チート仮面と世界を救え、元英雄の異世界サバイバル救国記
第六十一話 メリウス、山道を往く
「これはまた、随分と雰囲気が違うのぉ……」
「山ですね……」
山間の道を牛車で走りながら周囲の様子を伺う、森に包まれた鬱蒼とした山もあれば、土くれだった切り立った山もあり、それらが無秩序に混在している。
さらに突然底の見えない深い谷が現れたり、自然の厳しさを感じる、そんな場所だった。
メリウス達は卯の国、ラビテ村への支援を開始して、すぐにもう一つの国に入った。
報告によれば寅の国側の封じ込めも順調だそうだ。
メリウス達は丑の国から侵入している。
飛行型赤目はたぶんこの国の生まれなんだろうと思わせる山岳地帯。
今のところ原住民とは出会えていない、幾度か赤目との戦闘はあったが、比較的穏やかな旅となっている。
「やっぱり最初に押し寄せた大群が赤目達の主力だった可能性が高いですね」
「カインの言う通り、アレほどの規模の赤目にはその後出会う気配がない……」
「それにしても皆さんお強いんですね!」「凄いです! 僕だったらすぐに逃げちゃいます!」
「二人がいるおかげで戦闘中に牛車に気を回さなくて良くて助かるよ」
「おまかせください!」「僕達が護ります!」
メリウスに褒められて二人は嬉しそうだ。
キラキラした目でメリウスを見つめている。
メリウスは苦笑いを浮かべながら二人の頭をなでてあげると、二人共うっとりとした表情を浮かべる。
最近はこれが3人の通常営業になっている。
3人を見るカインの目からは輝きが消え、シャロンはハァハァと興奮した目で観察をする。
最近のパーティはこんな感じになっている。
「妙に最近疲れる……」
「メリウスは真面目じゃからのぉ~」
「もっと肩の力を抜けばいいんだよ~メリウスは~」
「そ、そうなのかな……」
一番メリウスをいじって楽しんでいる二人からのありがたいお言葉だ。
真面目に一生懸命力を抜こうとしているメリウスを、二人は影でクックックと肩を揺らして楽しんでいる。
「それにしても、すごい迫力の国だな……
まだ先住民とは接触できてはいないが、この過酷な環境で力強く生きているのだから、余程の強者なのだろう……」
そびえ立つ山々に囲まれて歩いるとまるで山々に飲み込まれてしまったかのように感じてしまう。
裸の山だけではなく、緑に包まれた深い森を抱く山もある。
メリウスは高所の森のめぐみにも興味があった。
村を見つけてこの国も開発していくのであれば、高所でしか育てられない作物なども増やしたいという野望をいだいていた。
「メリウス様、鳥型来ました!」
「プリテ、シャロン頼む! 地上も注意するぞ」
やはり高所を抑えられているのは不利だった。
戦闘自体にはさほど苦労しないが、多くの場合に敵に先に発見されてしまい、甲高い鳴き声で近くにいる他の敵を呼び寄せられてしまう。
そのせいで、戦闘がダラダラと長くなりがちだった。
今回の戦闘も後一匹というところで地上から別の集団が乱入してきて、その対処中に鳥型が増えるというダラダラな展開になってしまった。
「やれやれ、ようやく終わったのぉ……」
「すみませんメリウス様! 牛車の車輪を破壊されてしまいました……」「すみません」
「いや、仕方ないよ、だらだらと戦闘が続いてしまったからどうしてもフォローしきれなかった。
牛達を守ってくれていたのは見ていたから……」
「メリウス様予備の車輪に交換しますのでしばらくお待ち下さい」
「だったら牛車と一緒に土の魔石で隠して少し休憩にしよう」
魔石による土の変形で塹壕のような物を作り、掘り下げた土でドーム状に覆えば簡易的な洞窟を作り出せる。もちろん普通の人たちだと魔力切れでぶっ倒れる。
