を感じていた。

「私も、あの戦いの疲れが抜けてから、体のキレがましたような気がします」

「プリテもー」「シャロンもです」

 シャロンはあの板からドジをすることがなくなった。
 なくなってはいないが、かなり落ち着いた。
 ホルスから受け継いだ意思をしっかりと受け止めているように視えた。

「おっ、視えてきたぞ!」

「……なんというか、でかいですね……」

 自分たちの記憶からすると村まではもっと距離があったはずだったが、よく整備された街道に門が作られメリウスが作った外壁が左右に展開している。
 メリウス達の村の手によるものなのは疑いようもなかった。

「旅人か? もう大丈夫だ、この先は安全だ」

 若い男が門を守っていた。メリウス達を見初めると優しい笑顔で近づいてくる。

「どこから来たのだ? 腹は減ってないか? ……荷車……?」

「うむ、我らは隣の丑人の村から戻ったものだ」

「も、もしや……上長! 上長!!」

「どうした、大騒ぎして……お、おおおおおお!!
 おかえりなさいませメリウス様!!」

 門の中からでてきた年上の男性にはメリウスも覚えがあった。

「ああ、長らく留守にしてすまない。あちらの村も安全になったので一度戻ってきた」

「ええ、ええ。皆も喜びます。サット、帰還の鐘を鳴らせ! 高らかにな!」

「はいな!」

 サットと呼ばれた若い男は、スルスルっと器用に門を登り、門の上にある鐘を元気よく鳴らし始めた。

 カンカンカーン、カンカンカーン、カンカンカーン

 その音が響き渡ると、遠くから同じような音が聞こえてくる。

「村長が旅立ってから、拠点が増えまして、今ではこれと狼煙で連絡を取っているんです。
 色々と変わりました。ぜひ報告を受けてください」

 まず大きな変化は、荷車の利用法だった。

「今ではこいつらが俺達の相棒です」

「ヌガー」

 のんびりとした鳴き声をあげる
 茶色の大きなネズミだ。
 体調は1m程、スリスリとよく人に慣れている。

「力も強く、3匹もいれば大型の荷車を引けます」

 洋服のような道具を着込んで器用に荷車を引いていく。

「果物が好きでとても大らかで、こういうものを引いたりする仕事も嫌がらずにやってくれます」

「可愛いな……」

 プリテとシャロンもすっかり虜になっていた。

「メリウス、欲しい」

「だめ」

「えっ?」

「そんな顔しても駄目」

「そんな……」

「カインまで……」

 目の間を撫でてやると気持ちよさそうに蕩けていく。
 可愛いことは間違いないが、自分たちの過酷な旅に付き合わせるわけには行かないとメリウスは諦めた。

 ビッグラットに荷車を引かせてのんびりと街の中を走るメリウス達。
 畑が広がり、家も増え、大規模な治水工事も行われているようだった。
 人の数も増えており、子どもたちが楽しそうに走り回っている。
 平和そのものだ。

「メリウス様ー!!」

 道の先からコルネスが手を振りながら走ってくる。

「おお! コルネス久しぶりだ。すまないな村長になってすぐに任せっきりで」

「いえいえ、私はメリウス様の手順をそのまま続けるだけですから」

「コルネスさんご無沙汰してます」

「コルネスー元気ー?」

「はじめましてシャロンと申します」

「ほほう、メリウス様も隅に置けませんな……」

「コルネス、シャロンは家族」

「ふむ、プリテ様がよければ良いのです。シャロン様、我らは誰でも大歓迎ですぞ!」

 久しぶりの我が家だ。
 巨大な建造物にでも変わっていたらどうしようかと思ったが、村を出た時のままの姿で残されていた。

「メリウス様、後ほどで構いませんので少々相談がございます」

「ああ、荷を置いたらすぐに行く。久々にこの村の食事が食べたい。
 あとで食堂でいいかな?」

「分かりました。準備させておきます。
 それでは、のちほど」

 久々の我が家で旅の疲れを流す。
 やはり、帰ってきたと感じるのはこの家だなとメリウス達は思うのでありました。





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