零からの逆転

Mr

引きこもりゲーマーの終了

「うぇ!?死ぬ死ぬ!!リザリザ!!早くリザ!!」
「…うるさいなぁ…、はい…」
「お、サンキュ」
そこには昼間だと言うのにカーテンも締め切り、部屋を照らすのはゲームのディスプレイのみという薄暗い部屋でゲームをする二人の姿があった。
「妹よ、逆にウザくない兄がいるか?」
「どこかにはいる…」
二人は兄妹だった。身長は兄が180cm、妹が120cm程。
ちなみに両親は病死した。
兄の名は零(ぜろ)、18歳、コミュ障、童貞、ゲーム廃人、ネット廃人、引きこもり、対人恐怖症、大群恐怖症

妹の名は百(もも)、13歳、コミュ障、ゲーム廃人、ネット廃人、人間不信(兄除く)、対人恐怖症、大群恐怖症、不登校

………これでもしっかりとしたこの物語の主人公達である
……そう信じたい
……………さて、突然だが、皆さんは『都市伝説』を
ご存知だろうか?
都市伝説…それはまさに無数とするのに相応しい程の数があり、その中ではもちろん『デマ』、つまりは『嘘』
が混ざっている。
しかし、そんな中でもやはり『真実』はある。
これはある一つの『都市伝説』に巻き込まれた
兄妹の物語。


二人はいつものようにゲームを終えて眠りにつく、
部屋は移動するのもめんどくさいという理由で一緒に寝ている。この時兄は…少なからず思った。
『こんな自分たちにとって平和な日々が続きますように』と神に祈り、睡眠という暗闇に落ちた


「……ちゃん、……いちゃん、………お兄ちゃん!」
もう聞きなれた妹の声が聞こえた。瞼を挟んでも明るいのが分かる。
…………ん?明るい?
「お兄…、あ痛ッ」
急に起き上がった俺と百のでこが勢いよくぶつかった。
そこには全く見慣れない…、否、見慣れるはずがないであろう光景が目の前に広がっていた。
なぜなら目の前は崖、しかも遠くにはRPGには出て当たり前のドラゴンが飛んでいた。
…………夢か?
だがすぐ横にはいつも通りの黒いパーカーを羽織った妹が未だにでこを抑えている。
「お兄ちゃん……痛い……」
ここはどこと言う訳でもなくまず最初に「痛い」と言ってのけた俺の妹はいつからこの現状に気づいたのだろうか
「妹よ、これは夢か…?」
答えが分かっていても試しに問う
「じゃあ、確かめてみる?」
そうだな、確かめ…、ん?確かめる?
「……どうやって」
「夢かどうかは昔から痛覚で確かめる」
もちろん俺が殴られたりするのだろう、俺の妹が
『ほら、殴ってみて』なんて言うはずは万に一つも…
否、虚数の彼方にしかないような確率だ。
「俺なんかしました?」
「……別に…」
最初の間はなんだよ、そうは思ったが埒が明かないので
仕方なく目を強く瞑った。その直後腹に強い衝撃が走る
……ことは無かった。なんで?恐る恐る目を開けると
そこには不思議そうな顔をした妹がいた。
「お兄ちゃん、どうだった?」
…………は?
「え、何、殴ったの?」
「うん、お腹の辺り」
………oh…
仕方なく俺は硬いざらついた地面に強く手を擦りつけた。明確な痛覚と同時に少量の血が出る。
俺は妹と目を見合わせ同時にため息をつく。
俺たちは息を合わせたわけでもないのに同時に同じことを言った
「「………詰んだな…」」
そう呟いて、妹も一緒に意識が深い闇に沈んだ。



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