冒険者は最強職ですよ?

夏夜弘

どこまでも強く、いつまでも強く 2

「酷い臭いだ……」<PBR>

『そうね……あ、私わからないんだった』<PBR>

「はいはい。そい言うつまらないジョークはいいので。それより、今歩いてきた限りでは、これと言って牢屋に人は入ってませんね?」<PBR>

『うん……もしかしたら、全員死んで……』<PBR>

「…………ランは生きてます」<PBR>

『わかってるわ』<PBR>

 沈黙が訪れる。と言っても、周りから見たらただの独り言にしか聞こえないが……。<PBR>

 それからしばらく、ジンは歩き続けた。が、人っ子一人見つかりはしない。それどころか、魔族すら居やしない。<PBR>

 ジンは悩む。なぜいないのか? なぜ魔力を感じないのか? 思うところは色々あるが、ひとまずはランを探すことを優先した。<PBR>

 それから、探すこと五分。人の気配を感じる。<PBR>

『ジン、人よ』<PBR>

「ええ。僕も気づきました。ですが、かなり弱ってませんか? 気の大きさが小さい……」<PBR>

『とりあえず急ぐわよ! もし弱っているのなら、助けてあげましょう!』<PBR>

「わかりました!」<PBR>

 ジンは人の気を感じた所へ走り、その牢屋の前に辿り着く。そこには、弱りきって寝込んでいる、若者がいた。<PBR>

「大丈夫ですか!?」<PBR>

『かなり弱ってるわ! ジン、早く手当を!』<PBR>

「や、やってみます!」<PBR>

 ジンは、ユニークスキル、"龍神化"を発動させ、作りたての魔法で、若者を回復させる。上手くいくかは、わからない。<PBR>

「こ、こんな感じか!?」<PBR>

 ジンは、両手を、弱りきっている若者に向け、その両手から、黄緑色の光が発生する。その光が、若者へと飛んで行き、身体の中へと入って行く。そして次の瞬間、全身から気が溢れ、意識を取り戻す。<PBR>

「よ、良かったぁ〜! 気が元に戻った!」<PBR>

『良くやったわ! それでこそ私のジンね!』<PBR>

「実体のない貴方には、僕はあげられませんー。観念しろー!」<PBR>

『いいもーんだ!』<PBR>

「う、ぅぅぅ……」<PBR>

 アホな会話をしていたジンは、若者が立ち上がったことに気づき、早速質問をする。<PBR>

「いきなりですまん。だが、時間が無いから、単刀直入に訊くが、ここで何があった?」<PBR>

「え? は、えぇ……。ここは、魔族に連れていかれた人間達が、監禁されるんだ。しかも、実験があるだの何だのと言って、人達を殺したり、女には手を出したりと、外道で卑劣な連中の遊び道具にされたりもしました……」<PBR>

「なっ!?」<PBR>

「私は、まだ順番が回って来てないと言うのもあったのですが、何より体が弱くて……って、あれ? 何か、前よりも体が軽い気が……ま、まぁいいです。とりあえず、この先にもまだ人はいると思います! 是非、救ってあげてください。お願いします」<PBR>

「わかった!」<PBR>

 バキンッ! ジンは、檻をぶち壊し、ここで待機してるように指示をする。それに頷いた若者は、大人しく座る。<PBR>

 とりあえず、この先にもまだいるのなら、ランがどこかに居るのかもしれない……でも多分、頑丈なところに閉じ込められてるかもなぁ……。<PBR>

 それから、ジンは急いで駆け回り、弱っている人を片っ端から救っていった。<PBR>

「……っと。これで、三十人目っと……一応全部回ったことになるか……ラン……」<PBR>

「あ、あのっ……!」<PBR>

「ん?」<PBR>

 若い女性が、ジンに声を掛ける。<PBR>

「た、多分、もう一人、少し外見がおかしな、エルフの女性の方がどこかにいると思うんです! あの方は、特に重要視されてるらしく、こんな檻よりも、頑丈な場所に入れられてるはずです!」<PBR>

「……!!」<PBR>

 それが本当なら、まだどこかにあるはず……。どこだ? ……まさか、まだ地下が?<PBR>

『それは無いわ。この下にそんな気配は感じない』<PBR>

「はぁ? なら、壁の向こうに部屋があるとでも? なら、感じるのか?」<PBR>

『……いや、何も……』<PBR>

「考えてみろ。もし、向こうにあるとして、気を感じたならお前の言葉を信じる。だが、壁の向こうがわからないんだろ? なら、それは魔法か何かで覆われてるってことにならねぇか?」<PBR>

『た、確かに……』<PBR>

「それがわかればいい。とりあえず、床をぶっ壊すか、壁をぶっ壊すか、どっちがいい?」<PBR>

『え!? え、じゃあ、え〜っと……壁を壊すで……』<PBR>

「はい来たァ!」<PBR>

 人を先に、一つドアの向こうへ移動させ、左右の拳に、息を吹きかける。<PBR>

「セイッ!」<PBR>

 次の瞬間、目にも止まらぬスピードで、ジンが壁だけを破壊していった。すると、途中、壁を壊した感触が薄かった場所があったので、そこに行って見る。<PBR>

「はいビンゴ!」<PBR>

 そこには、さらに奥へと続く道があった。<PBR>

「今から行くからなー? ラン!」

コメント

  • ノベルバユーザー438963

    バグってる

    0
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