アンとドワはカインほどではないけれども大きな魔力の素質を持っており、二人合わせるとカインを凌ぐ。その代わり闘気の才能は皆無だった。
持ち前の器用さで魔石の扱いはあっという間に覚えただけではなく、繊細な魔力のコントロールはメリウスやカインでも真似出来ないほどだった。
そかもお互いが苦手な属性を補完し合って魔力供給を行うので、二人揃っているとどんなことでも可能になる。
今回の陣形成も見事な手並みであっという間に作り上げてくれた。
「鳥たち遠くからギャーギャーいうだけでうーざいー……」
「すみませんメリウス様、私の弓がもっと上手ければ……」
はじめのうちは二人の弓でバタバタとやられていた飛行型の敵は、いつでも攻撃できる高さよりも距離を取ることで弓の攻撃を避けるようになってきていた。
その分攻撃頻度も下がるが、注意を払っておかないといけないためにかなり厄介になってきていた。
「プリテもシャロンもすごいと思うよ、ただ敵も頭を使ってきてるね……」
「儂の指弾もあそこまで距離を取られると……」
「課題が山積みだなぁ……」
洞窟の中で車輪の交換と休憩を取りながら今後の戦闘に頭を悩ませる。
飛べるということはやはり圧倒的に敵が不利になる。
「こっちも飛べればいいんですけどね……」
「風の魔石で……それはほんとに吹っ飛ぶだけだよなぁ……」
「魔石の技術はまだまだ可能性があると思います!」「思います!」
「そうだな、専門に研究する人が出てくればもっと発達すると思う。
そういったところに時間がかけられるようにまずは生活を安定させないとな……」
「メリウス! 誰かが近くで戦っているかも!」
休憩はプリテの報告で中断する。
どうやら、メリウス達以外の人物が何かと戦闘を行っているようだ。
「すぐに向かうぞ!」
車輪の交換は終わっていたが、念のためにアンとドワにゆっくりとついてきてもらい、メリウス、カイン、プリテ、シャロン、フーで現場へと急行する。
「山ですね……」
山間の道を牛車で走りながら周囲の様子を伺う、森に包まれた鬱蒼とした山もあれば、土くれだった切り立った山もあり、それらが無秩序に混在している。
さらに突然底の見えない深い谷が現れたり、自然の厳しさを感じる、そんな場所だった。
メリウス達は卯の国、ラビテ村への支援を開始して、すぐにもう一つの国に入った。
報告によれば寅の国側の封じ込めも順調だそうだ。
メリウス達は丑の国から侵入している。
飛行型赤目はたぶんこの国の生まれなんだろうと思わせる山岳地帯。
今のところ原住民とは出会えていない、幾度か赤目との戦闘はあったが、比較的穏やかな旅となっている。
「やっぱり最初に押し寄せた大群が赤目達の主力だった可能性が高いですね」
「カインの言う通り、アレほどの規模の赤目にはその後出会う気配がない……」
「それにしても皆さんお強いんですね!」「凄いです! 僕だったらすぐに逃げちゃいます!」
「二人がいるおかげで戦闘中に牛車に気を回さなくて良くて助かるよ」
「おまかせください!」「僕達が護ります!」
メリウスに褒められて二人は嬉しそうだ。
キラキラした目でメリウスを見つめている。
メリウスは苦笑いを浮かべながら二人の頭をなでてあげると、二人共うっとりとした表情を浮かべる。
最近はこれが3人の通常営業になっている。
3人を見るカインの目からは輝きが消え、シャロンはハァハァと興奮した目で観察をする。
最近のパーティはこんな感じになっている。
「妙に最近疲れる……」
「メリウスは真面目じゃからのぉ~」
「もっと肩の力を抜けばいいんだよ~メリウスは~」
「そ、そうなのかな……」
一番メリウスをいじって楽しんでいる二人からのありがたいお言葉だ。
真面目に一生懸命力を抜こうとしているメリウスを、二人は影でクックックと肩を揺らして楽しんでいる。
