チート仮面と世界を救え、元英雄の異世界サバイバル救国記
第四十八話 ファン
「だと思った」
起床して外に出たメリウスの第一声だ。
昨夜の大宴会を終えてきちんと家に帰った者も居たがその場で朝まで飲み明かす御仁も多く居た。
外に出たメリウス達にごっ機嫌で声かけてきた老人たちは皆人化していた。
しかも、寅人の時には腰も曲がりいかにもご老体と言った風貌の皆さんは、男は身体に気を使っている50代前半ぐらいの大人の魅力溢れるナイスミドル。
女性は年齢を感じさせない妖面な魅力を醸し出す美魔女に変身していた。
「メリウス殿、これは皆さんの影響なのですかね?」
メリウスが振り返ると見事な金髪と黒髪をショートボブでなびかせ、極限までの鍛錬で引き締まった肉体、年齢不詳ではあるものの、顔に刻まれた経験してきた年月はしっかりと感じられる。
フー大老が立っていた。
「たぶん、そうだと思います。私と接した人々は人化して大抵身体能力は向上します」
「村の皆もおかしいほど元気になっているし、儂も……こんなに充実しているのは最盛期以上じゃな……」
軽く演舞をこなしているが、凄まじい技のキレだ。
初動や過程がほとんど視認出来ない。
空を切るとはまさにこのことだ。
「これは、礼などでは尽くせぬな……どうしたものか……」
「いえいえ、フー大老。礼はいりません。これは、俺の生きがいみたいなものですから」
「ふむ、ならお言葉に甘えるが、この力、メリウス殿にお貸しするのが道理であろう。
この老骨、粉骨砕身メリウス殿のお力になる」
手を組み深々と礼をするフーの姿は凛として美しく、メリウスは見惚れてしまった。
「我々はフー大老に手ほどきを受けたい。貴方ほどの達人の武技の欠片でも身につけたい」
「フー大老ぜひ私にも」
いつの間にかカインが隣に立ってフーに頭を下げていた。
「もちろんじゃ、この老いぼれの持つ全てをお主達に継いでもらう!」
「……フー大老……これは、一体どうなってるのですか?」
「おお、ファンかお主も人……の……」
フーが背後からかけられた声に振り返り、その人物の姿を見ると絶句している。
そこに立っていたのは、正直、女神でも立っているのかと言うほどの見目麗しい女性だった。
「め、目が覚めたらこんな姿に……なにが起きたのですかフー大老……」
少し涙目になりながらフーを見つめるファン。
なんというか女性というか、可愛らしい女の子で守ってあげたくなる。
なぜかフーは固まっている。
「ファンさんおはようございます。すみません、多分私のせいです」
「メリウス様、そうなのですか? ヒトはやはりおとぎ話のようなお力をお持ちなのですね」
ニコリと笑うその笑顔は、朴念仁メリウスでさえもドギマギとしてしまう程の可愛らしさだった。
「フー大老?」
首を傾げフー大老に近づくファン、気がつけばフーは耳まで真っ赤になって、そのまま倒れてしまった。
「フー大老!!」
それから村は大騒ぎになる。
フーの家にとりあえず寝かせて看病は村の人に任せる。
メリウス達は村の復興に尽力する。
「フー大老大丈夫かね?」
「大丈夫、ファンに見とれただけ」
「ああ、確かにファンがあんなきれいな女性だったとはねー」
「でもファンは巫女じゃない。本能的に惹かれないでしょ?」
「……ああ、確かに。なんか綺麗だなって……芸術品を見るような気持ち?」
「同じ女性でもあんなに綺麗な人は見とれちゃいますよねー」
「シャロンが言うと……嫌味に聞こえる」
「なんで? ひどいよプリテ!」
「さぁさぁおしゃべりもそこまでにして、今日中に村の周りの木々を伐採してさっぱりさせます。
これはメリウス様とシャロンで、プリテは食材確保と周囲の情報収集、私は裏山の水場から水路を作ります。皆さん大丈夫ですか?」
「ああ、任せとけ」
「メリウス様と頑張ります!」
「地図の書き方は習った。完璧!」
「それでは、日が南中したら村に戻ってきてくださいお昼ごはんにしましょう」
