ハガルの雨
柑子と音
 薄く霞んだ完璧な空に黒い影が三つ
 ゆっくり弧を描いて飛んでゆく
 小さく揺れる風にぎこちない音が四つ
 ゆっくり渦を巻いて消えてゆく
 綺麗な形の雲は夕日を完璧に仕立て上げ
 黒い影も夕日と完璧に重なり合う
 ぎこちない音は風に儚く通り抜け
 揺れる風も音と混ざり合うように完璧に重なり合う
 完璧な空はどこか寂しい
 美しくはない夜景のように
 なにか一つかけたとき
 それはぎこちなく完璧に揺れる音と風のごとく
 その空はぎこちなく輝き始めるのだろう
 うろ覚えの音も
 風に染みついて離れないが
 完璧になった音は音楽となり
 それもまた完璧でどこか寂しい
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