ハガルの雨
蘇芳と梅
 人はいつだって理由を探す
 生きる理由
 死んでゆく理由
 裏切られた理由
 夢を見る理由
 名付けられた理由
 どれも意味がある
 みんなそう思ってる
 みんなそう信じている
 ねえ、あの鳥はどこに行くの?
 なんで飛んでいくの?
 むくんだ短い指で指されたその鳥は白い 
 鳥はなぜ飛ぶ?
 そこに意思はあるのか
 飛ぶのは、巣に戻るため 安全な巣に戻るため
 生きるために飛んでいる
 生きるためという意思があるから飛んでいる
 では、なぜ生きる?
 そこに意思はあるのか
 生きるのは、そこに在るため この世界に在るため
 自分自身の存在確認のために生きている
 でも、存在を与えられた側の私たちには存在するという意思はない
 物事の最終の行き場所である、生きる には理由なんて存在しない
 では、なぜ人は理由を探さずにはいられないのだろうか
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