「はーーい」
そして皆がそれぞれの役目をこなしていく。
メリウスは新武器の斧で信じられない速度で伐採をしていく。
シャロンも丑人の力を生かして鋼鉄の斧を振り回して木を斬っていく。
プリテはその優れた視覚嗅覚で森の豊富な食料の確保、周囲の重要そうなポイントを地図へと記していく。
カインは竹と土の魔石を利用して今まで山道を一生懸命上がって確保していた水を村へと導く水路を作っていく。
村人たちにも道具を与えて、主に切り倒した木材の処理をお願いしている。
寅人も豊富ではないが魔力を持っている。
そして、不思議な事に、皆が基本的な闘気を扱えるようになっていた。
手に持つ道具を闘気で包むような絶技は使えないが、肉体強化は魔力によるものより効率がいい。
大きな木材の運搬、加工に遺憾なくその威力が発揮されていく。
「老朽化の激しい住居は新築を用意して転居してもらいましょうか……」
「そうだなぁ、愛着もある人もいるだろうし相談に乗ってあげて」
「戻ったよメリウス、地図班と結構広く調べられた。
やっぱり怪しいとこあったよ」
「やっぱりかぁ、どれどれ、……結構遠いな……赤目の状況は?」
「あまり群れないみたいですねここの赤目は、そのかわり単独で戦闘力が高い動物型が多いですね」
「シャロン、村の人の戦闘力はどう?」
「強いですよ。たぶん寅人は強力な戦闘力を持つ種族なんでしょうね。
欠点は弓が下手ですね、狩猟は走って獲物捕らえちゃうからいいんですけどね」
「よーし、だいたいいいな。順調だ。
他に報告はないかな?」
「そうだメリウス」
「プリテなにかある?」
「フー大老とファンに子供が出来たよ」
「おー、めでたいな。祝いの品を送ってあげよう」
「わかったー」
「……え? なんだって?」
「ん?」
「今サラッと流したけど……」
「ああ、フー大老とファンとの間に子供が出来たよ。5つ子だよ」
「な、なんだとーーーー!!!!!」
起床して外に出たメリウスの第一声だ。
昨夜の大宴会を終えてきちんと家に帰った者も居たがその場で朝まで飲み明かす御仁も多く居た。
外に出たメリウス達にごっ機嫌で声かけてきた老人たちは皆人化していた。
しかも、寅人の時には腰も曲がりいかにもご老体と言った風貌の皆さんは、男は身体に気を使っている50代前半ぐらいの大人の魅力溢れるナイスミドル。
女性は年齢を感じさせない妖面な魅力を醸し出す美魔女に変身していた。
「メリウス殿、これは皆さんの影響なのですかね?」
メリウスが振り返ると見事な金髪と黒髪をショートボブでなびかせ、極限までの鍛錬で引き締まった肉体、年齢不詳ではあるものの、顔に刻まれた経験してきた年月はしっかりと感じられる。
フー大老が立っていた。
「たぶん、そうだと思います。私と接した人々は人化して大抵身体能力は向上します」
「村の皆もおかしいほど元気になっているし、儂も……こんなに充実しているのは最盛期以上じゃな……」
軽く演舞をこなしているが、凄まじい技のキレだ。
初動や過程がほとんど視認出来ない。
空を切るとはまさにこのことだ。
「これは、礼などでは尽くせぬな……どうしたものか……」
「いえいえ、フー大老。礼はいりません。これは、俺の生きがいみたいなものですから」
「ふむ、ならお言葉に甘えるが、この力、メリウス殿にお貸しするのが道理であろう。
この老骨、粉骨砕身メリウス殿のお力になる」
手を組み深々と礼をするフーの姿は凛として美しく、メリウスは見惚れてしまった。
「我々はフー大老に手ほどきを受けたい。貴方ほどの達人の武技の欠片でも身につけたい」
「フー大老ぜひ私にも」
いつの間にかカインが隣に立ってフーに頭を下げていた。
「もちろんじゃ、この老いぼれの持つ全てをお主達に継いでもらう!」
「……フー大老……これは、一体どうなってるのですか?」
「おお、ファンかお主も人……の……」
フーが背後からかけられた声に振り返り、その人物の姿を見ると絶句している。
