冒険者は最強職ですよ?
どこまでも強く、いつまでも強く 4
「さぁ、ラン、それに皆さんも、ここから出ましょう!」
ジンは、先頭を進み、敵がいないかを警戒する。もし、仮に敵が来ても、ジンが何とかするだろう。皆はそう信頼を寄せていた。
階段を上がって行くと、行き止まり。これは、ジンが自らでトラップを踏んでしまったがために閉じたものだ。
「こんなもの、こーだぁ!!」
ボカンと一発床を殴り壊し、元いた部屋へと戻ってくる。
「ふぅ。誰だよ、これ閉めたやつ」
「ジンなんだね。わかってるわよ」
ジョークも程々に、助けた人達を外へ逃がすべく、ジンは誘導する。来た道は印で分かっているので、迷うこと無く進んでこれた。
「よし、この先の扉を出れば!」
皆の顔が笑顔になり、絶望の淵から希望の光が見えたと思った瞬間、再び絶望が訪れるとは、誰も思わなかった。
か
ジンが扉まで後数メートルとなった時、突然部屋の右側の壁が、何者かによって破壊され、破片が助けた人達の方へ飛んでいく。
「危ねぇ!」
ジンは咄嗟に"龍神化"発動し、破片から助けた人達を守る。それと同時に、ジンは扉から出ることを促し、ランを先頭にさせ、避難させる。
去り際に、ランがジンを見つめるが、ジンの目にはランは映らない。ただ、ランは確かに見た。目の前の脅威に、ジンが身震いしているのを。
何も言わず、ただ心の中でジンを応援し、すぐさま扉から出る。念のため、被害を減らすべく、城からは離れた場所で待機する。
避難したことを確認し、壊れた壁の穴から、こちらへ向かってくる敵に、ジンは恐怖する。
やべぇなぁ……この状態で、それについ数時間前戦った奴よりも強い殺気って……桁違いな力も感じるし、これ俺勝てんの?
『弱気にならないで! 貴方ならきっと大丈夫よ!』
いやいや、声も出せないほどに恐怖してる俺ですよぉ? どーやって勝てと言うんですか!?
一歩、また一歩と近づいてくるその敵が、ようやく姿を表す。その姿を目にした瞬間、ジンはさらに恐怖を覚える。
三メートルはあろう身長に、強靭な肉体。ゴツゴツした輪郭。細い目からは信じられないほどの殺気。少し長い銀髪の髪をなびかせた、いかにもやばそうな相手が、目の前に現れたのだ。
『貴様か? 我ら魔王軍の幹部達をぶっ殺してくれたぶっ壊れ野郎は』
「ぶっ壊れ野郎は酷くねぇか? てめぇの見た目の方がよっぽどぶっ壊れてらぁ」
『口は達者だな。だが体は正直だ。お前、俺にビビって体が震えてんぞ?』
「ばーか。武者震いだ」
『ほう? 貴様、名は?』
「俺はジン。お前は?」
『貴様に名乗る名などないが、あの二人をやったご褒美に教えてやる。我は魔王様の守護者、カルだ。本来なら、魔王様の前で戦いたかったが、命令でいち早く殺せと言われてな。だからぶっ殺しに来た』
「あらあら、魔王様直々の命令か……そんなに切羽詰まってんのか? 俺にビビってんのか?」
『そんなわけあるか。我は魔王様の守護者。魔王様の次に強い我に、早くぶっ殺して静かにさせろとの命令が出たのだ。貴様など魔王様の相手ではない』
「なら、お前を余裕でぶっ殺せれば、魔王とも戦えちゃうって事だよなぁ?」
『もう喋るな、腹立たしいやつは今すぐぶっ殺してやる。大人しく死ね』
「口はいいからかかってこいよ?」
『…………なら』
ジンは、いつ来ても動けるように、カルを瞬きもせず見ていた。が、目の前から音もなく消える。
「……えっ」
声が漏れた瞬間、背中に強烈な痛みが走り、ジンは飛ばされ壁に激突する。
何が起きたのかなんて、考える余地もなく、カルの猛攻は続く。
飛ばされジンは、すぐに体勢を立て直すが、前を向いた瞬間に、次は横から攻撃をされ、またぶっ飛ばされる。
再び立ち上がり、また攻撃される。更にさらに立ち上がり、攻撃される。このやり取りが、いくつも続いた。
全身には、とてつもない激痛が、縦横無尽に駆け巡る。
はぁ……俺、このままだと死ぬなぁ……ふざけんなよ。なんだよコイツ、強すぎんだろ……仮にもユニークスキル使ってんだぜ? なのに勝てねぇとか、それ、もう、チートじゃん……。
『なんだ、本当に口だけだったな』
その声が聞こえた次の瞬間、ボロボロの姿で、壁に寄りかかっていたジンの顔面に、強烈な正拳突きがお見舞される。
あぁ……死んだな。これ……。
ジンの意識は朦朧とし、目に映るのは、背中を向けて歩いていくカル。頭の中で、誰かが叫ぶ声が聞こえる。
女神様か……俺、やられちゃいましたよ……。もう、動けません。だから、少しだけ……休み……ます。
そこで、ジンの意識は途切れる。
