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チート仮面と世界を救え、元英雄の異世界サバイバル救国記

穴の空いた靴下

第五十七話 分散と集約

「せいや! とりあえず村から引き剥がすぞ!」

 メリウスは大斧を振り回し敵を威嚇する。
 寅の縁によって生まれた武器は鉤爪だった。
 あまり多数相手では有用ではないが、近接格闘戦闘は非常に強力になった。

「空の敵終わったみたいです!」

 カインがプリテからの報告を伝えてくれる。
 プリテとシャロンはメリウス達と反対方向に村の周囲の敵を掃討していく。

「ふむふむ、なかなか数は多いが、練度が低いのぉ……それじゃぁ儂らには勝てん」

 フーは襲いかかる敵の胸板を無手にて貫き、魔石を抜き取っている。
 敵は自分が何をされたかわからないまま塩になっていく。

「凄いな……あれは真似出来ない……」

 メリウス達の登場で戦局は一変する。
 安全第一で防御に徹していた村人たちも積極的に攻撃に参加する。
 半時ほどすれば、敵は壊滅されていた。

「魔石をしっかりと手に入れるんだ。変化すると赤目が群がってくるぞ!
 塩はできる限りで構わないが回収するように!」

 カインが戦後処理を行ってくれている。
 その後、被害状況が報告され、その修復やけが人の治療などが行われる。

「重軽傷者が数名、死傷者は0です。外壁の修理もそこまで時をかけずに終わりそうです」

「よかった……しかし、地図上では果てだった方向から赤目が来てるようだな……」

「そうですね……」

「メリウス! カイン! 村から急使じゃ! 丑の国でも敵が来おった!」

「すぐに戻ろう! 皆も無理するなよ!」

 各国の御神像から洗礼を受けた御神像の分体は、国を隔てた移動はできないが、その国の最初の村へ片道切符で移動できる。
 メリウス達はすぐにイチニア村へと移動してそこからノタ村へと移動する。

「メリウス様! 詳しい説明は移動しながら!」

 すでに準備はされていたので早鼠に跨り移動する。
 日が少し傾き始めており、急ぐ必要がある。
 丑の国はまだ次の開拓村の準備が開始されたばかりで、まともな防備はない、接敵したのは開拓予定地から離れた果ての側。周囲探索の任に当たっていた者たちが襲われた。
 もちろんすぐに撤退したが、まっすぐに村へと呼び込むわけにも行かないため、上手く撒きながらも引きつけながら、その最中一人が村へと急使を走らせたということだった。

「開拓地はどれくらいの人数がいる?」

「20名ほどです! 先行して10名ほどが皆を逃がすために走っています」

「ふむ、今回のほうが事態が逼迫ひっぱくしてそうじゃの……」

「メリウス様、これは寅の国も……」

「ああ、たぶんな……しばらく忙しくなりそうだ!」

 フーの悪い予感は的中してしまっていた。
 開拓地ではすでに激しい戦闘が開始されていた。
 少ない防御陣を上手く利用して必死に堪えていたが、重傷者も出てしまっているようだった。

「プリテ! カインは重傷者の治療! シャロンは空からの敵に対応してそのまま村人を護ってくれ!
 フー!! 行くぞ!!」

 メリウスはすぐに敵集団へと飛び込んでいく。
 フーもそれに続く。

「ぬおりゃーーーー!!」

 とにかく一分一秒でも早く敵を引き剥がす。
 ある程度の被弾を覚悟に大斧を振り回す。
 フーも『剄』で敵を巻き込みながら最速で敵を処分していく。

「メリウス!! 雑になるな! こういうときこそ冷静にだ!」

「ああ、フー。すまない!」

 暴走気味なメリウスをきちんと叱ってくれる人物が仲間になっている。
 これは非常に幸運なことだ。
 メリウスは冷静さを取り戻し、雑な立ち回りの結果、久々に手傷を負わされ痛む腕を、反省と自戒の教訓とする。

 それからは二人は冷静に、そして最速で敵の殲滅を行う。

「メリウス様、大丈夫です! 皆、命に別状はありません!」

 ようやく敵を殲滅し、カインの元へと駆けつけると嬉しい知らせが待っていた。

「メリウス、それでも早く村に戻って休ませたほうがいい」

「ああ。動けるものは村へ戻れ! けが人を運ぶ車もすぐに作る!」

「手伝います!」

「ああ、助かる!」

 すぐに簡易台車を作成して動けるものたちと鼠でけが人を運搬していく。

「俺達はすぐに村に戻るぞ、寅の国も心配だ!」

「わかりました!」

 寅の国はまだ最初のガイラー村以外に進出していなかったために、中継地点への侵攻が確認されて以降は、目立った集団的な行動は見られていなかった。
 メリアス達はイチニアの3カ国の真ん中に当たるノタの村に各村から代表者を呼んで今後の動きの対応についての会議を開いた。

「しかし、三カ国同時に襲撃を受けると儂らだけでは対応しきれんな……」

「しかし、あれだけの大群が押し寄せてくるな、新しい国も悠長にはしてられない……」

「一気に国境に砦を築くのはどうでしょう?」

「なるほど、各国から人を集めれば突貫で防衛設備だけでも作れれば……」

「まずは進入路を限定させんといかんから、それしかないじゃろうな」

「よし、具体的な方法を考えていこう!」

 各種材料は村で加工をして、一気に牛車で運び、一気に砦を作り上げる。
 人海戦術で3カ国から新たに現れた国との境に防衛砦を作り上げる。

「必要な機能は対地防衛と対空防衛ですね……」

「空から来る敵はあまり攻撃が激しくない。
 弓で威嚇しておけば結構平気」

「固定防衛なら大型の弓が形になってきたそうです」

「いつの間にか色々出来てるんだね……」

「鉱石の採掘も加工も丑の国が中心となってどんどん盛んになっていますからね」

「それにしても、もう少しゆっくりと寅の国で進めればよかったな……」

「そうですね、次からは国の体制をある程度整えてから御神像攻略へと向かうべきかもしれないですね」

「とにかく、方向性は決まったんじゃから、どんどん材料などの加工に取り掛かるべきじゃろ。
 すべての国に赤目共が蔓延してからじゃ動くこともままならん!」

 こうして国境砦化計画が動き出す。
 砦と言ってもそんなに立派なものはすぐには作れない。
 加工と運搬を考えると木製を主体とした物になる。
 木材は寅の国に豊富に存在しているので護衛を引き連れ村の周囲を一気に開拓していく。

「村もどんどん分けるのではなく、各国の首都になり得る村はまず大きくしよう」

 小さな村が散在するよりも、大都市が一つあったほうがいざという時に護りやすい。
 魔物たちに攻められることによって、改善点を見つけることが出来た。
 もちろん一極集中した人口管理は周囲の食料状態なども同時に発展させるため課題も大きい。
 要はメリットとデメリットのバランスだ。

 準備は着々と進められていく。






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