そこに立っていたのは、正直、女神でも立っているのかと言うほどの見目麗しい女性だった。
「め、目が覚めたらこんな姿に……なにが起きたのですかフー大老……」
少し涙目になりながらフーを見つめるファン。
なんというか女性というか、可愛らしい女の子で守ってあげたくなる。
なぜかフーは固まっている。
「ファンさんおはようございます。すみません、多分私のせいです」
「メリウス様、そうなのですか? ヒトはやはりおとぎ話のようなお力をお持ちなのですね」
ニコリと笑うその笑顔は、朴念仁メリウスでさえもドギマギとしてしまう程の可愛らしさだった。
「フー大老?」
首を傾げフー大老に近づくファン、気がつけばフーは耳まで真っ赤になって、そのまま倒れてしまった。
「フー大老!!」
それから村は大騒ぎになる。
フーの家にとりあえず寝かせて看病は村の人に任せる。
メリウス達は村の復興に尽力する。
「フー大老大丈夫かね?」
「大丈夫、ファンに見とれただけ」
「ああ、確かにファンがあんなきれいな女性だったとはねー」
「でもファンは巫女じゃない。本能的に惹かれないでしょ?」
「……ああ、確かに。なんか綺麗だなって……芸術品を見るような気持ち?」
「同じ女性でもあんなに綺麗な人は見とれちゃいますよねー」
「シャロンが言うと……嫌味に聞こえる」
「なんで? ひどいよプリテ!」
「さぁさぁおしゃべりもそこまでにして、今日中に村の周りの木々を伐採してさっぱりさせます。
これはメリウス様とシャロンで、プリテは食材確保と周囲の情報収集、私は裏山の水場から水路を作ります。皆さん大丈夫ですか?」
「ああ、任せとけ」
「メリウス様と頑張ります!」
「地図の書き方は習った。完璧!」
「それでは、日が南中したら村に戻ってきてくださいお昼ごはんにしましょう」
「はーーい」
そして皆がそれぞれの役目をこなしていく。
メリウスは新武器の斧で信じられない速度で伐採をしていく。
シャロンも丑人の力を生かして鋼鉄の斧を振り回して木を斬っていく。
プリテはその優れた視覚嗅覚で森の豊富な食料の確保、周囲の重要そうなポイントを地図へと記していく。
カインは竹と土の魔石を利用して今まで山道を一生懸命上がって確保していた水を村へと導く水路を作っていく。
村人たちにも道具を与えて、主に切り倒した木材の処理をお願いしている。
寅人も豊富ではないが魔力を持っている。
そして、不思議な事に、皆が基本的な闘気を扱えるようになっていた。
手に持つ道具を闘気で包むような絶技は使えないが、肉体強化は魔力によるものより効率がいい。
大きな木材の運搬、加工に遺憾なくその威力が発揮されていく。
「老朽化の激しい住居は新築を用意して転居してもらいましょうか……」
「そうだなぁ、愛着もある人もいるだろうし相談に乗ってあげて」
「戻ったよメリウス、地図班と結構広く調べられた。
やっぱり怪しいとこあったよ」
「やっぱりかぁ、どれどれ、……結構遠いな……赤目の状況は?」
「あまり群れないみたいですねここの赤目は、そのかわり単独で戦闘力が高い動物型が多いですね」
「シャロン、村の人の戦闘力はどう?」
「強いですよ。たぶん寅人は強力な戦闘力を持つ種族なんでしょうね。
欠点は弓が下手ですね、狩猟は走って獲物捕らえちゃうからいいんですけどね」
「よーし、だいたいいいな。順調だ。
他に報告はないかな?」
「そうだメリウス」
「プリテなにかある?」
「フー大老とファンに子供が出来たよ」
「おー、めでたいな。祝いの品を送ってあげよう」
「わかったー」
「……え? なんだって?」
「ん?」
「今サラッと流したけど……」
「ああ、フー大老とファンとの間に子供が出来たよ。5つ子だよ」
「な、なんだとーーーー!!!!!」
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