ジンは、先頭を進み、敵がいないかを警戒する。もし、仮に敵が来ても、ジンが何とかするだろう。皆はそう信頼を寄せていた。
階段を上がって行くと、行き止まり。これは、ジンが自らでトラップを踏んでしまったがために閉じたものだ。
「こんなもの、こーだぁ!!」
ボカンと一発床を殴り壊し、元いた部屋へと戻ってくる。
「ふぅ。誰だよ、これ閉めたやつ」
「ジンなんだね。わかってるわよ」
ジョークも程々に、助けた人達を外へ逃がすべく、ジンは誘導する。来た道は印で分かっているので、迷うこと無く進んでこれた。
「よし、この先の扉を出れば!」
皆の顔が笑顔になり、絶望の淵から希望の光が見えたと思った瞬間、再び絶望が訪れるとは、誰も思わなかった。
か
ジンが扉まで後数メートルとなった時、突然部屋の右側の壁が、何者かによって破壊され、破片が助けた人達の方へ飛んでいく。
「危ねぇ!」
ジンは咄嗟に"龍神化"発動し、破片から助けた人達を守る。それと同時に、ジンは扉から出ることを促し、ランを先頭にさせ、避難させる。
去り際に、ランがジンを見つめるが、ジンの目にはランは映らない。ただ、ランは確かに見た。目の前の脅威に、ジンが身震いしているのを。
何も言わず、ただ心の中でジンを応援し、すぐさま扉から出る。念のため、被害を減らすべく、城からは離れた場所で待機する。
避難したことを確認し、壊れた壁の穴から、こちらへ向かってくる敵に、ジンは恐怖する。
やべぇなぁ……この状態で、それについ数時間前戦った奴よりも強い殺気って……桁違いな力も感じるし、これ俺勝てんの?
『弱気にならないで! 貴方ならきっと大丈夫よ!』
いやいや、声も出せないほどに恐怖してる俺ですよぉ? どーやって勝てと言うんですか!?
一歩、また一歩と近づいてくるその敵が、ようやく姿を表す。その姿を目にした瞬間、ジンはさらに恐怖を覚える。
三メートルはあろう身長に、強靭な肉体。ゴツゴツした輪郭。細い目からは信じられないほどの殺気。少し長い銀髪の髪をなびかせた、いかにもやばそうな相手が、目の前に現れたのだ。
『貴様か? 我ら魔王軍の幹部達をぶっ殺してくれたぶっ壊れ野郎は』
「ぶっ壊れ野郎は酷くねぇか? てめぇの見た目の方がよっぽどぶっ壊れてらぁ」
『口は達者だな。だが体は正直だ。お前、俺にビビって体が震えてんぞ?』
「ばーか。武者震いだ」
『ほう? 貴様、名は?』
「俺はジン。お前は?」
『貴様に名乗る名などないが、あの二人をやったご褒美に教えてやる。我は魔王様の守護者、カルだ。本来なら、魔王様の前で戦いたかったが、命令でいち早く殺せと言われてな。だからぶっ殺しに来た』
「あらあら、魔王様直々の命令か……そんなに切羽詰まってんのか? 俺にビビってんのか?」
『そんなわけあるか。我は魔王様の守護者。魔王様の次に強い我に、早くぶっ殺して静かにさせろとの命令が出たのだ。貴様など魔王様の相手ではない』
「なら、お前を余裕でぶっ殺せれば、魔王とも戦えちゃうって事だよなぁ?」
『もう喋るな、腹立たしいやつは今すぐぶっ殺してやる。大人しく死ね』
「口はいいからかかってこいよ?」
『…………なら』
ジンは、いつ来ても動けるように、カルを瞬きもせず見ていた。が、目の前から音もなく消える。
「……えっ」
声が漏れた瞬間、背中に強烈な痛みが走り、ジンは飛ばされ壁に激突する。
何が起きたのかなんて、考える余地もなく、カルの猛攻は続く。
飛ばされジンは、すぐに体勢を立て直すが、前を向いた瞬間に、次は横から攻撃をされ、またぶっ飛ばされる。
再び立ち上がり、また攻撃される。更にさらに立ち上がり、攻撃される。このやり取りが、いくつも続いた。
全身には、とてつもない激痛が、縦横無尽に駆け巡る。
はぁ……俺、このままだと死ぬなぁ……ふざけんなよ。なんだよコイツ、強すぎんだろ……仮にもユニークスキル使ってんだぜ? なのに勝てねぇとか、それ、もう、チートじゃん……。
『なんだ、本当に口だけだったな』
その声が聞こえた次の瞬間、ボロボロの姿で、壁に寄りかかっていたジンの顔面に、強烈な正拳突きがお見舞される。
あぁ……死んだな。これ……。
ジンの意識は朦朧とし、目に映るのは、背中を向けて歩いていくカル。頭の中で、誰かが叫ぶ声が聞こえる。
女神様か……俺、やられちゃいましたよ……。もう、動けません。だから、少しだけ……休み……ます。
そこで、ジンの意識は途切れる。
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