冒険者は最強職ですよ?

夏夜弘

魔界に乗り込みます! 15

 ジンとへレーナとレベッカとマーシュ。四人集まり、残るはエレン、レッド、ブラック、ホワイトの四人。エレンが少し心配だが、無事だと祈ることしかできなかった。

「エレンさん、無事だといいんですけど……」

「確かにね……まぁ、他の三人のうち誰かが付いていてくれることを祈りましょ」

「ですね」

「そんな顔しない! エレンだって頑張ってたのよ? 私たちの中の誰よりも努力して、強くなってきたの。だからもう心配はしない! わかった?」

「……はい!」

 それから更にあるき、一日が経とうとしていた頃だ。木陰で暖をとって休んでいると、何やら騒がしい音が聞こえ、微かな振動が起こる。

「ちょっと、なんだか音が大きくなってない?」

「そうですねぇ……まるで、何らかの巨大生物が歩いている時のような感じと似ているのですが……」

「「「「まさか!」」」」

 そう。そのまさかだ。音は次第に近づいてきて、ジンたちは咄嗟に身構えるが、内心で少しある期待を込める。その期待は……。

『あぁもう、鬱陶しい!!! 最初からこうしてれば良かったのだ!』

 突然の叫び声が聞こえ、どこか聞き覚えのある声に、四人は期待をさらに募らせる。

「「「「こ、この声は!!」」」」

 幾度となる轟音と、それによって巻き起こる木々の粉砕。それを目の当たりにした四人は、目に涙を浮かべながらその名を叫ぶ。

「「「「レッドさん!!」」」」

『ん? おぉ! こんな所に居ったのか! 心配したではないか!』

 その正体は、龍の姿をしたレッドだった。背中には、疲れ果てて眠っているエレンとブラックとホワイトが乗っている。

「他のみんなは!?」

『安心せい。皆我の背中で寝とる。それよりもジン、お主にどこか怪我はないか?』

「いえ僕はなんともないです。他のみんなも怪我ひとつないと思います!」

『そうか。それは良かった! って事で、皆が揃った訳だが、一先ずは休憩としよう。皆疲弊しきっておる。今は寝て、次の先頭に備えるべきだ』

「ですね。なら、念の為見張りを付けて、交代制にしましょう。僕が先にやります」

『ダメだ。お主は寝ろ! お主は要なのだ。ここで睡眠不足でぶったおられても困るわい!』

「で、でも……」

「その通りですわ。ジン、あなたは休むべきよ?」

「「そうだそうだ!」」

 レッドの意見に、へレーナが口添えし、それに賛同するかのようにレベッカとマーシュが声を揃えて言ってくる。仕方がないか……。

「わかりました。僕はじゃあ寝ます。皆さん頼みます!」

 それから休憩を取り、時間は深夜を回る頃、ジンは目覚め、ゆっくりと起き上がり、欠伸をして辺りを確認する。

 ブラックさんが寝てる……それ以外はみんないない? 何か食材でも取りに……って、ここには何も無いだろ!?

 そう思って空を眺めていると、何か煙のようなものが立ち上がっているように見える。あれは……まさか!?

 ジンは咄嗟に嫌な考えが浮かび上がり、その元へと走って向かう。木々を縫うように抜け、煙が近づいてきて、目的地へと到着する。

「皆さん、大丈夫で……」

「「「「あったか〜い!」」」」

 言葉が被り、お互い見合う形となり、無言の時が続く。そうしていると、空からホワイトとレッドが飛んできて、音もなく着地する。

「えぇっと……失礼し……」

「逃がすなぁ!!」

「「「うぉぉぉおお!!」」」

「フッ、僕を捕まえようなんてむ……」

『我が逃すわけないだろ?』

「フッ、僕が捕まらないなんて無理なんだな」

 その後、覗きと思われたジンは、土下座をして謝り、なんとか許してもらった。

 十分に休憩をとり、万全の状態となった一同は、先に進むべく、レッドの背中に乗り、飛んで山を登ることにした。最初からこうすれば良かったなんて、思ってませんよ?

 空からその森を見渡してみると、それはもうかなりの広さで、歩いて森を抜けようと思った自分を殴りたくなった。バサバサと音を立て、進んで行くレッドは、何かを見つけ声をかける。

『おい、あれを見ろ。あそこに何か門みたいなのが無いか?』

「門……あ、ほんとだ。なぜに門?」

『わからん。ただ、考えられるのは、あそこ以外入る場所はないということだ』

「そうなんですか?」

『多分、だかな。確証は無いが、もしかしたら結界が貼られていて、触れると何かしらのダメージを受けるかもしれない。つまり、あの門をくぐるのが良いだろうと言うことだ』

「あの門を……」

 その門は、禍々しくあり、近づいてくる者を拒むような、悪意に満ちた気を感じられた……。

コメント

  • ノベルバユーザー128919

    続き絶対おねがいします!

    3
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