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ハガルの雨

Huyu.

琥珀と梅


 人は厳しい環境に置かれた時に一番輝ける
 人間として持つ理性も
 生き物として持つ本能も
 一つの個体として持つ存在も
 全てが愛おしく輝き始める

 ぬるま湯に浸かっている時ほど、死んだ目をしている時はないのだ
 
 梅の木
 雪の下でじっと春を待ち続ける
 ごつごつした大きな体にそぐわない 小さくて柔らかなつぼみをつけて
 永遠に続くようにも思われる その厳しい寒さに耐えて

 ついに暖かな日差しが振り注いだ時
 梅は満面の笑みで青に向かって咲き
 そして死んでゆく


 私はこんなにも強く生きられるだろうか
 そしてこんなにも美しく死ぬことができるだろうか

 ふと触れた春風のひとひらに
 ため息を漏らす

 

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