「それにしても、すごい迫力の国だな……
まだ先住民とは接触できてはいないが、この過酷な環境で力強く生きているのだから、余程の強者なのだろう……」
そびえ立つ山々に囲まれて歩いるとまるで山々に飲み込まれてしまったかのように感じてしまう。
裸の山だけではなく、緑に包まれた深い森を抱く山もある。
メリウスは高所の森のめぐみにも興味があった。
村を見つけてこの国も開発していくのであれば、高所でしか育てられない作物なども増やしたいという野望をいだいていた。
「メリウス様、鳥型来ました!」
「プリテ、シャロン頼む! 地上も注意するぞ」
やはり高所を抑えられているのは不利だった。
戦闘自体にはさほど苦労しないが、多くの場合に敵に先に発見されてしまい、甲高い鳴き声で近くにいる他の敵を呼び寄せられてしまう。
そのせいで、戦闘がダラダラと長くなりがちだった。
今回の戦闘も後一匹というところで地上から別の集団が乱入してきて、その対処中に鳥型が増えるというダラダラな展開になってしまった。
「やれやれ、ようやく終わったのぉ……」
「すみませんメリウス様! 牛車の車輪を破壊されてしまいました……」「すみません」
「いや、仕方ないよ、だらだらと戦闘が続いてしまったからどうしてもフォローしきれなかった。
牛達を守ってくれていたのは見ていたから……」
「メリウス様予備の車輪に交換しますのでしばらくお待ち下さい」
「だったら牛車と一緒に土の魔石で隠して少し休憩にしよう」
魔石による土の変形で塹壕のような物を作り、掘り下げた土でドーム状に覆えば簡易的な洞窟を作り出せる。もちろん普通の人たちだと魔力切れでぶっ倒れる。
アンとドワはカインほどではないけれども大きな魔力の素質を持っており、二人合わせるとカインを凌ぐ。その代わり闘気の才能は皆無だった。
持ち前の器用さで魔石の扱いはあっという間に覚えただけではなく、繊細な魔力のコントロールはメリウスやカインでも真似出来ないほどだった。
そかもお互いが苦手な属性を補完し合って魔力供給を行うので、二人揃っているとどんなことでも可能になる。
今回の陣形成も見事な手並みであっという間に作り上げてくれた。
「鳥たち遠くからギャーギャーいうだけでうーざいー……」
「すみませんメリウス様、私の弓がもっと上手ければ……」
はじめのうちは二人の弓でバタバタとやられていた飛行型の敵は、いつでも攻撃できる高さよりも距離を取ることで弓の攻撃を避けるようになってきていた。
その分攻撃頻度も下がるが、注意を払っておかないといけないためにかなり厄介になってきていた。
「プリテもシャロンもすごいと思うよ、ただ敵も頭を使ってきてるね……」
「儂の指弾もあそこまで距離を取られると……」
「課題が山積みだなぁ……」
洞窟の中で車輪の交換と休憩を取りながら今後の戦闘に頭を悩ませる。
飛べるということはやはり圧倒的に敵が不利になる。
「こっちも飛べればいいんですけどね……」
「風の魔石で……それはほんとに吹っ飛ぶだけだよなぁ……」
「魔石の技術はまだまだ可能性があると思います!」「思います!」
「そうだな、専門に研究する人が出てくればもっと発達すると思う。
そういったところに時間がかけられるようにまずは生活を安定させないとな……」
「メリウス! 誰かが近くで戦っているかも!」
休憩はプリテの報告で中断する。
どうやら、メリウス達以外の人物が何かと戦闘を行っているようだ。
「すぐに向かうぞ!」
車輪の交換は終わっていたが、念のためにアンとドワにゆっくりとついてきてもらい、メリウス、カイン、プリテ、シャロン、フーで現場へと急行する。
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