ハガルの雨
錆鼠と傷
 確かにそこに痛みはあって
 傷もあって
 でもそれは傷のじゃない
 どこか違う見えない痛みだった
 きっと中の方にあると思う
 どこにあるの?
 聞かれても答えられないくらいずっと深いとこに埋まってると思う
 いつかお母さんにイタイノイタイノトンデイケしてもらったことあったね
 お母さん
 もうそんなんじゃこれは飛んでいかないよ?
 もっと切り裂くくらいの勢いで
 もっと火傷するくらいの熱さで
 私の傷に触れてよ
 大丈夫だよ
 あなたはいつもそう言う
 そうだね
 傷は癒えたよ
 雪の降る夜が明ける
 枕もとのプレゼント
 子供たちは無邪気に箱を解体する
 きれいに包装された箱をビリビリに破り捨てて
 ほら、見習ってよ
 そのくらいの勢いで私をこじ開けて
 そのくらいの勢いで痛みの正体を知ろうとして
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