ハガルの雨
深緋と秋
 ひゅっと風が吹く
 落ち葉がカラカラ音を立てる
 小さな手で必死にジャングルジムにしがみついた
 風が髪の毛を弄んで目の前を邪魔するが、両手は冷たい鉄の棒で塞がれて離せない
 初めて一番上まで登ったんだ、なぜなら君がいたから
 あの塀をこえられる
 そう言った誇らしげな君の笑顔
 私は嘘だってわかったけど、すごいねってまた笑顔
 こえてみせて
 そういった意地悪な私
 はにかんで、また今度って誤魔化した君
 初めて一番上まで登ったんだ、なぜなら君がいたから
 秋風のせいかな
 頬を赤くして、大きく息を吸った
 ぎゅっと握った鉄の棒
 ずっと離したくない
 塀がもっと高ければいいのに
 そうすればまたいつか
 あの塀をこえられる
 そう言ってはにかんでくれるのかな
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